白昼の凌辱 日高 剛   1 覗かれた秘裂   2 真夜中の淫獣   3 邪悪の宴   4 恥唇の洗礼   5 牝獣の淫蜜   6 蠢く柔襞   7 美姉妹性宴   8 義母、姦《や》る!     エピローグ   1 覗かれた秘裂  玄関のチャイムの音がして、ぼんやりとレンタルビデオの映画を見ていた美佐子は、はっとして我に返った。  あわてて壁の時計に目をやる。  十一時十五分。  こんな昼間っから誰かしら?  何かの訪問販売に決まってる。半年前に、会社の上司だった孝夫と結婚してこの家に住むようになってから、美佐子はたびたび訪問販売の来訪を受けていた。正直いって、彼らのしつこさにはうんざりだった。  また避妊具のセールスマンか新聞の勧誘員ね。それなら、どっちにしろ間にあっているし。  そう思って、美佐子はチャイムを無視しようとした。映画はアメリカの恋愛映画だったが、それがちょうど佳境に入りかけ、いましもヒーローとヒロインのベッドインという、おいしいシーンだ。  だがチャイムは執拗に鳴りつづけている。  しようがないわね。美佐子は心の中でつぶやくと、まだかすかに新築の家特有の木の香りがただようホールから玄関に向かった。 「どなた?」  玄関の向こうで答える声には、ききおぼえがなかった。 「奥様ですか? 雨が降りだしたみたいですよ………洗濯物をしまったほうがいいんじゃありませんか?」  のんびりした感じの男の声だった。  それにしても雨とはおかしい。確かに一時間ほど前にリビングルームの前のベランダに洗濯物を干した。だがそのときは雲ひとつない快晴で、雨が降る気配などまったくなかったのだ。だが、急に雨ということも考えられる。 「そ、それはご親切に………」  不審な感じを受けはしたが、美佐子はとりあえず玄関からベランダに回ろうと思って、オーク材のどっしりとした扉の鍵を開けた。  外側に扉が開くやいなや、さっきの声の主がすっと体を中に滑りこませてきた。 「ちょ、ちょっと困ります………」  美佐子はあわてて扉を閉めようとした。男の意図はわからないが、強引に他人の家に押し入ってくるような男がまともであるはずはない。  だが、がっしりした体格の男はなんなく美佐子の体を突き飛ばすようにして押しのけ、ずかずかと玄関の三和土《たたき》に入りこんでしまった。 「出てってよ。警察を………」  呼ぶわよ………といいかけた声が、だしぬけに出なくなった。一瞬息が詰まりそうになる。美佐子の背後に回った男の汗臭い手が、彼女の口をがっちりと覆ってしまったのだ。 「じたばた騒がないほうがいいぜ」  男はさっきとはうって変わったドスのきいた声でいった。  美佐子の背中を冷たいものが走り抜けていった。  先週の末に、この住宅街の主婦が、白昼自宅でひとりでいるところを強姦されたという話を聞いたばかりだ。  これがきっとその犯人だわ。なんの確信もなかったが、美佐子は直感でそれを感じ取っていた。 「いいか………逆らったりしなけりゃ、痛い目にはあわさない………だがな、もし大声でも出してみろ。ただじゃおかないからな」  そういいながら男は、尖ったものを美佐子の脇腹に押し当ててきた。薄いブラウスごしに冷たい金属の感触が感じられて、美佐子は震え上がった。  ナイフだ。そんなまさか………でも、なんでわたしが………。  美佐子の体からすっと力が抜けていったのを、男は抜け目なく感じ取ったらしい。男は子どもでも抱えるようにして美佐子の体を軽々ともちあげると、土足のまま玄関ホールの突きあたりにある階段を上り、二階の寝室に入りこんだ。  十畳はあろうかという洋間の寝室の窓は大きく開け放たれて、初夏の爽やかな陽ざしが燦々とさしこんでいる。柔らかなレースのカーテンがふんわりと風にそよぎ、床に敷きつめられたペルシア絨毯の上にさざ波のような影を落としている。  男はキングサイズのダブルベッドに美佐子を乱暴にほうりだし、逞しい腕で若妻の体をうつぶせに転がした。そのまま背中を手で押えつけている。  美佐子の顔がシャルル・ジョルダンのタオルケットに埋まってしまった。鼻をふさがれているので、息ができなくなりそうだ。  男は無言で美佐子の頬を、さっきまで背中や脇腹の柔肉につきつけていたナイフでぽんぽんと叩いた。  男のいいたいことは、美佐子にはすぐにわかった。  動くな。さもないと、顔に傷がつくぞ。  テレビで見るともなしに見た三流映画の下卑た科白が、耳の奥に甦ってくる。  美佐子は窓を閉めている男の背中をじっと見つめた。夫の孝夫よりもひと回りもふた回りも大柄な男だ。ごくありきたりの背広姿だが、それでも肩のあたりが異様にがっしりしている。  厚手の遮光カーテンを引くと、寝室は夕暮れのような暗さになった。男は、背広の上着を脱ぎ捨てている。顔はよく見えない。  美佐子はなすすべもないままに、近づいてくる男の巨躯を呆然と見あげていた。 「奥さんよ、あんまり人を信用してすぐにドアを開けたりするもんじゃないぜ」  男はベッドのへりに腰をかけると、あいかわらず美佐子には顔を見せないような姿勢を取ったまま、汗ばんだ体を包む薄いブラウスをナイフで器用に切り裂きはじめた。  ツー。さらさらした布地は、引き攣るような音を立てて左右に分かれていく。 「あ、あなたは誰なの? こんなことしてただですむと思ったら………」  ようやく声をふりしぼった美佐子は、むきだしの背中の肉をわしづかみにされて、ヒッと悲鳴をあげ、残りの言葉を呑みこんでしまった。 「抵抗する気があるのか?」  男は美佐子の上半身から切り裂いたブラウスを器用にはぎ取ると、豊満な乳房を半分ほど覆い隠しているシルクのブラジャーのホックを器用な指づかいではずした。  その瞬間、美佐子の体全体を名状しがたい戦慄が走り抜けた。  恐怖だろうか? そうにちがいない。 「ほら、ぴくんって震えてる………じゃ、今度はこうしたらどうかな?」  男は小憎らしいほど落ちつき払った口調でいいながら、片手にもったナイフを美佐子の背中に当てて、もう一方の手を黒いスカートの中に忍びこませはじめた。 「やめて! お願い、やめて!」  思わず知らず声が出ていた。相手の男が、その大声に一瞬虚をつかれたのを見逃さず、美佐子は立ちあがりかけた。 「がたがたぬかすんじゃねえ、このアマ!」  男は起きあがりかけた美佐子の肩をひっつかむと、たてつづけに強烈な往復ビンラをくらわせてきた。 「黙っておとなしくオマンコ広げりゃ、痛い目にはあわせねえものを………こうなったら、覚悟を決めるんだな」  男は引き千切るようにしてブラジャーを取り去ると、さらに頬を殴りつけて美佐子を仰向けに転がしてしまった。  すかさず男が馬乗りになる。  美佐子にも男の顔がはっきりと見えた。二十代の後半ぐらいだろうか。ごくありきたりの顔が、あからさまな獣欲と興奮にぎらぎら輝いている。 「きれいなオッパイに傷をつけてもいいのかい?」  男の血走った視線が、たわわな胸のふくらみに注がれていることに気づいて、美佐子はあわてて腕を胸の前で交差させた。  腰は男の膝でがっしり押さえつけられ、びくとも動かない。 「ほら、こっちがお留守だぜ」  男の手がスカートの上から、ふっくらした肉丘のあたりを這い回った。 「な、何がほしいの? お金ならあげるわ。十万あげる。だから………」  美佐子はうわごとのように口走った。  だが男の手はなおも粘っこく、美佐子の太腿の付け根に息づく媚肉の入口を撫でさすっている。 「金なんかいらねえよ」  男は手にだんだんと力をこめながら、冷たくいい放った。 「おれがほしいのはね、奥さん。あんたのオマンコだ。あんたの可愛いオマンコに、おれさまのごつごつ硬い一発をブチこんでやりたいのさ」  男は美佐子のスカートを、裾のほうからナイフでふたつに切り分けはじめた。 「………奥さんをヒイヒイいってよがらせてやりたいのさ………それだけでいい………な、あんたを喜ばせるのが目的なんだよ」  ナイフの冷たい刃先が、内腿の柔らかな肌に当たる。ちくちくとした感触が伝わってくる。かすかに切先が触れているだけで、傷はついていないようだ。 「そ、そんな、そんなことしたら………あなた………刑務所行きよ………絶対につかまるんだから」 「つかまりっこないさ」  男はせせら笑った。 「第一、おれがキツいのをねじこんでやれば、奥さんはケツを振って喜ぶに決まってる。つまりな、さんざん楽しんだあげくに、愛しいチンポコの持ち主を警察につきだすような真似はぜったいにできなくなるんだから………ほう、これはまた可愛いパンティだな」  男は今や完全に美佐子のスカートを切り開いてしまっている。欲情にぎらつく目が、ビキニのパンティの中心のふっくらと盛り上がったあたりに注がれているのに気づいて、美佐子は頬から火が出るような思いだった。  だがそれは羞恥によるものなのか、怒りか、あるいは自分でも抑えがたい何かのまえぶれなのかは、考えたくもない。  男はナイフの先で、微妙なカーブを描くパンティの中心をそっとつついた。 「透けて見えてるじゃないか………奥さんの真っ黒なモジャモジャがよ」  ナイフの切っ先で布地を持ち上げながら、男の指は美佐子の白い胸のふくらみのあたりを這い回っている。 「ああ………すべすべしてていい感触だな。こうやってちょっと押してみると………そうそう、この柔らかさと弾力だ………そら、この邪魔っけな手をどけるんだ」  男は荒々しく美佐子の腕を胸からどけると、すばやく手のひら全体でむっちりした乳房をつかまえてしまった。  手のひらは汗ばんでいた。  敏感な肌に男の手のひらのざらついた感触を覚えて、美佐子の背すじを悪寒が走った。  二の腕のあたりにも、鳥肌が立つ。 「もう………よして………いや………」  美佐子は必死に懇願した。  だが男の手から逃れようと、上体をひねるたびに、乳房の突端にある薔薇色の肉芽のあたりから、ぞわぞわと粟立つような感覚が芽生えはじめた。 「おや、奥さん、乳首が硬くなってきたようだぜ」  男は美佐子の肉の変化を見逃さなかった。 「確かに硬くなってる………周りのピンク色のところも………細かい粒々ができてきた………できてきた………」 「触られれば………誰だってそうなっちゃうわ」 「そうだろうな………、じゃ、もっと触ってやろうか」  男はいうなり、せりだした肉芽をつまんでひねった。 「痛いッ!」  美佐子の体がびくんと動いた拍子に、男の膝が太腿を割って侵入したきた。  いったんこうなると、女は弱い。男の膝は情け容赦なく、ずんずんと上に割ってのぼってきて、ついにはパンティの股ぐりの部分に達した。  無論、そのあいだも乳首への攻撃の手は休めない。  男の膝が、もっとも微妙な肉の花園を布地ごしに圧迫してくる。美佐子は全身をくねらせて少しでも男から離れようとしたが、しょせんは無駄な抵抗だった。  そればかりではない。男のざらざらした手のひらにこすられ、指でねじられ、こねくり回されている乳首からは、微弱な電流が放出されて、背骨から腰の中心にまで走りはじめている。  恐怖が薄れたわけではない。  それでも………この痺れみたいなのは………まさか………わたし………。  いやっ! だめよ、レイプされてるのに感じたりしたら、わたし、孝夫さんにあわせる顔がない。  だが薔薇色の肉の突起は、明らかに男の指のタッチに歓びをおぼえはじめている。 「よし………て………」  うわごとのようにくりかえす言葉にも、心なしか甘い喘ぎがまじってきたようだ。  美佐子は男がにんまりと笑うのにも気づかず、意志に添わない肉体をなんとか抑えようとあがき、悶えていた。 「よし、じゃあそろそろ本気で奥さんを昇天させてやるぜ」  男はまたナイフを取り上げると、ビキニパンティを器用に切り裂いて、美佐子の翳りを露出させた。 「きれいなおケケだな」  男が歯を見せて笑いながら、指先をきれいに生えそろった美佐子の若草の中に滑りこませた。指先は巧みに動いて、草むらの奥に潜む肉襞の入口をさがしあてた。快楽の小突起までにはあと一歩というところだ。 「やめて………もう………お願いです………そこだけは………」 「そういわれたって、おれのセガレにはその気がないようだぜ」  男はそういいざま、力の抜けかけてきた美佐子の両足を強引に割って、むきだしになった粘膜の赤貝にズボンの中央部をごりごりと押し当ててきた。  熱く膨張した肉棒の感触が、美佐子の理性の壁をあっけなく突き崩していった。 「いや………そんな………だめ………」  口では反射的にそういっているが、そろそろ腰のあたりに火がついてきて、いつしか美佐子の腰は前後左右にくねりはじめていた。そればかりか、苦しげだった吐息が甘ったるい鼻息に変わりつつある。 「どれ、じゃ、これを触ってみろよ」  男は美佐子の手を自分の股間に導いていった。それと同時にジッパーを引きさげて、見事なテントを張ったトランクスをむきだしにする。男は美佐子の白く細っこい指を、怒張に押し当てた。  指先に燃えるような熱い感触を感じて、美佐子は反射的に手を引っこめようとした。大脳は手を引っこめろ、と金切り声で命令している。だが本能は、それを封じこめた。  美佐子の白魚のようなしなやかな指は、男の邪悪な怒張をなぞりはじめていた。  大きいわ。孝夫さんのよりずっと大きいし、硬くて………ごつごつしてる。  コットンの布地を隔てていても、節くれだった肉槍がびくびくと脈打っているのがわかる。その搏動にペースを合わせるようにして、ふいに美佐子自身の心臓も狂ったように動悸を打ちはじめていた。 「じかに触ってもいいんだぜ………じかによ」  男の声には、さっきまでの棘はなくなっている。 「触るだけじゃない………口に咥えてジュバジュバ吸っても、ペロペロおしゃぶりしたっていいさ」  美佐子はその淫らきわまる言葉に、なぜか催眠術をかけられたようになってしまった。いったんテントから手を離したものの、彼女はすぐにトランクスを引きさげた。  見るからに硬そうな剛毛の中心から、下腹を叩かんばかりの逸物がとびだしてきた。  手の伝えてきた感触は正しかった。この強姦犯人のペニスは、夫の孝夫の持ち物よりひと回りもふた回りも大きい。特に先端のカリの鰓《えら》が、上物の松茸のかさのように張りだしているのが、たまらなく猥褻だ。  しかも定年の近い孝夫の肉茎は、いくら二十五歳の若妻を後妻に迎え、若返ったといっても、これほど見事に天を指すことはめったにない。とにかく高校二年生の息子のいる六十近い男なのだ。無理もないといわねばなるまい。  こんな元気なもの、久しぶりだわ………。美佐子は自分の唇のはじから、白く泡だった涎が糸を引いて落ちるのも気づかず、下腹から込み上げる愉悦で霞む目で、赤黒い肉の蛇に夢中で目を走らせていた。 「早くしゃぶるんだ………舐めろ。べろべろ舐め回すんだよ」  その声を合図にして美佐子は魔物に魅入られたように、つんと異臭を放つ屹立に唇と舌を寄せていった。  しばらくして男が体の位置を変えると、美佐子は自分から足を大きく開いて、すでに愛液で濡れそぼった秘裂を何度も何度も男のぼってりと厚い唇や、よく這い回る舌に押しつけていた。  玄関のドアの把手に手をかけた俊彦は、あれっと思った。  鍵がかかってない。いつもならきちんと鍵をかけてあるはずなのに。  俊彦はそのままドアをぐっと押しあけた。玄関の中に一歩足を踏み入れた俊彦の耳に、思いもよらない嬌声が飛びこんできた。  悲鳴だ! とっさにそう思ったものの、すぐに俊彦は思いなおした。  ちがう。アレをしてるときの女の人の声だ。  本格的なセックスの体験はないが、性にいちばん興味を覚える年齢である。親に隠れてアダルトビデオを見てもいたから、男と女のことは知識としてはかなり知っている。  中学二年のときに悪友から教えられたオナニーでは、もはや肉棒を滾らせる妖しい欲望を処理できなくなっていた。  しかもその傾向は、父が大学を卒業したての後妻を迎え入れたことで、なおいっそう昂まっている。  美佐子が美しすぎるのだ。夜中ベッドの中でひとりわびしく幼い肉棒をしごき立てているときに脳裡に浮かぶのは、決まって美佐子の面影だった。ふだんでも、セーターをやさしくつき上げている胸のふくらみや、スカートの布地を微妙に押し上げている下腹の曲線が目に入るたびに、俊彦はペニスが今にも破裂しそうな勃起に見舞われていた。  あの声は美佐子さんだ!  俊彦は足音を忍ばせて二階の両親の寝室に向かった。  半開きになっている寝室のドアの隙間に、そっと顔を寄せる。  そこに見えた光景に、俊彦は心底仰天した。  全裸の男女があられもない姿で繋がりあい、むきだしの肉と肉をぶつけ合っているのだ。  ベッドの足の側は、ドアに向いている。俊彦の目に、男の毛むくじゃらの尻が激しく上下に動いているのが飛びこんできた。  最初はよくわからなかったが、その尻の上のほう、つまり男の腰にあたる部分には、女のすらりとした白い足がからみついていた。 「いい………すごく………ああん………いやー、また………イッちゃう」  美佐子の声だ。 「イけよ、思いっきりイッたらいいじゃないか………ほれ、もっとケツを振るんだ………そうそう、いいぞ、ほーら、ぬぷぬぷ音をたててやがるぜ、おまえの淫乱なオマンコがな………そーら、これはどうだ!」 「ああ………そこそこ………だめ………よして………当たる………」 「これは?」 「あうっ………大きいのが………中でよじれてる………アアッ………」  男が美佐子の足を大きく広げさせて腰を浮かせた。男女のもっとも淫らな結合部が、しゃがみこんだ姿勢でドアから覗く俊彦の目にはっきりと見えた。  俊彦はごくりと生唾を呑みこんだ。  生まれて初めて見る女陰は、予想以上に大きく、卑猥な色をしていた。黒々とした茂みのあたりはよく見えないが、男の器官を咥えこんでいる肉洞の左右にびらびらと広がっている紅鮭色の粘膜ははっきり見える。  黒ずんだ男の剛棒がゆっくりと出たり入ったりするたびに、柔肉はよじれて押し潰され、形を変えている。  男のものは、信じられないほど長大だった。それがすっぽり収まってしまうのも、俊彦には驚異だった。  男は小憎らしいほどゆっくりと肉棒をぬかるみから引き抜いている。美佐子の粘液にねっとりとおおわれたヘッドの鰓が、淫らに息づく美佐子の肉びらにひっかかり、内部構造が引きずりだされ、さらに生々しい色をした淫肉がちらりと覗く。 「もうだめ………死にそう………死ぬ………死ぬ死ぬっ!」  美佐子はひっきりなしに叫び立てながら腰を浮かせ、男の背中に回した手をばたつかせている。  アダルトビデオなんか比べものにならないや。俊彦は、しずく一滴、毛一本見逃さないように、目を皿のようにしていたが、そのうちふっと疑問がきざしてきた。  そもそも、この男はいったい誰だ?  もちろん、父親の孝夫ではない。一流商社につとめる父は、先週の末からニューヨークに出張に行っている。ということは、浮気相手だろうか?  まさか。ぼくがじきに帰ってくるのを知っていて、そのうえ真っ昼間から自分の家に男を引っぱりこんだりするものだろうか?  美佐子がそこまで大胆な女だとはとても思えない。  ということは………。  そこまで考えて俊彦は、このあいだから光の宮住宅団地を騒がせている、強姦事件のことを思いだした。  東京近郊の私鉄沿線の中では、格段に高級イメージで売っているあたりだけに、白昼堂々と家に入りこんできて、その家の主婦を思うさま犯して去っていく強姦事件が続発していることは、学校でもショッキングなこととして受けとめられている。  そうか、きっとこれがあの強姦魔にちがいない。それにしても………なんだか普通のサラリーマンみたいな雰囲気だな。  俊彦はずきずきと疼いて存在を誇示している自分の股間を、われ知らず手で押えながらそう思った。 「ああ、奥さんのは具合いがいいや………入口のところがぎゅっと締まってて………奥のほうはとろーりとろけそうになってやがる。おれにチンポコも先っぽが溶けちまいそうだ………」  男は荒い息を吐きながら、腰を前後左右自在に動かして、美佐子のもっとも恥ずかしい穴を突きまくり、恥辱の姿勢をとらせている。  女を知らない俊彦の一物は、制服のズボンの中で暴発寸前にまで昂っていた。  今すぐ引きずりだしてしごきたて、一気に溜まりに溜まったものを噴出してしまいたい。  だがその欲望を思いとどまる。  というのも、眼前で展開されている男女の秘儀がどんどんエスカレートしていって、そっちからも目を離したくないからだ。 「アアッ………だめだめ………すごいのが………大きいのが中をかき回している………いやっ………来る、来る………イッちゃいそうよ………もうだめ………あなたも、あなたもイッて………出して………たっぷり熱いのかけて………」  美佐子の口からは、ひっきりなしに猥褻な言葉が迸りでている。そのトーンがぐんぐん上滑りなものになっていったかと思うと、ふいに美佐子が体を硬直させ、一拍おいて竹笛のようなかん高い、長く尾を引く鳴咽を洩らしはじめた。  もう我慢できなかった。俊彦はいまにも爆発しそうな下腹部をズボンの上から揉みたてながら、足音を立てないようにこっそりと自分の部屋に戻り、しっかり鍵をかけた。  もどかしい手つきでズボンを引きさげ、あわただしく右手を数回上下させるだけで、すでに先走りの露でぐっしょり濡れ、粘膜がふやけたようになっていた幼いペニスは先端の切れ込みから驚くほど大量の白い樹液を噴出した。  いったん放出しても、俊彦のシンボルはまだ半立ちのまま、無念そうにひくついている。樹液を拭きとろうとティッシュでぬぐっただけの刺激で、十七歳の性欲は再び目覚めてしまった。  それにしても………あらためて力を漲らせた肉槍を、今度はゆっくりとしごきながら、俊彦は思った。  あれも強姦というのだろうか? 強姦というのは、いやがる女に無理やりハメることだ。  でも、美佐子さんは愉しんでた。あんなに大きな声を出して、股を開いて、もっともっととせがんでた。  きっと初めは抵抗したにしろ、やっているうちに気持ちよくなっちゃったのか?  だとすると、女というのはいやがっていても、男のアレをオマンコに突っこまれると、そんなのはどうでもよくなっちゃうのかもしれない。  だとすると………。俊彦の脳裡によこしまで淫らな計画がぼんやりとした姿を現しはじめたのは、二度めの絶頂を迎えたそのときだった。  両親の寝室で耳にした美佐子の悦楽の悲鳴が、まだ耳の奥にこびりついて残っているような気分だった。   2 真夜中の淫獣  予想どおりサッシの窓は開いていた。  俊彦はベランダから部屋の中に体を滑りこませた。  室内は、ベッドの脇のサイドテーブルに置かれた小さなスタンドが投げかける琥珀色の光以外はまっ暗だった。  すらりとした体にまとっているのは、黒のTシャツに黒のジーンズ、それにジョギングシューズだ。  三日前に、義母が見知らぬ男の巨根に犯されて、のたうち回って喜んでいるのを見て以来、俊彦は股間でいきりたつ自分のコックを女の肉穴にぶちこむことしか頭になかった。  家で美佐子の顔を見ても、男の肉棒を股ぐらに咥えこんでひいひいよがり声をあげていた姿が瞼の裏に浮かんできてしまう。  俊彦が獣欲に頬を赤くしても、まさか見られていたとは知らない美佐子は、怪訝な顔つきをしているだけだった。  放課後に学校近くの倉庫でバンドの練習をしていても、頭の中には淫らな妄想が渦を巻くばかりだ。せっかくバイトをしてようやく買ったヤマハのDX7の最新機種を弾いているというのに、俊彦はいつの間にか、ドラムの加藤が叩きだすリズムに合わせて腰を振り、あまつさえスラックスの中で健気に屹立したものを、DX7のスタンドの脚に押しつけたりもしていた。  そして今夜、俊彦は自宅から歩いて十五分ほどのところにあるワンルームマンションの一室にベランダから忍びこんだ。  住んでいるのは、女子大生である。表札で確認した名前は榊原理沙だ。夕方最寄りの駅から尾行して確かめてあった。  尾行するときも、タイトスカートに包まれた尻が左右に蠱《こ》惑的に揺れるのを見ながら、俊彦は激しい昂まりを感じていた。  部屋に入ると、甘酸っぱいにおいが鼻を打った。女のにおいだ。鼻の奥がむずがゆくなったかと思うと、たちまち血液が下半身に集中するおなじみの感覚に見舞われた。  理沙は部屋にいない——いや、バスルームのほうから水音がするところをみると、シャワーをつかっているのだろう。  脱がす手間が省けていいや。俊彦はのんきなことを考えた。  このままシャワー室に押し入ってやろうかとも思ったが、それよりバスルームから出てきたところを不意に襲うほうがいいと思いなおした。  キッチンスペースに置かれたテーブルの陰に身を潜めていると、ほどなく理沙がバスルームから出てきた。  テーブルの下に隠れている俊彦に見えるのは、膝から少し上のあたりまでだけだ。白いバスタオルを体に巻いている。つややかな向こう脛を、透明な水滴が流れおちていく。  理沙は松任谷由美の『埠頭を渡る風』をハミングしていた。彼女がベッドのほうに向かっていき、テーブルに背中を向けたのを見はからって、俊彦は中腰の姿勢のまま理沙に突進していき、体当たりを食らわせた。 「キャーッ!」  理沙が悲鳴をあげる。俊彦はすかさずその口を手のひらで押さえた。 「騒ぐな。騒ぐと………騒ぐと………」  脅しの文句が出てこない。ちくしょう、ちゃんと考えてきたのに。  一瞬うろたえたのを理沙は勘づいたらしい。彼女は体をよじって身をもぎ離すと、くるっと振りかえって、すらりとした脚で強烈なキックを俊彦に浴びせかけた。  バスタオルがはらりと床に落ちて、まばゆいばかりの瑞々しい裸身があらわになった。足をあげたので、その付け根の中央に息づく秘密の花園も見ようと思えば見られたはずである。  だが、みぞおちをしたたかに蹴られた俊彦は、すでにばったり床に倒れていた。  ドジなおれ………そう考えながらも、俊彦の意識がふっと薄れた。  気がつくと、ジョギングシューズを脱がされてベッドに横にさせられていた。  視野の横のほうから理沙の顔がにゅっと出てきた。 「目が覚めた? ほら、水を呑んでしゃきっとしなさい、男だろう?」  差しだされたグラスを受けとりながら、上半身を起こす。時計を見ると、気絶していた時間は十分たらずらしい。 「忍びこんで女を犯そうなんて、そんな馬鹿なことは考えちゃだめ」  理沙がソファから立ちあがってベッドに近づいてきた。あいかわらず裸身にバスタオルを巻いただけの姿だ。白い乳房の曲線が半分ほども見えているし、むっちりした太腿もほとんど見えている。  だが動転している俊彦には、そのゴージャスな景観を味わう余裕はない。  無理に目を合わさないようにしているのに、理沙はわざと顔を近づけてきた。女子大生の熱い吐息がかかる。化粧っけのない素顔は、昼間尾行しながら見ていたときに比べて、ずいぶん愛らしく見えた。  だから、どことなく少女っぽい顔と理沙が次にいった言葉があまりにも不釣り合いで、俊彦は一瞬耳を疑ったほどだ。 「あたしさ、ここんとこ男日照りなんだ………せっかく犯しにきたんでしょう? よかったら、あたし、きみとやってあげてもいいのよ」  理沙はそういいながら、驚いて言葉を失った俊彦の頬をそっと撫でている。 「きみって、けっこうハンサムだし。それに、アソコも立派だしね」 「見たの?」  ようやく声が出てきた。 「見てないわ。でも、きみをそこに寝かせるときに、スラックスの上からさわったの。そのときはまだビンビンしてたけど、もうおさまったみたいね」  この女に股ぐらを触られただって? 俊彦の頬が恥辱で朱に染まった。唇をかみしめてそっぽを向く俊彦の背中に、理沙は指を這わせた。 「やりたいんでしょう? いいのよ。やらせてあげる………でも、最初はあたしのいうとおりにしてね」  そういうと理沙は、俊彦の黒のTシャツの裾に手をかけ、一気に脱がしてしまった。 「以外と筋肉ついてるじゃん」  理沙はにっこり笑って、体に巻きつけたバスタオルを取り去った。  こうなると俊彦も顔をそむけてはいられない。 「見たいんでしょう? 見れば? もっと近くに寄りなさいよ」  理沙は俊彦のわずかにウエーブのかかった髪の毛に指をからめて、少年の顔を近くに引き寄せた。  抵抗する間もなく、俊彦の顔は理沙の腹部に押しつけられていた。  爽やかな石鹸の香りが鼻腔いっぱいに広がる。それだけではない。興奮に目覚めた野獣のような嗅覚をそなえた俊彦の鼻は、どこからともなく立ち昇ってくる雌の匂いをとらえていた。  甘酸っぱいような、鼻につんとくるような淫ら心をくすぐる香り………。  あわてて薄目をあけると、つい目と鼻の先に黒々とした草むらが見えた。さっきの香りは、そのあたりから漂ってくるようだ。  額のあたりには柔らかい胸のふくらみの感触が伝わってくる。  理沙は俊彦の顔をそのままぐっと引き上げて、いきなり唇を重ねてきた。  ねっとりとした女の舌がずるりと侵入してくる。俊彦も負けじと舌をからめた。唾液を混ぜ合わせ、舌をからみつかせているうちに、理沙の肌が熱くなってくるのが裸の胸にはっきり感じ取れた。それにさっきから硬いものが胸のあたりにこすれている。  乳首だ。この女の乳首が硬くなって、こっちにこすれてるんだ。俊彦はそう思うそばから、手を伸ばして、たわわなバストを手のひらでぎゅっと握った。 「だめ………もっとそっと触らなくちゃ………女は優しくされるのにいちばん弱いんだから」  生温かなシルクのような手触りに酔いしれる間もなく、理沙の声が飛んできた。俊彦はあわてて手の力を抜いて、ずっとソフトに愛撫を始めた。 「アソコを見たいんでしょう? いいわよ、見せてあげる」  理沙はそういっていたん俊彦から体を離すと、そのままベッドに横たわった。  眼の前に一糸まとわぬ若い女の裸身がある。俊彦は知らず知らずのうちに鼻孔をふくらませていた。  横になっても、理沙の豊満な乳房はその張りをいささかも失わなかった。俊彦は肉の丘の先端にちょこんと突きだした薔薇色の肉蕾に、そっと手を伸ばした。 「ほら、ちゃんとよく見るのよ」  俊彦と目を合わせたまま、理沙はゆっくりと太腿を広げていった。  こんなきれいな女が、ぼくのために股をおっぴろげてオマンコを見せてくれるなんて。ほんと、夢みたいだ。  俊彦は理沙の両足のあいだに顔を突っこんだ。女の恥ずかしい部分が、何ひとつ隠すものもない姿ではっきりと見えた。 「よく見るのよ………ほら、ここがきみのアレが入るところ………この両側のびらびらしてるお肉が小陰唇で、その外側、このふっくらしたのが大陰唇………ほら………」  理沙の細長い指が、媚肉をこねくりまわして、両側の襞唇をぎゅっと閉じあわせるようにしながら、溢れだしてくる愛蜜をしゃくっている。 「さっききみのを触ったときから、ヌルヌルが出っぱなしなの」  俊彦の喉はからからだった。ごくりと唾を呑みこむ。股間のものはさっきから、きつめのジーンズの中で猛り狂っている。早く入れたい、こいつを肉の穴にぶちこんでみたい!  矢も盾もたまらない気分で膝立ちになり、ジーンズのフロントボタンをはずそうとする俊彦の手を、理沙がそっと押しとどめた。 「わたしが脱がしてあげる」  理沙は器用な手つきでジッパーを引きさげた。俊彦が蹴飛ばすようにしてジーンズを床に脱ぎ捨てると、理沙は続けて彼のチェックのトランクスのゴムの部分に指をかけた。 「あらあら、もう気分出してるのね………ここがぐしょ濡れよ」  理沙はトランクスのテントの頂上にできた粘液の染みをちょんとつついた。 「うっ!」  昂まりきった肉棒の頂点をつつかれただけで、背骨を電撃が伝うような気分に襲われて、俊彦は思わず腰を引いた。 「だめだめ」  理沙はそんな俊彦の腰をしっかりとつかんで引き寄せ、トランクスを一気に引きさげた。俊彦の充血した器官が勢いよく跳ねた。 「綺麗………」  理沙は小さく呟いて、俊彦の下腹部に顔を埋めていった。  先月までつきあっていたのは大学の助教授で、インテリという商売柄さほど腹は出ていなかったし、四十ちかい年齢のわりには下品になることはなかったが、それでもやはりこの少年のように肌が瑞々しいことはなかった。  やっぱり若いっていいわ………理沙は口の中で跳ね躍るような俊彦の肉茎を愛しく思いながら、さかんに唾液を分泌して粘膜と粘膜をこすりあわせた。  そのときだった。だしぬけにドアのチャイムの音が聞こえた。  夢中でペニスにむしゃぶりついている理沙の耳には聞こえなかったが、俊彦の耳には、その音が大砲の音のように響いた。 「誰か来たみたいだ」  先っぽがとろけそうな愉悦を手放したくはなかったが、俊彦は緩やかに前後に動いている理沙のつややかな肩に手をかけた。  理沙は俊彦を咥えたままうなずくと、いったん離れた。赤いぼってりした唇と自分の赤黒く膨れ上がったグランスのあいだに、唾液とも分泌液ともつかぬものが糸のようにはりわたされている。理沙が口のまわりのぬめりをぺろりと舌先で舐めとった。 「うるさいわね………すぐに追いはらうわ」  理沙は名残惜しそうに俊彦のエレクトのヘッドをつるりと撫でると、立ち上がった。俊彦の目のあたりがちょうど、若い草むらにあたる。少し開いた両足のあいだには、一瞬だがはっきりと、大きく外に張りだした肉びらが見えていた。  玄関に行った理沙がすっとんきょうな声をあげた。 「ウッソーッ!」  そういったきり、裸のまま俊彦に尻を向け、ほんの隙間ほど開けたドア越しにだれかとひそひそ話をしている——と思ったら、理沙は、「じゃ、入って」とかいいながら、玄関のドアを大きく開けてしまった。  俊彦はあわててベッドのシーツのあいだにもぐりこんで、顔まで毛布をひっかぶった。  理沙のうしろから入ってきたのは、理沙と同い年くらいの若い女だった。すらりとした体つきの理沙と比べると、見るからに肉感的なむっちりした肉体の持ち主だった。 「これがその子?」  新しく入ってきた女はルイヴィトンのバッグを無造作に床に投げだすと、目を爛々と光らせながら、ベッドのそばにやってきて、毛布を情け容赦なくはぎとってしまった。 「あら、可愛い顔してるじゃない? で、理沙、この子とよろしくやってたの?」 「誤解しないでよ。由貴。あたしにエッチしようとして忍びこんできたから、逆にユーワクしたの」  理沙は胸のふくらみをはずませながら、また俊彦の横に潜りこんできた。 「わあ、いいんだ。さ、つづけてよ。あたしが見ててあげるから」  由貴と呼ばれた女はそういうなり、俊彦の腰から下を覆っているシーツをさっとはがしてしまった。俊彦はあわてていきりたったままの股間を隠そうと手を伸ばしたが、今度は理沙がその手を押さえつけた。 「見せてあげてよ………大丈夫………きみの、とってもリッパだから」  理沙がそういうそばから、由貴はベッドの横にしゃがみこんだ。 「すっごーい! リッパよリッパ。アキラのなんかより、よっぽど太いわ………あーん、見ただけで下のお口が涎タラタラしちゃうーん」  由貴はしゃがんだ姿勢で腰から下をせつなそうによじった。 「いいだろー。えへへ」  理沙はそういいながら、俊彦の男性に指をからめて、ゆっくりとしごきたてはじめた。 「この子、かわいいんだから………ほら、目つぶっちゃった………アッ、また先っぽから透明なおツユが出た………ね、見て見て——」  どうやら理沙は、いわゆる3Pを実践したがっているようだ。  俊彦は理沙の手に導かれるままに、彼女の股間に右手をすべりこませた。  指先がざらりとしたものに触れた。ふくよかなヴィーナスの丘を覆う淡い草むらだ。そう思うまもなく、指先が別の粘っこい感触をとらえた。  熱く湿った生肉の感触………じっとしているだけでも、そのまま中に吸いこまれていきそうな襞の蠢きに俊彦は狂喜していた。  これが女の人のアレだ!  そっと薄目をあけて理沙をうかがうと、年上の女はすでにとろんとした目をしている。女がかすかにうなずいた。  なんて、なんて柔らかいんだ。なんて熱いんだ。  それに………なんてぬるぬるしてるんだろう? 「触って………もっと触って」  俊彦は思いきって指を熱い沼の中心に沈ませてみた。指は吸いこまれるように没したと思うと、蠢く襞にとりまかれていた。 「そうよ………」  ふいに耳もとに熱い息を吹きかけられ、俊彦はぎくっとした。  横目で見ると、理沙の様子がおかしい。おまけにゆるゆると俊彦の一物をしごいていた手の動きもやんでいる。  気がつくと、由貴という女も俊彦と理沙の腰のあたりに顔を寄せて、ふたりの指の動きや、充血しきったふたりの粘膜にぎらぎらと目を光らせていた。 「あ、あたしにも触らせて」  由貴はそういったかと思うと、いきなり理沙の力の抜けた手を押しのけて、天井に向かって直立した俊彦のシンボルをわしづかみにした。 「わあ、久しぶりだわあ」  由貴はいった。はあはあ息をはずませながら、薄手のサマーセーターの上から、見事につきだした乳房の上に手を当てて、ゆっくり円を描くように動かしている。そればかりか、尻の下に敷いた足をもぞもぞさせているところを見ると、早く強烈でダイレクトな刺激がほしくてたまらないらしい。  理沙の陰裂を指で探検しながらも、俊彦はもうひとりの別の女の淫部を触ってみたくてたまらなくなった。  女のオマンコも人によってちがうというけれど、どんなふうにちがうんだろう? 毛の量がちがうのか? それとも大きさだろうか? 大きさっていっても、どこの大きさだろう?  初体験でふたつのオマンコを見比べられる——うまくすれば舐め比べや入れ比べもできる、かな? ——あした学校に行ってみんなにしゃべったって、信用されないだろうな。  童貞なりにあれこれ想像力をたくましくしているだけで、由貴にしっかり握られた濡れ濡れの若根がびくんと跳ねてしまった。 「あたし、がまんできないっ!」  玉茎ばかりか、肉袋や周囲をとりまく縮れ毛までも愛しそうに指先で撫でさすっていた由貴が、急に上ずった声をあげて立ち上がり、サマーセーターやスカートをあっという間に脱ぎ去ってしまった。  ノーブラだった。下半身を覆っているのは黒のレース編みのスキャンティだけで、そのスキャンティの中央部分がひときわ暗い翳りを帯びているのに、俊彦は目を奪われた。 「こらあ、そっちは見なくていいの」  由貴が離した肉棒を今にも涎を流している口に咥えようとしながら、理沙が鼻声を出した。あいかわらず俊彦の指を股間の秘峡にはさみこんだままである。 「もっとしっかりこねくりまわしてよぉ」  そういいながら尻を振ると、膣内が上下左右から俊彦の人差し指を圧迫してきた。理沙は俊彦がいじりやすいように尻たぶを俊彦のほうに向けて、自分は年下の男の屹立に顔を寄せた。  ためらいも見せずに、きつい香りを発散する棹の鰓をとりまく窪みに舌先を滑らせる。  俊彦は太腿に垂れかかる理沙のロングヘアをくすぐったく思いながら、人差し指で淫らな蜜壷をかきまわした。湿った肉が、にちゃにちゃと猥褻な音をたてて、歓んでいる。  由貴はと見れば、黒のスキャンティをくるくると足首まで下ろして、やおら俊彦の正面に仁王立ちになった。  黒く密生した、かなり立派なジャングルに目を奪われてしまう。由貴は軽く足を開いて、そのまんなかにぱっくり口を開けている秘貝を有無をいわせぬ強引さで、俊彦の顔に押しつけてきた。  鼻がぬめりを帯びた生肉の淫谷にずぶりと沈んだ。一拍おいて強烈な刺激臭が鼻孔から脳天を貫き通した。  由貴が腰を前後にくねらせると、ぼってりと厚く、いくらか茶色い大陰唇や充血しきって外側にはみだしている小陰唇が、俊彦の目の周りから顎にかけて、べったりとはりついてきた。  たまんねえな。極楽だ………手ではオマンコをいじくりまわし、口ではオマンコをべろべろ舐め、しかもギンギンのチンボコを女子大生におしゃぶりさせてるなんて。 「ああ、いいわよ………坊や………」  もっとも敏感な女芯を俊彦の鼻の頭にこすりつけながら、由貴は息をあえがせている。 「こっちもちゃんと触って………ねえ………指を奥まで入れていいのよ」  これは理沙だ。舐めるのに夢中になって、つい手指の屈伸がおろそかになってしまったらしい。理沙は腰から下だけを別の生き物のように上下左右にくねらせて、少年の指の感触を少しでも多く肉襞に吸収させようとしていた。  それだけではない。快感をこらえているのか、それともおねだりのつもりなのか、 「すてき………ズンズン来てる………オマンコが………濡れてるぅぅ」  などと猥褻な嬌声をあげるたびに、手のひらに握った俊彦の肉棹の包皮をこれ以上むけないぐらい、ぐっと下に引きさげている。  俊彦は必死で舌を使った。最初はあわてていて女陰の構造がよくわからなかったが、少し神経を集中させていると、さっき目で見た光景と舌先から伝わってくる微妙な襞のくねり具合が、ひとつに結びつきはじめた。  思いきり舌をつきだしてみると、硬くなった舌先がぬるりとしたものに包みこまれた。ぴりぴりと刺すような味がする。  酸っぱいような、なまぐさいような、お世辞にも食欲をそそるとはいえないが、その強烈な味と芳香は、俊彦の男の本能をゆさぶる力をもっているらしい。  膣洞を舌でかきだす作業に熱中していたせいで、俊彦は知らず知らず由貴のもっとも敏感な肉の蕾を鼻で押していたらしい。  少しでも淫穴の中に舌を挿入しようと顔をつきだすと、またがっている由貴の太腿がびくんびくん痙攣した。ふだんはふっくらした肉の丘に隠れている肉の真珠に、鼻の頭がもろに当たっているのだ。 「あたし、もう我慢できない!」  理沙はそう叫ぶと、やおら俊彦の腰にまたがり、勢いよく直立して粘膜の接触を求める若い茎に手を添えて、一気にずぶりと股間の秘境にみちびいた。  だが、それを由貴の指が邪魔した。理沙が少年を貧ろうとしているのを見て、負けず劣らず好き者のこの女子大生は、対抗意識を燃やしていたのだ。 「放して………由貴………ちゃんと最後まで咥えさせて」  開きっぱなしの唇から涎をたらしながら、理沙は哀願した。 「だめ………あんたは先っぽだけ………あたしがいいっていうまで、そうしてなさい」 「いやあん!」  理沙は腰をさかんにくねらせて、俊彦の肉棒を握っている由貴の手に淫膜をねばねばと押しつけて、少しでも深く迎え入れようとした。 「ちゃんと、奥まで入れたい………いじわる………」  だが、もっとも敏感な赤むけのヘッドだけが女体にくるまれた状態でも、俊彦は昇天しそうな愉悦を味わっていた。  膣口からは肉蜜があきれるほど大量に溢れては、濡れきったグランスの薄皮をねとつかせ、快感をさらに増幅させる。  おまけにシャフトは力任せに握られたままで、心地よい圧迫感を与えてくれている。  声も出せないくらいの法悦境だった。 「由貴………お願い………先にやらせて………」  理沙は俊彦が半分ためりこんだ自分の股間に手をやって、自分の愛液でべとつく友人の手をようやく押しのけた。 「次は絶対、あんたに入れさせてあげるからさあ」  そういいながら、理沙は一気に腰を落としてきた。 「ああっ!」  理沙が声にならない声をあげた。少年の大きくふくらんだ先端が、子宮口を露骨につき上げてくる。張りだした笠がひっかかって、内部の襞が微妙なバイブレーションにびりびりと震えていた。 「すごい………内臓までつき上げられているみたい………」  体じゅうを快感に震わせている理沙を、由貴が羨望をたたえた瞳でにらみつけている。俊彦が理沙の腰の回転運動にあわせて腰をまわしはじめると、由貴は俊彦に舌の奉仕をつづけさせたまま、ふたりの結合部に顔を寄せていった。  ぴちゃぴちゃぴちゃ。  淫らな肉同士がこすれあう湿った音が響く。 「そういえば………坊やの名前も聞いてなかったっけ………」  背中をくねらせ、長い黒髪を波打たせながら、理沙がたずねた。 「と………俊彦っていいます」  少年が頭をのけぞらせて快感に耐えているのを、理沙はうすく淫霧にかすんだ目を細めて見ている。 「俊彦くん………どう………気持ちいい?」 「と………とっても………アアッ………びりびりきちゃう………マスなんかより、ずっと気持ちいい………」  俊彦の声もうわずっている。 「あたしもとってもすてき………俊彦くんの太くて硬いオチンコでオマンコをずぶずぶ刺されて………体じゅう痺れちゃう」  からみつくような蜜壷の感触に、若い俊彦は爆発寸前だった。それでなくても、さっきからふたりの女にいじくりまわされていたし、理沙に挿入しながらも、そばにべったりはりついた由貴が後ろ側から手をさしこんできて、ふたつの肉球をおさめた袋をさすりあげられているのだ。 「たまんないよ………出る………ぼく………出ちゃうよ」 「待って………あたしも………もう少し………」  理沙の腰の動きが速くなった。  ちらりと見ると、自分の抜き身がすさまじい速さで女の恥ずかしい場所に出たり入ったりをくりかえしている。  ふいに体の底に打ちこまれていた肉の杭が、ひときわふくらんだ。 「ああ………で、出るぅぅぅ」  俊彦が情けない声を出した。 「あ、あたしも………い、いい………イ、イくっ!」  熱い樹液がすさまじい勢いで迸り、理沙の内部を坩堝に変えた。同時に理沙も歓びのあかしである淫露をしとどに溢れさせていた。  理沙が肩で息をしながら、がっくりと俊彦に覆いかぶさってきた。  ふたりはそのまま、しばらくぜいぜいと荒い呼吸のまま抱きしめ合っていた。やがて力を失った俊彦の陰茎が、周囲の膣襞の圧力に押しだされて、ぬるっと弾きだされた。   3 邪悪の宴  それにしても、ひどい一夜だったな。  あとから俊彦は思い返して、顔から火が出るような思いを味わった。理沙との情交がすんで体が離れると、由貴がすぐさま襲いかかってきた。  由貴は俊彦自身の粘液と理沙のおびただしい肉蜜にまみれてぐったりした淫棒をつかんで、汚れているのにいやな顔ひとつせず、ぱっくりと口に咥えたのだ。  興奮さめやらぬ粘膜が、その刺激に反応した。それでなくても、激しい情欲をもてあましていた俊彦は、すぐさま回復して、今度は由貴の中に侵入した。  それでけではない。  ひと通り終えたあとでも、ふたりの女は満足しなかった。今度は俊彦を奴隷あつかいして、ぬるぬるになった性器を舌と唇できれいに舐めて拭けと強要したり、しばらくして俊彦の欲望が回復すると、ふたりで並んで寝て大股を開き、交互に挿入することを促したりした。  さすがに俊彦も疲れを見せると、女たちはよってたかって俊彦の肉体を責めたて、張りを失った肉棒をくりかえし奮いたたせようと、あらゆる淫らな技をしかけてきた。  それにのって、勃《た》っちゃうおれもおれだな。  思わずにやけてしまったところを、すかさず生物の教師の山中が見とがめた。 「なにニヤニヤしてるのかな、進藤くん」  昨年国立大学を卒業してきて、この県立高校に赴任してきたばかりの女教師はいたずらっぽく笑った。いかにも親しみやすそうな雰囲気で、男子生徒の評判は上々である。女生徒の中には、この山中美智子が若い男といっしょに車に乗っているところを見たという者もいて、その意味でもみんなが気にしている教師だった。 「あ………いえ、なんでも………ちょっと思いだし笑いです」 「このスケベ」  誰かが野次をとばした。昼さがりの教室が爆笑の渦に包まれた。  そうさ、スケベ笑いだよ。俊彦はうっすらこみあげてくる笑みを隠しきれなかった。初体験で七、八回抜いたんだぜ。ニヤついて当然じゃないか。 「ま、いいか………それで、さっきのつづきね………」  山中美智子が生物の細胞膜の構造について話しはじめると、俊彦はまた淫らな妄想にふけりだした。  そういう目で見ると、白いチョークで黒板に何やら記号を書いている山中美智子の背中やヒップが妙になまめかしく思える。  きゅんと盛り上がったヒップ。教卓に両手をついて、ちょっとまえかがみになったときにのぞく胸もと。  銀色のティファニーのオープンハートのペンダントが光るそのあたりは、セックスに頭をふくらませている俊彦ならずとも、思わず男をぎくっとさせたり、股間をざわつかせるほど白くなめらかで、挑発力に満ちている。  やるぞ。俊彦は決意をした。さっきからズボンの中では、俊彦の女を知った陰茎がこれ以上は無理なほど激しく怒張して欲望のはけ口を求めている。  いつかきっと、山中美智子の股ぐらにおれにチンポコをねじりこんでやる。  だがそう決意したそばから、俊彦の脳裡にはなぜか義母の美佐子がどこの誰とも知らない男に挿入されて、ひいひいよがっている姿がくっきりと浮かびあがっていた。  最初は確かに強烈な快感に打ちのめされてしまった。だが、いったんことがすんで、男が名前も告げないで去っていき、学校から帰ってきた俊彦の顔を見ると、こんどは猛烈な後悔が胸をつき上げてきた。  何をしてしまったんだろう? 知らない男に無理やり犯されてたのに、自分から喜んで憎い強姦魔の忌まわしいものを迎え入れてしまうなんて。  それ以来、美佐子は毎日を悶々とすごしていた。  ニューヨーク出張中の夫にも申しわけがない。  外堀通りにそびえる巨大商社の部長である孝夫は、しじゅう日本とアメリカを往復していた。若くして孝夫の後妻に迎えられた美佐子にとって、ひとりの夜は長かった。  そうした夜のつれづれに、指で自分を慰めたことはある。思いきり股を広げて、ドレッサーの抽き出しの奥に隠してある器具を挿入してスイッチを入れ、オルガスムスを得たこともある。  だが、生身の男に秘所を剛棒で刺しつらぬかれ、それにケツを振ってこたえたというのでは、話の次元がちがう。  夫しか男性を知らないわけではない。大学時代に一人暮らしをしていた頃には、それなりに恋人もいたし、恋人といっしょに朝を迎えたことも何度かある。  だが結婚してからは………美佐子は鏡の中の自分をじっと見つめて、ヘアブラシをドレッサーに置いた。そのかたわらからウイスキーの入ったグラスを取り上げて、芳香を漂わせる琥珀色の液体を一気に喉に流しこんだ。  焼けるような痛みが、食道から胃まで駆け下りていった。  今夜は俊彦はバンドの練習とかで遅い。ひとりの時間が長びくにつれて罪悪感がいやましてきて、美佐子はひとり凌辱現場となった寝室にウイスキーを片手に入ってきて、ろくに食べ物も取らぬまま酒をあおっていた。  高校生の俊彦は、いまが一番感じやすいときである。孝夫からすればかわいいひとり息子だろうが、後妻の美佐子からすれば、いささか出来が悪くて二流の私立大学に進学できればもうけものといった程度の少年である。  ただその少年が、この半年でめっきり男っぽくなった。  体育の授業があった日などは、俊彦が入ってきただけで、十六畳はあるリビングルームの空気が一瞬にして男臭くなることさえあった。  孝夫はそんなことはないというのだが、女の美佐子は男の体臭には敏感だった。  昼間、俊彦の部屋の空気でも入れ換えようと部屋に入っても、その臭気が鼻を刺した。  そういえば………と美佐子はこのあいだのことを思いだした。  ベランダに干そうと俊彦のベッドからタオルケットを持ち上げると、その下からいかがわしい写真集がひょいと出てきたのだ。  放埒に四肢を広げた女ばかりが写っていた。もうしわけ程度の薄い下着からは、淫らな谷間の細部までくっきりと窺える。  最初はぎくっとして、悪いことでもしているかのように思わずあたりを見まわしてしまった。だが、なぜか胸は高鳴っていた。いったん閉じかけたページをもう一度開くと、美佐子は最後のページまで順番にじっくりと眺めてしまった。  女の肉体に興味をもって当然の年齢である。いや、夫の話では、とにかく生涯で一番性欲が激しい時期だというではないか。  こういった写真を見たくなるのも、頭ではわからないではない。  だが………ページとページが貼りついているのがわかったときは………しかもそれが、ごく最近そうなったらしく、紙がふやけている。その原因に思いあたったとき、美佐子は眩暈を感じた。血肉をわけているわけではない。その意味では他人だ。だが、同時に愛する夫の子どもでもある。  だが美佐子は、ときおり俊彦の制服のズボンのふくらみに目をやっていることに気づいて、ひとり赤面することがある。  とにかく、親子なのよ。どこの世界にわが子を卑猥な目でみる母親がいるというの?  理性ではそう必死で否定するのだが、それでも心のどこかで俊彦をひとりの男として見ていることはまちがいなかった。  気がつくとまたグラスが空になっている。機械的にボトルから酒を注ぎたし、唇に運ぶ。やがてそれを何度くりかえしたのかわからなくなる頃になって、忘却の眠りが美佐子を押し込んだ。  足音を忍ばせて階段を上っていくと、寝室のドアが開けっ放しになっているのに気づいた。  俊彦はそうっとドアの隙間に目を当てた。  かすかな寝息がきこえる。じゃ、義母《かあ》さんは家にいるんだ。俊彦はそっと寝室のドアを押しあけた。  美佐子はベッドの上で丸くなって寝ていた。サイドテーブルにはウイスキーのボトルと、半分ほど酒が注がれたグラスが置いてある。ボトルは三分の一ぐらいあいていた。  バンドの練習を終えてメンバーと簡単な食事をとってから帰ってきたので、時刻はもう十時近い。おそらく美佐子は、シャワーと浴びたあとで酒を呑んで、そのまま寝入ってしまったのだろう。  美佐子は、わずかに唇を開いた寝顔を見せている。俊彦が踵をかえそうとしたところで、眠っている美佐子がふいに「うーん」とひと声うなって寝返りを打った。  その拍子にレモンイエローのバスローブの裾が割れて、薄暗い寝室の中でもつややかな光を放っているような太腿がのぞいた。  俊彦の心臓がびくんと跳ね上がった。足はその場に釘づけでもされたかのように少しも動かない。  あの奥が見たい! だしぬけに欲望が腰のあたりで炎を噴き上げた。あの両の太腿の合わせ目が奥が見たい!  額にどっと汗が噴き出てきた。心臓が激しく鼓動をきざみ、股間の肉槍はそのテンポに合わせてぐんぐん鎌首をもたげてきた。  チャンスだ。酒を呑んでるんだから、きっと少しくらいのことでは目を覚まさないだろう。  もちろん、先日見知らぬ男の猛々しいものを根元まで咥えこんでいた現場を見ているのだから、これがはじめてというわけではない。だがあのときは、じっさいこちらは手も足も肉棒も出せない状態だった。  だが、今はちがう。  俊彦はそろそろと手を伸ばしてバスローブの腰紐をほどき、前を左右に押し開いた。たちまち、美佐子のスキャンティ一枚の裸身があらわになった。  呼吸につれてゆるやかに上下動をくりかえす、むっちりした乳房。その頂点でひっそりと何かをまっているような薔薇色とも焦げ茶ともつかぬ色合いの肉の蕾。  だが俊彦の一番の関心はやはり下半身だった。淡いブルーのスキャンティは、かろうじて下腹部の草むらのあたりを隠しているにすぎない。その中央の合わせ目がこんもりと柔らかそうに盛り上がっているのが、たまらなく男心をくすぐる。  美佐子は片方の膝を立てて寝ていた。そのおかげで、たいした手間もかけずに肉唇と膣洞の侵入孔のあたりを眺めることができた。  きつめのスキャンティの上からでも、そのあたりが微妙にふくらんでいるのがわかった。  寝室がだしぬけに蒸し暑くなってきた。気のせいだろうか? それでも額には汗がしずくを作っている。  とにかく俊彦は制服の上着を脱ぎ捨てて、ワイシャツ姿になった。  タックのはいったスラックスの前が、はちきれんばかりになっているのを手で確かめながら、俊彦はそっとスキャンティの中央部に指先を触れさせた。  最初は羽根で掃くように軽やかに触っているだけだったが、美佐子が一向に目を覚まさないばかりか、ますます寝息が高まっているのに気づくと、俊彦はますます大胆になった。こんなときでもなければ、義母の秘所を触ったりすることはかなわない。この機会を逃したら………一生触れないのだ。  指先に少し力を入れると、ぐんにゃりとした頼りない感触が伝わってきた。  そのまま指先をスキャンティの股ぐりに当てていると、柔らかさのほかにじっとりと湿った温かさがじんわりと染みてきた。  そのまま指をそっと上下に滑らせてみる。  スキャンティの薄い布地は、秘裂のなかにくぼんで浅い凹みをつくった。凹む部分と凹まない部分がある。  そのうち布地越しに触っているのが、まだるっこしくなってきた。なんとしても、じかに触りたい………義母さんのオマンコを………あの日強姦野郎のぶっといモノをつっこまれてたオマンコを………。  そう思うと、もういても立ってもいられなくなった。俊彦はそろりそろりと手を滑らせていき、スキャンティのゴムの部分に手をかけた。  と、美佐子がかすかなうめき声をあげながら、まことに都合よく寝返りを打つような体形に行きかけた。これこそ、まさに天の配材だ。  俊彦はすかさずゴムの部分にかけた指先に力を込めて、美佐子の腰が緩やかに回転する頃合いを見計らって一気にスキャンティを太腿の半ばまで引きずり下ろした。  たちまち、俊彦の目は飛びださんばかりになった。 「ううん………」  美佐子の声がして、俊彦ははっとして体を起こした。だが美佐子は口の中で何か呟いたと思うと、また安らかな寝息をたてはじめた。  安心して、美佐子の股間に目を落とす、恥ずかしくもかぐわしい芳香に包まれて、男を魅了してやまない女蜜の谷間があらわになっていた。  それはこのあいだ見た理沙や由貴の持ち物とは、またちがっていた。男の性器が人によって大きさはもちろん、長さや色がかなりちがうことは知っているが、それと同じことが女にもいえるらしい。  おまけにこのあいだ凌辱されていたときとくらべてもちがって見えた。猛々しい剛棒を挿入されていたときの女陰は、もっと赤らんでいたような記憶があるのだ。  俊彦は太腿のあいだに顔を近づけていった。  スキャンティをはいていたときとくらべて、芳香に酸っぱさが増したようだ。  ふっとあることに気づいて、俊彦はぎくりとした。  禁断の谷間の中央部、左右からはみだしている小さな肉びらにはさまれた膣口のあたりが、光っているように見えたのだ。  まさか………! いや、まちがいない。濡れてるんだ。  女が濡れるというのは、男でいえばエレクトするのと同じで、淫らな興奮を感じているときにほかならない。  とすると、義母さんは………やりたがってるんだ。  俊彦はさっそく手を伸ばして、蜜穴の両脇からちょろっと出ている肉の花弁を指先でこすりあげた。  美佐子の体がびくんと動いた。だが、単なる反射運動だったようだ。寝息が乱れた様子はない。  肉びらは、ちょっと押しただけでぐんにゃりと形を変えている。おもしろがって押したりちょっとよじったりしているうちに、だしぬけに真ん中の淫穴のあたりから絞りだされるようにして、透明な粘液がじんわりと溢れてきた。  さっそく指の先ですくうと、それは糸を引いてからみついてきた。鼻に近づけると、理沙や由貴とはまたちがった匂いがした。  ふたりの女子大生の肉汁が爽やかなボージョレ・ヌーボーだとすれば、美佐子の愛液は芳醇なブランデーのようで、味に奥行きと深みがある。  俊彦はぬめる指先をぱっくりと唇にはさんで、水分を吸いとった。たちまち舌を刺すぴりぴりという味が広がった。  そのまましばらく秘洞周辺の肉襞をいじくっていたが、やがてもっと周辺を探検しようという気になってきた。  美佐子はときおり苦しそうに小さくうめいたりはするものの、起きる気配はまったくない。俊彦は勇を鼓して、むっちりとふくれた生肉の土手を左右に押し広げた。表から見えるよりも、さらに赤らんだ粘膜が露出する。そして陰裂の開始点が草むらに埋もれるあたりには、肉で作ったこよりのようなクリトリスが覗いた。  小指の先よりももう少し小さいくらいだろうか。  俊彦は、ますますいきりたつ股間の若魔羅をスラックスの上からむんずとわしづかみにした。美佐子の膝のあたりまでずりさがったスキャンティを慎重に滑らせて、これ以上はないほどそうっと足から完全に引き抜く。  もう一度秘裂に顔を近寄せた。量こそ少ないもののあいかわらず肉の蜜がとろとろと流れてくるのを見つめ、それからふやけたようになった指先をさっき見つけた肉のよじれに当てて、そっと震動を加えた。  理沙に強要された行為をそっくりまねしているだけだったが、効果は驚くべきものだった。  美佐子の腰がくねって、敏感な肉の蕾を俊彦の指に押しつけてくるような仕種をしたのだ。赤らんだ小突起はその圧力で片側にくねったが、それがまた新しい刺激になったらしい。 「うう………うーん………」  美佐子の口から、男女合体のとき特有の快楽の兆候がかすかに洩れでてきた。  よし、もっといじくってやれ………。  俊彦は指先に全神経を集中させて、その小突起をさすりあげ、こすり、ねじった。  もう起きたってかまうものか。こんなに濡らしてるんだもの。いやとはいうはずがない。  女芯に稚拙だが熱心な愛撫を加えながら、俊彦のほかの指はいつのまにか肉洞の中へと吸いこまれていった。  逞しい男が自分の股間にひざまずいている。  夢の中で美佐子は女王様だった。筋骨隆々たる男を意のままに従わせて、恥ずかしい場所を触らせてあらんかぎりの快楽を得ようとしているのだ。 「そうよ、そこ………その小さいオサネをさするんだよ………」  美佐子がいうと、奴隷同然の若者はハンサムな顔でうなずいて、美佐子の陰核を指先でつまんでねじった。  若者は、引き締まった腹部にくっつくほど勃起させている。美佐子は足を伸ばして、その弾力を秘めた強靭な肉の槍を足の爪先でつついた——それも、いちばん敏感な先端の赤剥けの粘膜を。 「ひいっ!」  男が小さく悲鳴のような声をあげて、体をのけぞらした。 「触るのをやめるんじゃないよ!」  美佐子はぴしゃりという。 「こんどはお舐め」  美佐子はそう言って、両足を大きく開き、ずきずきと脈動する粘膜の谷間を若者に見せつけた。若者の視線が敏感な神経を刺すと、さらに内臓の奥から温かいものが広がってきて、どろりとした熱い液体が膣洞を満たした。  ぴちゃ。ぴちゃ。ぴちゃ。  猫がミルクをすするときのような音が耳を刺す。  美佐子の視界がぼやけてきた。  いつまでもオマンコを舐めていてほしい。ベロの先っぽを穴の入口に突っこんで、ぐるぐるかき回してほしいし、周辺の土手から襞から花弁から、何もかもいっしょくたにしてしゃぶりあげてほしい。  美佐子の意識が甘く沸きたつような愉悦の霧に霞んでいき、そして………。  はっとして目が覚めた。淫夢だった………。  だがぴちゃぴちゃという音はきこえてくるし、下半身からはあい変わらず微弱な電気を流されているような本能の痺れが全身に広がっている。  美佐子は薄目をあけてみた。  思わず声が出そうになるのをこらえて、あわてて目をつぶる。まさか………そんな………。  息子の俊彦が股間に顔をくっつけて、美佐子の羞恥の部分を舐めていた!  一瞬起きて叱り飛ばしてやろうかと思ったが、美佐子はこらえた。ここできつい言葉をいっても説得力がない。淫夢のせいで意図せずして、股間は洪水のようになっているようだ。いくら舐められているからといっても、肉体が喜んでいるのを見られたら、何をいっても女の負けになる。  それにしても………快感は刻一刻と強烈なものになっていく。  体の内部がだんだんと熱を帯びてくる。腰が動きだしそうになるのをこらえるだけで精いっぱいだった。  いけない! 血が繋がってないといっても、俊彦は息子よ。愛する孝夫さんの息子なのよ。このままほうっておいたら、この子はこの先どんな男になるっていうの?  理性はそう金切り声で叫んでいる。  早くやめさせなくちゃ。いくらなんでも、こんなこと許しちゃだめ。  だが、それを封じる悪魔の囁きが聞こえた。  気持ちいいんだろう? 舐められて、アソコがとろとろ溶けてきてるんだろう? いいじゃないか、快楽に身を任せちまえ。気持ちのいいことが悪いわけはないさ。  美佐子の内心の葛藤も知らずに、俊彦は立ち上がった。下腹部が痛いほどきばっている。  たとえ入れられないにしても、義母さんのオマンコを触りながら、マスをかくのもいいじゃないか。そう思いながら、俊彦はがちゃがちゃとベルトをはずしてスラックスの前を押し広げ、トランクスをずりさげた。  すっかり先走りの露にまみれてピクピクとひくついている肉棒を握り締めながら、俊彦はまた美佐子の太腿のあいだにしゃがみこんだ。  美佐子は薄目をあけて、その一部始終を見ていた。  あんなに大きくして………。息子が砲身を引っぱりだして手のひらに握るのを眺めながら、美佐子の理性は完全に吹き飛ばされていた。  いまや彼女は、男の力強さに圧倒されている雌にすぎなかった。  息子の男性はすっかり一人前だった。マッシュルームの部分は完全に露出しているし、ヴォリュームの点でも、ふてぶてしい面構えでも、孝夫のそれとくらべてまったく遜色がない。  若いうちから漁色をかさねてきたという孝夫のものは、たしかに淫水焼けして逞しかったが、若さが発散するこの内側からの色つやとパワーにはかなうまい。  男の匂いが鼻孔を満たした。それだけで美佐子は、いったん夢から覚めた自分が、また薔薇色の淫夢に沈みこんでいきそうな気分になった。  もし………もし………あんな若々しいもので貫かれたら、きっとわたし、どうにかなっちゃう。  そう、貫かれたいのだ。あの重量感のある肉棹を濡れた鞘で包んでみたい。  体を起こして、俊彦の勃起にむしゃぶりつきたい欲望をようやく押しとどめた美佐子を次の試練が襲った。  俊彦の片手が自分自身に添えたまま体を前に倒してきて、のしかかってくるような姿勢を取ったのだ。俊彦としては、少しでもふたりの陰部を近づけたかったにすぎない。  美佐子の心の中は狼狽と逡巡との嵐だった。ここまでやられるとは思わなかった。  だが、俊彦には挿入する気はなかった。なんといっても美佐子の姿勢が不自然で、かりにどんな奇抜な体位をとったにしても、とうてい男女の結合はかなわない。  それでも、少し無理をすれば、せめて先端だけは濡れた女陰に触れさせることができる。俊彦は静かに腰を前に進めて、男の武器をできるだけつきだした。  感じやすい先端にぬるりとした感触があった。  やった! くっつけたぞ!  痺れるような感覚が体じゅうに広がってくる。できれば、一気に挿入したい。入口に先っぽをあてただけでも、こんなにじーんとくるんだから、ずっぽり中まで入れちゃえば、きっとこの百倍くらいは気持ちいいにちがいない。  快感の曲線が急激なカーブを描いて上昇し、クライマックスの寸前にやってきた。  太腿の奥にひきつれるような痛みが走る。  俊彦はうしろ髪を引かれる思いで、美佐子の性器から体を離した。  ベッドのかたわらに立って、ガウンの前をはだけてスキャンティをずりおろされた美佐子の寝姿を眺めながら、俊彦はこれ以上はないほど屹立した自分の分身を握りしめて、力まかせにしごきたてた。  立てた膝のあいだにのぞく禁断の部分からは、甘い快楽の蜜がとろりとろりと流れだしている。さっきまでは透きとおっていたのに、今は少し白っぽく濁っている。  それにペニスに直接衝撃をくわえるような、あの淫靡な香りもさらに濃厚になっているようだ。  これまでこらえにこらえていた俊彦は、ものの一分もしないうちに若いエネルギーを爆発させていた。  ねっとりした白い樹液が、いくどとなく噴きだしては、美佐子の白い腹やたわわに膨らんだ乳房や、黒々した下腹の翳りに、傍若無人に降りかかった。  強烈な快感が腰のあたりの鈍い痺れに変わってしまうと、俊彦は名残惜しげに美佐子の股ぐらをのぞきこみ、さらに義母の腹に飛びちったザーメンを、手のひらで薄く引き伸ばした。これまで見たアダルトビデオでは、男優が必ずといっていいほどこれをやる。俊彦も真似したかったのだ。  美佐子のスキャンティを、おろしたときよりもさらに慎重にもとあった位置に引きあげた。  引きずりおろすときには、欲情で目もくらまんばかりだったから、はかせなおすのがこれほど大変だなどとは考えもしていなかった。  美佐子が「うーん」と小さくうめき声をあげながら寝返りを打ち、その拍子に腰をちょっと上げてくれた。  よかった。これでなんとか………。  うまいぐあいに小さな布きれは、まろみを帯びたヒップと下腹部の草むら、それにその下に見え隠れするサーモンピンクの肉びらをうまく包んでくれた。  美佐子のガウンの前をもとのように合わせると、下半身に快感の名残が燠火のようにくすぶっているのを意識しながら、俊彦は抜き足差し足で寝室をあとにした。  俊彦がドアを閉めるなり、美佐子はベッドからはね起きた。  まったく、なんていうことをしてくれたんだろう? 義理の子どもとはいえ、先のことが心配でたまらない。  孝夫は仕事仕事で、年頃が微妙な俊彦のことであっても、とても眼中にないようだ。いきおい、俊彦のことは美佐子にまかせっぱなしである。  ティッシュで肌に飛びちった俊彦の精液を拭う。  孝夫にくらべると、量も遥かに多いし、栗の花のような匂いも強烈だった。  ギラギラ輝くような俊彦の亀頭が目の前にちらつきだし、美佐子はあわててかぶりを振って、肉欲が見せる幻を追いはらった。  股間のあたりにもしたたりが見られたが、幸い肉扉にはかかっていない。それでも念には念を入れ、カーペットの上にしゃがみこんで、アンダーヘアのあたりから、ヒップの谷間が背骨の終点とあわさるあたりまで、丹念に拭きとった。  美佐子の肉体を濡らしているのは、俊彦の精液だけではなかった。  彼女自身の欲望の泉が、堰を切ったようになって、かなりのしたたりを溢れさせていたのだ。  義母の肉体を虎視眈々と狙う高校生もそら恐ろしいものがあるが、義理の息子の若々しいセックスのあかしに血を滾らせてしまうのも、どうかしている。  いや………それをいうなら、どこの誰とも知らない強姦犯人の腰づかいに翻弄されて、二度ばかりか、三度、四度と絶頂をきわめたことはどうなるのだろう。  あのときほど乱れたことは、あとにも先にもない。  会社にいたころ、当時上司だった孝夫と人目を盗んで皇居のお濠ばたをぐるっとまわったところのシティホテルで、何度も密会しては、濃厚な時間を過ごした。  すばらしい情事だった。  こんなにセックスの相性のいい人がいるのかしら? 神様はふたりのアソコがぴったり合わさるように、ちゃんと作っててくれたのね。  そう驚嘆したのだが………でも、もうメじゃないわ。快感だけなら………。  美佐子はぶるっと震えた。自分はなんということを考えているのだろう?  夫のある身でありながら、強姦されて恥ずかしいくらいヒイヒイよがり声をあげて腰をうち振り、いままた情欲の虜になっている息子の勃起した肉棒を目にして、股間からたらたらラブジュースをたれ流している。  わたし、変だわ。美佐子はいつしかティッシュではなく、指を直接股間に這わせながら、そう思った。いったん沈みこんだ愛欲の炎が、ふたたび勢いよく燃えはじめている。  五本の指が全部、粘液にまみれてしまうころ、美佐子はわびしいひとりきりのオルガスムスを迎えていた。   4 恥辱の洗礼  家を出てスーパーのほうに向かいかけたところで、美佐子はぎくりとして立ちどまった。  午前十一時。家の中の片づけも一段落していたので、いつもは夕方にする夕食のおかずの買物を午前中にすませてしまおうと、家を出てきたのだ。  まちがいない。あの男だ。  美佐子の家は、住宅団地のメインストリートに面している。その広い通りを向こうから歩いてくるのは、まさしくこのあいだ美佐子の肉体を思うさま蹂躙して、彼女を辱めたあの憎むべき強姦魔にちがいない。  あのときと同じようにきちんと背広を着こみ、手には大きめのアタッシュケースをさげている。外見からでは営業のサラリーマンだ。  警察に電話よ。いますぐ110番するの。あのときのことを、あらいざらいしゃべってやる。証拠はないけど………  証拠がないどころか、あの男はこのわたしが歓んでのたうちまわったのを知っている。そうしたことをあらいざらいしゃべられて、強姦ではなかったと主張されたらどうしよう?  しかも、男の悠然たる足どりと、遠くから見ていてもそれとわかる、運動選手のようながっしりした体格に、美佐子の目は釘づけにされていた。どうしてだろう?  おまけに、体の奥深いところで、何かが疼くような感じがするのはなぜだろう?  男のほうも気がついて、鋭い視線を美佐子に注いでいる。  ふたりの距離がせばまる。あと二十メートル。十メートル。五メートル、三メートル………先に話しかけたのは、美佐子だった。 「ちょっとよっていきませんか? お話があるんですが」  男は何もいわずに、こっくりうなずいたかと思うと、美佐子のあとから居間に上がりこんできた。 「じつは、わたしもお話がありましてね」  居間の応接セットにすわると、男はルイヴィトンのアタッシュを膝に載せ、蓋をあけた。  さしむかいに腰をおろした美佐子は、これから舌鋒鋭く男を責め立てようとした矢先に、あっさり出鼻をくじかれてしまった。 「なんですか。話って? いまさら話でもないでしょう?」  美佐子は切り口上でいった。 「自分が何をしたかわかってるの? わたしの生活をぶち壊せば気がすむの?」 「まさか!」  男は心底驚いたような顔になった。よく見ると、まだけっこう若い。ひょっとすると、美佐子と同じくらいの年齢だろうか。 「そんなこと考えてません」  無邪気とさえ取れる口調だった。 「じゃ、いったいなんでまた、のこのこ顔を出したりしたのよ?」 「じつは………」  男はじっと美佐子の目を見つめた。 「男の人と遊んで、それでちょっとしたお小遣い稼ぎをしませんか?」  何を言われているのか、一瞬わからなかった。 「………ちょっと、ちょっと待ってよ。わたしに売春しろというの?」  美佐子は怒りのあまり、品のいい顔を赤く染めている。 「何をいいだすかと思えば………とっとと出てって、さあ、早く。二度と顔も見たくないわ。あ、あんなことした………あとで」 「ほう、いやならいいんですよ」  男は陰惨な笑いを浮かべた。アタッシュケースの中から写真を出し、それを美佐子の手に押しつける。 「ただし、ご返事はそれを見てからのほうがいいと思うな」  写真をわたされるときになって、男の左手の小指がないのに気づき、美佐子は慄然とした。だがそれも写真を見たときのショックにはかなわなかった。  少しぼけてはいるが、はっきり美佐子だとわかる女が男に体の中心を貫かれている写真だ。いったい、どうやって撮ったのだろうか? 「小型カメラも最近はいいのが出ていてね」  美佐子の心中を読みとったように、男はいった。 「煙草のパッケージそっくりのもあるんですよ」  何かいおうとしても、言葉が出ない。男があれこれ恫喝めいた文句を並べているのも、耳に入らなかった。 「じゃ、最初の客があと三十分ほどしたら車で迎えにくる。だから駅前のロアールという喫茶店で待ってな。行かなかったりしてみろ。何があっても、知らねえぜ」  その筋の者だということが露骨にわかる口調でいうと、男は去っていった。  いやも応もない。美佐子は夢遊病者のような足どりで指定された喫茶店に向かった。  約束だといって現れたのは、でっぷり太った不動産業者だった。趣味の悪い、てかてか光るスーツを着て、金のばか太い指輪をいくつもしている。  後生大事にさげている黒い革のポーチには、預金通帳と架空名義の印鑑でもつまっているのだろう。 「こ、こりゃあべっぴんさんだ」  中沢と名乗る不動産屋はぶあつい唇をだらしなく開いたまま、涎をたらさんばかりにしていった。 「あんた、初めてなんだってな。三浦組の浅田とかいう若い者がいっとったよ………いや、心配せんでいい。わしはな、こう見えても、あっちのほうは巧いんじゃ。まかせなさいって。悪いようにはせんから」  中沢は何がおかしいのか、大口を開いてがははと笑った。  美佐子は汚らしい口の中や、しみの浮きでた下品な面相を見ているのに耐えきれず、下をむいて肩を震わせるばかりだった。  黒塗りでスモークガラスのはまったデボネアに乗せられて、美佐子は郊外のモーテルに連れていかれた。部屋に入るなり、中沢は美佐子の体を服の上から撫でまわし、葉巻の臭いがぷんぷんする唇を重ねてきた。 「シャワーを浴びさせてください」  からみつくような舌の攻撃から逃れて、ようやく美佐子はいった。  だが中沢はきっぱりとかぶりを振った。 「だめだね………わしはあの女のツーンとくるオマンコの垢をぺろぺろ舐めるのが大好きでな。前の日から予約を入れられようるなら、もうそのときから一切風呂には入るなと言い渡すくらいだ………だから、だめだ」  そう話しながらも、肝斑の浮きでた大きな手をノーマ・カマリのスーツのスカートから差し入れ、パンティの上から美佐子のいちばん恥ずかしいところに指先をあてて小刻みに振動させている。  肉と肉にはさまれて眠っていた敏感な突起が頭をもたげてきて、愉悦の脈動を刻みだしていた。 「お願いです………もう、よして………ください………でないと、変になっちゃいそうで」  美佐子は体をよじって中沢から離れようとした。 「なれよ、え、もっと変になったらいいじゃないか………おやおや、案外着痩せするタイプだね、奥さん………むっちりしたいいおっぱいじゃないか………さあ、邪魔っけな服だのブラジャーだのを脱がしてあげよう」  そういうなり、中沢の手が遠慮会釈もなく美佐子の服をはぎ取った。ブラジャーの金具をはずすときには、ちょっと手間どったが、それでも美佐子には抵抗するひまもないほど巧妙な手つきだ。 「ほんとに………勘弁してください………わたし、こんな女じゃ………」  美佐子は乳房をまさぐる中沢の手を、自分でびっくりするくらい荒っぽくぴしゃりとはねのけた。  そのとたん、中沢の好色親父めいた野卑な顔に凶暴の色が浮かんだ。 「やさしくしてりゃあ、つけあがりやがって、このアマ! いいか、てめえはな、ただのパン助なんだよ。金をもらったかわりに、オマンコをおっぴろげて男にヤラせるだけの淫売さ。わかってるんだろうな」  しみの出た顔が赤黒くそまっている。巨大な手をぐっと伸ばして、中沢は美佐子の髪の毛をわしづかみにした。  美佐子の顔から血の気がさっと引いていった。足からだしぬけに力が抜けていく。みぞおちのあたりに冷たいものがこみ上げてきた。  逆らったら、どんな酷いことをされるかわかったものではない。  美佐子はがくがく震える顔を、ようやっとのことでうなずかせて見せた。 「わかりゃあいいんだよ………そんなにビクつくなって」  中沢はふっと顔の表情をやわらげて、猥褻な手の動きをつづけだした。 「高価そうなスカートだね………破られたくはないだろう? だからそうっと………」  はらりとスカートが床に落ちるのがわかった。 「旦那さんは何をやってるんだい? 商社づとめなんだって?」  あの浅田とかいうヤクザ者は、そこまで調べていたのか。慄然たる思いを抑えきれないまま、美佐子はぐったりと中沢に身を預けた。  じたばたしても、身の破滅を招くだけだ。 「そうそう、そうやっておとなしくしてなさい………そうだ、あんたに服でも買ってやろうかの………こんなきれいなお尻をして………すべすべじゃないか………そうとも、服を買ってあげよう………どんなのがいいかな………」  中沢はひっきりなしによくしゃべった。  しゃべりながら、脂ぎった手のひらで美佐子の背中といわず腕といわず、透き通るように白い肌を撫でまわしていく。  美佐子は何もいわなかった。ぎゅっと目をつむり、拳を握りしめて、淫らな愛撫に必死で耐えようとした。  何も反応をしめそうとしない美佐子をまったく無視して大きなベッドに彼女を誘うと、中沢はさらにねちっこく人妻の肉体を手で愛でた。 「きれいな背中だな………商売女には背中の汚いのが多くってな、ああいうのはいやだ………奥さんみたいに真っ白な背中がいちばんだよ………」  背中はだめ! だって………弱いんですもの………背中を触られたら………感じちゃう。 「この背骨のくぼみのシコシコっていう感触………たまらんよ………腰のあたりのここのくぼみもいいもんだな………肩の骨がひくひくって動くところもいい………ああ、たまらんよ。ほら、触ってくれや。こんなになっちまった」  中沢は強引に美佐子の手を取って、自分の股間に導いた。縞の下着の中でいきりたつ肉棒の感触に、美佐子の体がぎくっとふるえた。 「わしのが勃ってるのがわかるだろ? え、奥さん。あんたのオマンコもじっとり湿っぽくなってきたぞ。え?」  手のひらにはズキズキと熱い脈動が伝わってくる。六十は越えていると思われるのに、そこばかりは奔馬の勢いがあった。 「でかいか? どうだ、旦那のより立派だろう? こいつでずいぶん女を泣かせたもんだよ、ソープランドの商売女を本気でヒイコラいわせるのなんざ、ざらでね」  手を離さなきゃ。だめよ、孝夫さん以外の人とこんなことしちゃ。今度は強姦されているわけではないのだから、申し開きはできないし。  それでも美佐子の手は、それ自体に意志があるように、中沢の灼熱の勃起からいっかな離れようとはしなかった。  そればかりか、中沢の脈動に合わせて、敏感な肉の突起までもズキズキと蠢きはじめている。 「奥さん………え、いい塩梅になってきたようだね………足から力が抜けてるじゃないか」  美佐子の足もとにしゃがみこんで、中沢はすらりとした足をペロペロと舐めまわしている。 「おやおや、パンティにシミがついてきちまったぞ………ほう、透けとる透けとる、いや、これはいい眺めだ………、奥さん、あんたのはまた大きくて上品な色をしてるの」  卑猥な眺めを次から次と口にされて、美佐子の頬が羞恥に赤く染まった。 「どれ、こんなちっぽけな布きれは剥しちまおうか」  中沢はどっこらしょと体の位置をなおして、無抵抗の美佐子の下着を情け容赦なくはぎ取った。  突き刺すような中沢の視線を肉の亀裂に感じて、美佐子はいっそ死にたいとさえ思った。だが、意に反して恥ずかしい部分は持ち主本人の恥ずかしさも知らぬげに、喜悦の痙攣をはじめていた。  だめだわ………もう抵抗できない………体が………体が反応しはじめてる………。 「さて、わしにおマタの奥の観音様をおがませてくれるかな………ほう、顔とおんなじできれいなもんじゃないか………外側は少しばっかり茶色くなってるな………亭主に舐められて色が変わったんだろう? この助平な女め………助平だな、おまえは、本当に助平だよ。おサネが顔を出してるじゃないか。触ってくれ、触ってくれといっとるようだぞ。どれどれ、じゃあ期待に応えてやるとするかな」  中沢の指が無造作に突きだされて、美佐子の敏感な愛の肉塔をちょんとつついた。 「ひいっ!」  股間から脳天にものすごい快楽の電撃が走り抜けた。  美佐子はあえぎあえぎ、背中を弓なりに反らした。  目の前に星が散らばる。中沢は休む間も与えずに、たてつづけに女の勘所に淫らな指のタッチをくりだしてきた。充血しきった粘膜に中沢のざらつく指先がこすれるたびに、前よりも激烈な電流が全身を貫いていく。  欲望の炎が次第に燃え上がってくる。その炎に焙られて内臓が溶けていき、体の内側から力がぐんぐん抜けていく。 「いいかい? え? いいだろう。そうとも、そうとも、いわなくたってわかるぞ。ほれ、ここがこんなにニチャニチャしてきた」  中沢の指はサーモンピンクの肉襞をすくいあげるような動きをした。 「これがわしの精力の秘密でな」  中沢はそういいながら、膣口から流れだしたばかりの快楽の甘露を指にとって、ぱっくり口に咥えると、ちゅうちゅう音を立てて吸い始めた。 「奥さんのは生ぐさいな………お肉の味だ………こういうのがいちばん効くんだよ………わしはな、大きな取り引きの前には必ず若い女を抱くんだ」  美佐子が本格的に欲情したきたのを見て安心したのか、中沢は淫猥な指の動きをひとときたりとも休めずに、べらべらしゃべりだした。話の切れ目には、指をしゃぶるべちゃべちゃという音がきこえる。 「………ある政府機関の土地入札の談合のときだ。あんときは、ここいちばんという大勝負でな、ま、名前をいえば誰だって知ってる右翼の大物に話をつけたんだが、その席に向かうときには本物の女子高生を抱いてたんだ」  中沢はしゃべりながら、自分のワイシャツのボタンを器用にはずしている。 「じつにきれいな娘でな………さっきの車な、あれを運転手に運転させて、わしは女子高生をうしろの席に連れこんで、オマンコをくじりまわしながら会場の料亭に向かったのさ………あの娘は若いだけあってしょっぱかったっけ………でもオマンコは練れてた………」  そこで中沢はひとしきり黙って、太い人差し指をあえぐばかりの美佐子の膣洞深くずぶずぶと突っこんだ。 「ああ………そんなこと………」 「奥さんのもよく練れてるよ………ほうら、指を抜こうとすると、中のビラビラがからみついてきて、行かないで、抜かないでってせがみやがる………」 「は、恥ずかしい………そんなこといわないで」 「いわなくたっていいさ………でも、ほうら、こんなに糸を引いてるよ、ねばねばが」  中沢が指を抜き差しするたびに、美佐子の意識は薄れていった。頭の中から理性が消えていき、セックスのことしか考えられなくなってしまう。  いやだ。こんな中年男、虫酸が走る。あの臭い口の中にあった舌で舐められるなんて、鳥肌もの。  そう思ってみても、肉体は正直で裏切り者だった。  中沢が指を抽送しながら、ぼってりした舌で草むらをかきまわして、さらに包皮からルビー色の顔を飛びださせたクリットをしゃくりあげると、体が愉悦の大波にさらわれてしまう。  膣肉が痙攣して、ひっきりなしに熱い愛の甘露をしたたらせているのがわかった。  昨夜息子の俊彦にさんざんいじくられて、性的に昂ってしまい、指の悪戯で興奮を鎮めたものの、どうやら男のと情交の旨味を知った肉体はそれでは満足していなかったらしい。 「あう………ひい………か、感じる………す、すごい………」 「だろう? もう欲しいんじゃないか? 早くオマンコにこいつをおっ立ててほしいんだろう?」  中沢は、せりだした腹の下から突きだして威容を誇っている肉棒を、ヴィーナスの丘のあたりに押しつけて、ぐりぐりいわせた。柔らかなヘアの下のふっくらした陰阜が押し潰されそうなほどの力だ。  男のシンボルの逞しい硬度をもろに感じて、美佐子の欲望は一気に昂まった。  もはや、無理やり売春をさせられているという意識はない。  ただ男に貫かれて高みに押し上げられたいと思っている、一匹の雌にすぎなかった。  こうやって堕ちていくんだ………心のどこかで声がした。  だが髪の毛を引っぱれて股間に顔を押しつけられると、美佐子は精いっぱい舌を伸ばして、赤黒いカリの部分に舌先をつけていた。  鈴口からは、欲望を示す玉露が流れだして、鰓の周囲のくびれや柄の部分をぬらぬらと光らせている。  鼻をつく刺激臭にいったんは胸が悪くなったものの、すぐにもう一度嗅ぎたくなった。胸いっぱいに男にきつい体臭を吸いこむ。  臭気が麻薬的な効果をもたらして、美佐子の蜜壷は歓喜と淫欲にむせび泣いた。 「たっぷりしゃぶってくれよ………裏がわもな………ほう、うまいもんじゃないか………旦那のもこうやっておしゃぶりしてるのかい? おやおや、これは聞くまでもないな。どうだ、味は? え? 美味いだろう? そうそう、女にはこれが何よりの御馳走だよ。いや、そうれとも、早く下の毛の生えた口で食べてみたいのかな」  中沢はそういいながら体の位置を変えた。背中を曲げて、自分の股間にむしゃぶりついている美佐子の背中にまわりこむ。  そこから首を伸ばしただけで、美佐子の羞恥の秘谷のゴージャスな景観が中沢の目の前に展開されていた。  中沢は金歯をむきだしにして猥雑そのものの笑みを浮かべると、ぶあつい唇をがっぷりと音を立てて美佐子の陰部に貼りつけた。 「きゃあっ!」  美佐子が思いもかけぬ歓楽に悲鳴をあげた。  中沢は左右にゆれるヒップをわしづかみにして、ふくよかな肉の半球を容赦なく左右に押し広げた。  淫裂はもちろん、その周囲の肉襞やぼってりとした大陰唇までも左右にぱっくりと割れる。もちろん、ひそやかに息づいている菊門も丸見えだ。 「奥さんみたいなきれいな人になると、おケツの穴まできれいだよ………ほうれ、ちょっと広げてみようか」 「ああ………それはやめて………いやっ………だめです………汚いから」 「汚いものかね。たしかにちょっと匂うがな。わしは大好きだよ。美人のおケツのくさい匂いがな………ああ、広げると中はきれいなピンク色だ。オマンコのドドメ色とは大ちがいだよ。奥さん、これはケツの穴の女王様だ」  中沢は舌先を尖らして、指先で開いた美佐子の秘肛に舌をねじこんだ。  その異様な感触に美佐子は、ひっと叫びを洩らした。  夫にさえ許したことのない地点だ。そこを、会ったばかりの男にじっくり見られて、舐められている。たまらなく自分がみじめだった。  だが、体のもういっぽうの出口を舐められることで、未知の新しい快感が美佐子を包みこみはじめた。 「うん、だんだんアナぼこの筋肉が弛んできたぞ………よし、じゃ、もっと深くつっこんでやる」  中沢はそういいざま、舌を引っこめて代わりに人差し指をセピア色した菊の花に突き立てた。それだけではない。それと同時に、同じ手の節くれだった親指を鮮紅色の肉の渦巻きの中心部に一気にさしこんできたのだ。  同時に二箇所の肉穴を責められて、美佐子はあっという間に息もたえだえになった。 「いや………だめ………もう、だめ………死んじゃいそう………ああ………来る………何か来る………すごいのが………ヒッ………ヒイイイッ!」  中沢はとなりあうふたつの穴を隔てる薄い肉の壁越しに、二本の指をこすりあわせている。  内臓が裏返しにされそうなまったく新しい愉悦に、美佐子の全身の細胞がびりびりと震えた。すでに、顔の前で揺れている中沢の猛々しい逸物を舐めることも忘れている。根元にそえた手だけは、しっかりと離してはいない。  ほしかった。ひたすら、中沢のこの青筋をたてた男の器官を体の奥深くまで埋めたかった。  鋼の硬度をもつ太魔羅で、ぐずぐずに溶けた蜜壷をいやというほどかきまわしてほしかった。  美佐子の欲望曲線が臨界にまでたかまったことを、助平男の直感で感じ取ったのだろう。中沢は膣洞と秘肛を巧みにくすぐる手を休めずに、でっぷり太った巨体を驚くほど器用に動かして、美佐子にのしかかる姿勢を取った。  自分の指と指の隙間から、灼けただれるような亀頭を美佐子の粘膜に触れさせた。  ほしかったものが、すぐそこにある。  そうわかっただけで、美佐子は狂乱状態になった。腰がひっきりなしに動いてしまい、少しでもいきりたつ男根に近づこうとしている。 「早く………ほしいの………」  羞恥を乗り越えていった科白は、中沢に一蹴された。 「奥さん、それだけじゃわかんないよ。え? 何がほしいの? 大人同士なんだから、はっきりいってごらん。え、何がほしいのかね?」  粘りつくような口調でいいながら、中沢は巧みに腰を揺すり立てて、美佐子の情欲の炎に油を注ぐ。 「あ、あれが………あれを………」 「だめだめ」  中沢はチッチッと舌打ちをした。 「はっきりいってごらん」  体の底にあいた穴が、太く逞しい男の海綿体で空虚をみたしてほしがっている。  焦れったさに、べとべとの涎をたらしながら、肉襞が収縮をくりかえし、そのたびに欲望が一分刻みで昂まってきていた。 「あなたの………ぺ………ペニスが………」 「ペニスってのは、これのことか?」  中沢は猫なで声でいいながら、美佐子の股間から手を引きだして腰を完全に女の足のあいだに落としこんだ。  そのまま巨根の先端部分だけをぱくぱく口を開いて挿入を促している部分にあて、腰を揺さぶった。 「そう………それ………早く………入れて………」 「入れてって、どこに入れればいい?」 「ここよ、この………」  美佐子が長大な勃起をつかんで引き寄せようとしたのを、中沢はあっさり逃れた。 「そこはなんていうんだい?」 「い、いえない………恥ずかしい」 「いうんだ。さもなきゃ、こうだぜ」  中沢は体を起こして、美佐子から離れるそぶりをした。ふいにたのもしい体の重みが消え失せたので、美佐子はあわてて手を中沢の腰に巻きつけて、足を相手の男の足にからみつけた。 「あたしの………アソコに………入れて………」  やっとの思いでそういったのに、中沢はうんといってくれない。そればかりか、いきなり平手でぴしゃりと頬を叩いたのだ。 「気どるんじゃねえ。はっきりいったらどうなんだ。え、さっきからおれにチンボをはめてもらいたかがっている癖に。まったく助平だよ、おまえは。娼婦が似合いだな。だけどな、教えてやろうか、娼婦ってのは、そこまで恥じらいはしねえもんだぜ」  美佐子の欲望の霧が瞬時にして晴れていった。わたし、なにをしてるんだろう? ここでやめなくちゃ、今ならまだ………。  美佐子が起きあがろうとした瞬間、中沢は一気に美佐子の膣肉を肉の棒で切り裂いた。 「ヒイイ!」  美佐子はばったりとベッドの上に倒れこんだ。  中沢の剛棒は、根元まで柔肉の中にすっぽりおさまってしまった。 「これは………思ったとおりだ。すごくいい………ちっちゃなブツブツがくすぐってきやがる。たまんねえな、この男殺しのオマンコはよ」 「そ、そうよ、オマンコよ」  美佐子は息をあえがせて、恥ずかしくてたまらなかった卑語を口走った。 「オマンコ、気持ちいい………とってもいい………もっと………オマンコ………突っこんで………ああん、もう、………オマンコ………」 「やってやるぜ………」  中沢の先端が、子宮口をぐりぐりとつついている。  鰓が襞をこすり上げ、たっぷりとヴォリュームのある精袋がひたひたと濡れきった会陰部を叩いていた。  中沢は前後左右、自在に腰をつかって美佐子を責め立てた。  回転して攪拌することもあれば、今にも抜け落ちるか、あるいは根元から折れそうなほど無理な姿勢で抽送をくりかえすこともある。  美佐子は小さな絶頂を何度も味わった。  瞼の裏に白熱の光が広がった。  腰から下だけが、出入りする肉棒から少しでも多くの刺激と愉悦をかすめとろうとして、びくんびくんと痙攣している。  ふたりの粘液がかきまぜられて、白く泡だってしまっていた。  中沢はときおりふたりの接合点に手をやって、その粘液の泡を指先にとっては、美佐子をつき上げながら口に運んでいた。  だが、もちろん美佐子はそんなことを知るよしもない。  粘膜と粘膜が擦れあう目もくらむような快感に、必死で耐えているだけだ。  眉根を寄せて、快楽の喘ぎを洩らしている美佐子を組み伏せながら、中沢のほうもはあはあと荒い息をついていた。  美佐子の歓声がオクターブをぐんぐんと上げていった。  それがとぎれがちになっていき、雄大な中沢の肉茎をしっかりと咥えこんだ腰がぶるぶると震えだした。 「来る………もうすぐ………イきそう………ああ、もうすぐ………すごい………だめ………ああん、オマンコがひくひく………もっと………もっとお………やって………突っこんで………チンポコを突っこんでえ」  美佐子は鼻にかかった声を出したかと思うと、急に野太い声になった。ふいごのように音を立てて息をしながら、白い肌を薔薇色に染めている。シーツをかきむしり、体をばたつかせるたびに、乳房がゆさゆさと揺れた。  中沢の胸のあたりに、屹立して硬くなった乳首がこすれる。  汗みずくの体がぶつかり合って離れるたびに、ベチャッという淫らな音がした。股間のあたりからも、湿った肉同士がたてるにちゃにちゃという音が聞こえた。 「やってやるさ………さあ………これはどうだっ! ………ああ………奥さんのオマンコがぐいぐい締めつけてきやがる………たまんねえ………魔羅がひくひくいってよろこんでるぞ………」  かたくつむった美佐子の瞼の隙間から、随喜の涙が溢れだした。 「いい………たまらない………いや………また来た………またイッちゃう………いやあん………」 「イけよ、この助平女………オマンコが好きなんだろう? え? ほれ、こいつは………どうだっ!」 「うわっ! ひい! イ、イ、イッちゃう………」  美佐子がぎりぎりと歯をくいしばった。絶え間ない腰の動きがぴたっとやんだ。  と思った瞬間、美佐子の体が硬直して、中沢の体の下でそりかえった。 「わしも………イくぞ」  中沢はひときわ腰をうしろに引いて、雄物が抜け落ちそうな姿勢を取ってから、全身全霊の力をこめて腰を叩きつけた。  ぐりっという子宮口の感触をグランスのあたりに覚えながら、中沢はおびただしい量の樹液を放出していた。   5 牝獣の淫蜜  俊彦は夕食を終えると、義母の美佐子に部屋で勉強すると告げた。  二階の自分の部屋に入ると、扉の鍵をかけてCDラジカセのスイッチを入れた。TMネットワークのタイトなシンセがスピーカーから流れだした。  ほうっておけば、五枚ぶんのCDをかけっぱなしにしてくれる。俊彦はタイマーで十二時ごろまで音楽が常に流れているようにした。  そんな小細工をしなくても、美佐子がわざわざ様子を見にきたりはしないのはわかっている。たぶん、遠慮からだろう。  いくら母親を気どったところで、しょせんは他人だ。  俊彦はベッドの下に隠してあった靴をはき、サッシの窓をあけてベランダからひらりと飛び降りた。  はっきり出かけるといってもいいのだが、これから自分がすることを考えると、なんとなく気が咎めて、うまい嘘をつけそうにない。  理沙のマンションは、俊彦の家から歩いて十五分ほどのところにある。  白い壁の八階建ての建物の姿が見えただけで、俊彦の股間にはぞくぞくっというような武者ぶるいが走った。きつめのジーンズに包まれたふくらみが、急速に熱を帯びてくる。  夜もそれほど遅くないので、駅からこっちに通じる道にはけっこう人通りも多い。俊彦はジーンスの前立ての盛り上がりを見咎められないかと、ひやひやしどおしだった。  今夜出てきたのは、夕方理沙から電話があったからだ。 「このあいだはとおっても、楽しかったわ」  俊彦が出るなり、理沙ははずんだ声を出した。 「由貴もすんごく喜んでたし。でね、俊彦くんを男と見こんで、ちょっと頼みがあるんだ………電話じゃ話しにくいし、ね、よかったら、今夜八時ごろ理沙のマンション、来てくんないかな?」  いやも応もなかった。三日まえの生まれて初めての体験の印象は、まだ全身に残っている。まったく唐突にあのときの思い出が鮮やかに甦ってきて、下半身がかっと熱を帯びてしまうことも、何度となくあった。  体育の時間に、ジャージの前が突っぱってきてしまい、あわててトイレに駆けこんで、エレクションが鎮まるのを待ったりもした。結局いっかな治まらない勃起を、右手の往復でいさめたのだが。  それにしても、頼みというのはなんだろう? ぼくを男と見こんで? 変なことじゃないだろうな。第一知り合ったばかりじゃないか………。  そんなことを思いながら、今度は玄関の前に立ってちゃんとノックをした。  すぐに、理沙がトレーナーとリーバイスのホワイトジーンズというラフな服装であらわれた。  その背中から、低くデイヴィッド・シルヴィアンの歌声が流れている。理沙はソバージュヘアをかきあげて、にっこりと笑った。  媾合に身悶えしているときとはうって変わった、少女っぽい顔である。 「早かったのね。さ、入って。いま、コーヒー淹れるから」  ベッドのかたわらのカーペットにじかに置かれたクッションに腰をおろすと、理沙がすぐにトレイに湯気のたつカップを乗せてきた。 「で、頼みっていうのは?」  ひとしきり学校で困った話などを冗談まじりで話したあと、俊彦は切りだした。 「うん………それが微妙な話題でね………じつは、わたしの姉の処女を破ってほしいの」 「は?」  俊彦は聞きまちがえたかと思って、眉をしかめた。 「姉は今年就職したんだけど………」  理沙はコーヒーカップをトレイに置くと、サムタイムに火を点けた。メンソールの香りが爽やかな紫煙を深々と吸いこむと、理沙は話をはじめた。 「姉は女子高育ちでさ。大学も女子大。お嬢様学校だったもんで、おまけに人間が堅いっていうのかしら、てんで男の子とつき合いもしないで、就職しちゃったの」  俊彦は狐につままれたような気分で、ただ理沙の言葉に耳を傾けるばかりだった。 「それというのも、高校のころ近所の酒屋の若主人にいやらしいことをされて、それがひどいショックになって、男が怖くて怖くてたまらなくなったってわけ」  理沙によると、それでもふだんの生活に支障のない程度の男性恐怖症だという。ただ、仕事とか礼儀作法とかのフィルターなしでは、とても男と話ができないらしい。 「そんな姉貴なんだけどさ、あたし、妹としてなんとか、こう、女のよろこびっていうのを味わわせてやりたいのよ」  よくわからない理屈だった。だが、話を聞いているうちに、俊彦は理由なんてどうでもよくなっていた。 「あんまり男らしいマッチョマンじゃ絶対だめだし、頭からっぽのサーファー野郎とか、ディスコのナンパ師もモチ、ボツだけどさ、俊彦君みたいにちょっとおしょうゆっぽい男の子なら、拒否反応も少ないと思うのよね」  とにかく、この美人の姉御と一発できるということだろう。ありあまる性欲に日夜悶々とする俊彦には、自分の猛り狂う肉棒を押しこめる穴があるというのは大歓迎だった。 「そのお姉さんとは、いつ会えばいいんだい?」  俊彦は、カップを下に置いた。すかさず、理沙が柔らかな体をもたせかけてくる。 「今度の日曜でどう? 姉貴も勤めが休みだし、場所はあたしがなんとかするわ………」  理沙の赤いマニュキュアをほどこした指が、俊彦のブルージーンズのジッパーの金具をつかんで、ゆっくりと上下させている。  最初はスムーズに動いていたジッパーが、内部の圧力と容積が増大したせいで、下におりたきり、少しも引き上げられなくなってしまった。 「うふ、元気なんだから」  理沙がピンク色の舌先をのぞかせて、にっと笑った。 「しようがないよ………理沙さんがそんなことするから」  理沙はジーンズのボタンを広げて、高々とテントを張っているトランクスをむきだしにした。 「ぴくんぴくんいってるじゃない」 「もっと動かせるぜ………ほら」  根元に力を入れて屹立をひくつかせると、理沙が大きな吐息をついた。 「すてき………なんだか………もう、濡れてきちゃった」 「ほんと?」 「ほんとよ………あん、またジュンって溢れてる」 「これ見ただけで?」  俊彦は自分の下腹部の盛り上がりを指さした。 「そう………これが………入ってきたときのことを思いだしちゃって」 「ぼくだって、これを入れたときのことを思いだしてたら、こうなっちゃったんだよ」  理沙がトランクスを引きずりおろそうとするのを、俊彦は手をかけて制した。 「だめだめ………さきに理沙さんのも触りたい………ほんとに濡れてるかどうか、ちゃんと見たい」 「エッチな子ね」  理沙はくすりと笑うと、重たげな身ごなしでベッドの上に横たわり、その横に膝でたった俊彦の目をじっと見すえながら、腰をさかんにくねらせて挑発的なポーズをとりながら、ホワイトジーンズを長い足から抜きとった。  下着はごく普通の白いコットン製品だった。その清楚な印象が、かえって俊彦の性欲を煽り立てた。  あの白い布きれの下には、黒々した毛がもじゃもじゃ生えていて、その奥には………その奥には………。  俊彦はラルフ・ローレンのポロシャツをひきむしるように脱ぎ捨てると、足にからみつくジーンズを蹴飛ばし、ベッドの上の理沙の体に躍りかかった。 「こらこら、あわてないで………」  理沙はそういさめながら、それでもむっちりした太腿を大きく開いて、俊彦の体をそのあいだにはさみこんだ。 「ほら、見てもいいのよ………見たいんでしょう?」  俊彦はごくりと唾を呑みこむと、波打つような白い腹部に顔を寄せた。 「かわいい………一生懸命なんだもの………」  理沙は手を伸ばして俊彦の頭を押さえつけ、パンティのほうに引き寄せた。  俊彦はいきなりパンティの中央の部分に指を当て、ぐりぐりと動かした。 「あん………いや………溢れちゃう………」  その言葉どおり、俊彦の指先があたっているあたりの布地にぽつんと染みができてきた。それは見る間にぐんぐんと広がってきた。 「ああん………」  理沙が鼻にかかった声を出した。 「ここかい? ここが入口なんだね」 「そうよ………ああっ………」  俊彦は布地越しに丹念に柔肉を揉みしだいた。押しては揉み、こね、練りまわした。  パンティのゴムの部分を思いきり上のほうに引きあげると、股ぐりの部分がぐんぐんと細くなっていく。はみだした茶褐色の肉の丘には、まばらだがヘアがちろちろと生えていた。 「いや、見ないで」  そんなことをいいながら、理沙はさらに大きく股を広げている。細く紐のようになったパンティは、理沙の艶やかな漆黒の草むらをろくすっぽ隠していなかった。  俊彦はあいているほうの手で、紐状になったパンティの股ぐりをぐいぐいと秘裂に押しこめていった。  肉の土手にはさまれたピンク色の襞がはみだしてくる。襞は内部から溢れてくる女の体液でぬらぬらと光っていた。 「濡れてるよ。すっごいや」  俊彦はそういいながら、布きれを引っぱってできた隙間から指をさしこみ、甘露をたたえた膣壷から粘りつく透明な液体をすくいとった。  濡れた指先をわざと理沙の鼻先にもっていき、糸を引かせて見せつける。 「ほら、これが理沙さんのオマンコ汁だよ」 「いや………いじわる………」  理沙は目をつむって顔を左右に振った。  俊彦は音を立ててその濡れた指を吸うと、再度理沙の下半身に指と顔を向けた。 「脱がせてあげようか」  そういいながら、パンティを引っぱったり、わずかに引きさげるような動作をしたり、さらにはまだ顔を出していないクリットのあたりを指の腹で揉みたててやる。  布越しの愛撫にじれたのか、理沙は腰を揺すり立てた。 「触ってほしいんだよね………」  相手を巧妙に焦らすのも、セックスのテクニックのひとつだ。俊彦は男としての本能から、理沙が本能の前に崩れていくのを楽しみに見ていた。  触りたいのはもちろんだ。ねっとりまとわりつくような女陰にじかに触って、匂いを嗅ぎ、その複雑怪奇な眺めを楽しみ、舌先でねぶりたい………だが、自分からいっては負けになる。理沙にいわせるんだ。  触って、見て、嗅いで、舐めて………そう誘ってくるまで待つんだ。  俊彦は上体を傾けて、理沙のシャネルのトレーナーの上から、仰向けに寝ても形が崩れないほど豊満な胸の双球をそっと手のひらに包みこんだ。 「柔らかいな………ほら、この上からでもわかるよ………乳首が立ってる………シコシコ………クリクリいってる………」 「そうよ立ってるわ………触ってほしいって、いってるの………ああん………」 「じゃ、こっちを触ってみようかな」  俊彦はトレーナーの裾から手のひらを這いこませて、なめらかな手触りに酔い痴れながら、弾力のある膨らみをゆっくりと、静かに揉み立てた。 「そう………そうやって………静かにされるのに、女は弱いの」  理沙は陶然とした表情になっている。  手に力を入れると、それはぐにゃっとつぶれて、それからそっと弾き返してくる。  奥のほうのちょっと固いあたりをなぞったり、持ち上げて揺さぶったり、さらには固くなった乳首を褐色の乳暈にめりこませたりして、理沙に快楽を与えつづけた。  俊彦は立てた膝をずらして、秘密の花園のあたりにやにわに太腿をぐっと押しつけた。にちゃっという感触とともに、襞肉が押し潰された。  理沙が腰を揺さぶって、俊彦の腿に恥部をなすりつけてくる。  もとからよじれていたパンティは、とめどなく溢れてくる理沙の淫らな潤滑油でぐっしょりと濡れ、紐のようになって亀裂の中に完全に没していた。  顔をのけぞらせている理沙の喉が、ひときわ白く浮き上がっている。  理沙の腰が動くたび、トランクスの中でいきり立つ肉茎に痺れが広がって、えもいわれる快感をもたらしてくれた。  敏感になった粘膜が下着にこすれて痛いほどだった。その下着も、若々しい先走りでところどころぬめっている。  このまま、肉棒を理沙の柔肌に押しつけたい。ぐりぐりとこすりつけて、理沙の肌におれの淫らな欲望を刻みこんでやりたい。  だが俊彦は超人的な努力でそれを抑えた。  理沙の体からトレーナーをむしり取って、あらわになった真っ白い乳房に顔を寄せ、突きだした唇で薔薇色の蕾を咥えこんだ。 「ああ………しゃぶって………舐めて………おっぱい舐めて」  本格的に興奮すると、理沙はふだんなら女がとても口にしないような卑猥きわまる猥語をまくしたてる。それが、いよいよはじまったのだ。  やがて理沙は、だらしなく唇をあけた顔で俊彦を見あげながら、わななく手をトランクスの前に押し当ててきた。 「あたしも………お返ししちゃおうかな………」  そういいながら、早くも指先で屹立の形をなぞりはじめる。 「ごつごつしてる………」  鰓の周囲のくびれにそって指の腹をこすり上げ、理沙はうわごとのようにいった。  そのままずるずると体をずらしながら、理沙ははちきれんばかりになった俊彦の股間に顔を近づけた。 「見てもいいでしょう? ね、お願い………見せて………見たいの………俊彦君の………ぺ、ペニスが」  俊彦の返事を待たずに、理沙は何度もその部分の名前をうわごとのようにつぶやきながら、モスグリーンのトランクスを引きさげた。  若さをみなぎらせた肉茎が跳ねおどって飛び出した。揺れた拍子に、先端からにじみでる粘液が糸を引いて飛んでいった。  理沙が生唾を呑むごくりという音が部屋の中に大きく響きわたった。 「きれいだわ………俊彦君の………すごくきれい………」  理沙は内側から光っているような肉茎を、うっとりと見つめていた。まだあどけなさの残る顔だちに、淫らな赤みが射しはじめた。  それほどたくさんの男の持ち物を見たわけではない。  女子高時代の初体験以来、せいぜい二十人ほどだろう。  合コンやスキー旅行などで、知りあったその日に一気にベッドの上で体を重ねた男などは、顔も肉茎の形も忘れている。  たいがいが同い年くらいの大学生ばかりで、女あしらいなら任せろという顔をして、セックステクニックを鼻にかけてはいるものの、その実自分たちの欲望を満足させるだけで精いっぱいといった、つまらない男ばかりだった。 なかには迎え入れた瞬間、ふたりの粘膜の境界が消えてなくなり、本当に溶けあってしまいそうな法悦を味わわせてくれた男もいないではない。  いくつか残るそうした記憶の中の男の顔や、彼らの股間で威容を誇っていた快楽の魔法の杖のことは、理沙の瞼に焼きついている。  ふだんでも男のジーンズのふくらみに目が行ってしまうほど男好きの理沙にとっては、好きな男と、愛しくて頬ずりしたくなる淫具はまったく別ものだった。  ただ、顔も好きなら性格も好き、さらに男の武器も大好きになれる男もいる。  俊彦も、そのリストに加わりそうだった。  百戦錬磨の肉棒さながらに、シャフトがごつごつ節くれだっているのもすてきだし、何よりヘッド部分の笠が上に跳ね上がっているかと思えるほど張りだしているのがいい。  むろん上ぞりになっていて、自分自身の粘液にまみれた赤黒いヘッドは、腹にくっつかんばかりだ。  目の前で、十七歳のエネルギーの塊が、脈動に合わせてわずかに揺れている。  見ているだけで脳天をとろかしそうな肉茎だ。これが、いざ自分の女窟を貫いたときのことを考えると、それだけで背すじがぞくり震え、オマンコがぱっくりと口を開けたような気分になる。  男の肉体を前にした女のとろりとしたあやしげな口調に、俊彦はぞくりとした。俊彦の見ている前で、理沙はしなやかな指を怒張の根元に添え、天を指しているものをわずかに傾けると、ゆっくり、じらすようにゆっくりと口の中に含んでいった。  昂った抹消神経が、生温かく湿った天鵞絨《ビロード》のようなものにくるまれる感触に、俊彦は我を忘れた。 「す、すごい………ああ………いいよ、理沙さん………感じる………」  理沙の舌はグランスをすっぽりくるみこんだかと思うと、裏側の縫い目のような部分を丹念にねぶっていく。くびれたあたりを、いつもよりひときわふくれ上がって柔らかくなった唇が、ソフトに締めつけてくる。  片手を垂れ下がった肉袋に当て、もう一方の手では俊彦の腰からヒップの裂け目のあたりに往復させながら、理沙は次第に自分の顔を前後に動かしはじめた。  俊彦もそれに応えて、腰をゆるやかに前後につき動かしていった。  歯の先が鰓の張りだしにかるくひっかかって、痛いような痒いような妙な感覚をうんでいる。シャフトの部分は、ねばりつくような唇でぬめりを与えられ、さらにそっと添えられた指でしごき立てられている。  もう一方の手は、欲望と快楽の源泉ともいうべき胡桃《くるみ》をそっともみしだいている。 「うん………ああ………」  舌と唇がペニスにこすれて出る、ぴちゃぴちゃという湿った音にまぎれて、理沙の鼻息が聞こえてきた。  このあいだもふたりの女にまさにこのマンションで性器をねぶりつくされたが、今夜の理沙のフェラは、さらに強烈な愉悦をつくりだしていた。  俊彦の肉棒は、粘膜と唾液の泥沼の中でひくひくと痙攣していた。  目もくらむような快楽にしばらく我を忘れてしまった。だが、ふいに俊彦ははっとした。  このまま舐めてもらっているのも悪くはない。温かくて濡れていて、からみついてくるところはオマンコと同じだけど、でも、こっちはベロがあるから、そのぶんバラエティに富んだ刺激が楽しめる。  でも………。  俊彦は考えなおした。  やっぱりチンポコを突っこんでみたいな。股をおっぴろげて、入れて入れてとせがむ女のオマンコに、ぐいって突っこんでこそ男じゃないだろうか?  俊彦が体の位置をかえようとすると、理沙は彼の意図をすぐに見破ったようだ。 「ほしいの?」  かすれた声できいてきた。 「あたしがほしいのね? ………入れたいんでしょう? あたしのオマンコに………でも、まだだめよ」  口から出した俊彦の勃起を、理沙はいつまでも未練たらしく揉んでいる。理沙の手に握られたそれは、持ち主の俊彦が驚くほど凶暴でグロテスクに見えた。 「ちゃんとお返しして………あたしを舐めて………ベロでびちゃびちゃにして………」  そういいながら、理沙は両手をかろうじてパンティが貼りついている白い下腹部にやって、さも気持ちよさそうに指先を蠢かせている。  その下の股ぐりの部分は、すでに一本の紐になってしまっている。  白く細い紐の左右からは、理沙の発育のよい肉畝や究極の入口を取りかこんでいるセピア色の肉弁、それにその肉びらの内側の鮮やかな紅色をした粘膜までもが、もろ見えになっている。  どんなに謹厳実直な男でも、これだけ淫らで、しかも愉悦を約束するような女の部分を、見せつけられたら、たちまち股間の蛇淫が鎌首をもたげるだろう。  理沙はわざとパンティのそのあたりまで指を入れて、細い布きれのよじれを内側からつまんで、ぐっと持ち上げ、媚肉の谷間のすべてを俊彦に見せつけた。 「ほら、見えるでしょう?」  二枚の貝の剥き身のような肉弁は、俊彦の視線に反応したのか、ゆったりと動きながら、みるみる容積を増してくる。 「いいのよ、ちゃあんと見て」  理沙はパンティを尻から抜きとると、そのくしゃくしゃの布を自分の鼻先にもっていった。まさか、自分で自分のあそこの臭いを嗅ぐつもりかな? まさか。いくらなんでも、そんな汚いことをするはずが………。  俊彦の予想は見事にはずれた。  理沙はにっこり笑っていった。 「よくぬれてるわ」  そう呟くと、ついさっきまでいちばん恥ずかしい淫器にぴったりと貼りついて、熱いしたたりをたっぷりと吸いこんだ布きれをぴったり鼻に当てた。  この世でいっとう芳しいとでもいいたげな表情で、自分の芳香を吸いこんでいる。 「ぼ、ぼくにも嗅がせて」  俊彦はだしぬけにパンティを舐めたくなった。  おかしな話だった。なにもわざわざパンティを舐めなくても、いつもはその奥に隠れている御本尊がすぐそこにぬめる素顔を晒しているのだ。  舐めたければ、白っぽく濁った汁をとめどもなく滴らせている本物の女陰を舐めたほうがいい。  俊彦はそう思いなおして、自分の蜜のにおいに夢中になっている理沙をほっておいて、彼女の足のあいだにしゃがみこんだ。  何度見ても見あきない光景だった。  うねるように動く白い下腹部がなだらかにカーブしてきて、そのあたりから黒い淫毛がさわさわとした草むらを織りなしている。草むらは逆三角形になって終わり、その下の頂点の少し上のほうから、まだ縮れた茂みに覆われたあたりから、あの愛らしい肉の裂け目がはじまっていた。  セックスに興味を覚え始めた中学生の頃は、女の股ぐらには細い切れ込みのようなものが走っていて、そこに自分の勃起したものを入れるだけだと思っていた。  だが今ではそれなりにアダルトビデオやビニ本を見ているから、女性器がかなり大きなものであることは知っている。  それにしても、こうして見ると、やはり大きい。  淫裂は前後で十五センチはありそうだし、左右に盛り上がった肉の丘はさしわたし五センチ近くはある。  そのさしわたし五センチのなかには、さらに紅色の生々しい肉の花弁が顔を出していて、そこからまだ奥があることをうかがわせている。  俊彦の指は、周囲をとりまくぼってりした肉丘のさらに外側をそうっとなぞっていった。ごくまばらに生えでた淫毛が、花芯から溢れでた愛欲の粘液に濡れて、肌にぴったりと貼りついているのが妙に猥褻だ。  両脇から肉丘をぎゅっとつまんでみる。  体のどことも似ていない奇妙な柔らかい感触だった。秘穴の導入部に左右から張りだした繊細な肉が、ぶあつい茶褐色の大陰唇にはさまれてひしゃげていった。  やがて、いちばん飛び出している二枚の秘貝を残して、珊瑚色のびらびらがほとんど隠れてしまった。 「ああん………もっと………いじってよ………」  理沙は腰を揺すってわめいた。  俊彦は丘陵をつぶす手に力をこめた。中間の細く筋になった合わせ目から、白濁した乳液がじくじくと音を立ててしみだしてきた。  いったん力を抜いて、繊細な配置をさらけださせてから、さらに肉丘同士をこすりあわせる。何度かくりかえしていると、内奥の肉路にたたえられていた乳液が一気に溢れだしてくる瞬間が見られた。 「すごいや………どんどん溢れてくる………理沙さん、すごいよ………」  そういいながら、俊彦は指先を淫裂のはじまるあたりに滑らせた。  指先にしこった感触をとらえると、俊彦は薄い皮に包まれたその肉のしこりを、指の腹で揉みたてた。 「ああうっ! す、すごい………ああ………だめ………」  敏感すぎるほど敏感な肉の突起の根元を責められて、理沙はあられもない嬌声をあげた。腰から下が何度も跳ね上がり、躍りあがっては、どすんとベッドに落ちる。  だた俊彦は、指先をしっかりと女茎にあてていた。  こりこりと転がすと、また理沙が足をばたつかせて、苦しげにうめく。  理沙がおとなしくなった隙を見はからって、俊彦は小突起を覆っている包皮をするりと引きさげた。つんと尖ったまっ赤な肉芽が顔を出す。俊彦はそこに顔を近づけた。  むっとするような女の芳香が、熱い湿り気とともに押しよせてきた。  ふっと息をふきかける。  それだけでも、理沙は長い引きつるような悲鳴を洩らして、上体をよじった。女陰の花びらがひくひくと震えて、また熱いしたたりを会陰部のほうに押しだした。 「舐めるよ」  俊彦はわざとそう断ってから、まだその短い科白をいい終わらないうちに、尖らせた舌先で赤いルビーのような肉芽をつついた。 「ヒイイッ!」  理沙は必死でシーツを握りしめて、歯を食いしばっていた。それでも、その食いしばった歯と歯のあいだからは、ひっきりなしにせつなげなため息や押し殺した愉悦の叫びが洩れでてくる。  理沙の反応に力づけられて、俊彦はさらに舌先を丸くすぼめて、若芽をくるみこむようにして、唾液を塗りたくった。 「ああん………どうかなっちゃう………俊彦君………悪い子ね………」  俊彦の舌は、理沙の恥ずかしい部分をくまなく探っていった。  はじめのうちは、快楽中枢に直結したクリットだけだったが、やがて好奇心と探求心に溢れた舌は、二枚の赤びらにはさまれた肉路の入口周辺の何層もの襞になったあたりを丹念にねぶりはじめた。  襞と襞のあいだからは、ひときわ酸っぱい香りがする垢のようなものが出てきて、俊彦の舌をぴりぴりと刺した。  肉洞に舌先を埋めて内部を探り回り、さらに唇でこの淫靡な花園に咲き乱れる肉の花弁を圧迫したり転がしたりしているうちに、俊彦ははっと気づいた。  そうだ、鼻の頭もつかってみよう。ちょうどこのあたりが、さっきのクリットのあった場所のはず………。  そう思いながら、俊彦は顔を少し突きだして、まっすぐ鼻筋の通った高めの鼻で、理沙の淫裂をかきわけ、ひくつくサネ肉をこすりあげてみた。 「またあ………もう………だめ………あたし………変………オマンコがじんじんしてる………チンポコ入れて………オマンコに入れてったらあ!」  理沙の口からは、猥雑な言葉が洪水のように溢れでてくる。  シーツをわしづかみにしていたかと思うと、ふいにその手を自分の震える乳房にあてがって、揉みしだきはじめたりする。  切なげに身をよじりながら、くりかえし法悦境に運ばれる甘い拷問を、必死でこらえている姿は美しくさえあった。  そのままどれくらい理沙の股間に顔を埋めていただろう。  俊彦はまるで初めて顕微鏡をのぞいた子どものように、理沙の秘密の淫谷の探求に夢中になっていた。  舌先に触れる柔らかくてふやけたような生肉の感触もすてきだった。  鼻孔をついて脳天までとろけさせる女陰の芳香や、ちりちりと舌を刺すような、かすかに生ぐさい乳液の味は、できることなら永遠に嗅いだり、味わっていたいほどだった。  俊彦は自分の顔が自分自身の唾液と、理沙の淫ら汁とでぬるぬるになっているのさえ気づかないほどだった。  両側の耳を、理沙の太腿ががっちりとふさいでいるので、彼女のあられもない嬌声や、放送禁止確実な猥語の羅列などは、くぐもってほんの少ししか聞こえない。  そのうち理沙が、いよいよ欲望に耐えきれなくなったらしい。気ぜわしく蠢動する俊彦の頭の髪の毛をつかむと、しきりに上にひきあげるような仕種をしてよこすのだ。  それで俊彦もはっと我に返った。  俊彦自身の獣欲も、手を触れただけではちきれそうに充満している。 「お願い………もう………だめ、がまんできない。と、俊彦君………ほしいの………きみがほしいの………お願い………だから」  俊彦は熱い泥地から顔を上げた。 「早くこっちに来て………」  行きたいのはやまやまだ。下腹部に充血したものが、早くおさまるべき場所へ侵入したくてうずうずしているのだから。  俊彦は膝だちになった。隆々と青筋を立てているものが、自分でもひときわ逞しく見える。理沙も欲望の霞がかかった瞳で、俊彦の勃起をものほしげなまなざしでじっと見つめていた。 「早くぅ………ね、ここに………ここに………それを………」  俊彦はこっくりとうなずくと、腰を落としていった。限界以上にまで膨張した俊彦の器官は、むれきった女陰にずっぽりと収まってしまった。 「ああ………」  理沙が感きわまった声を洩らした。  気持ちがいいのは、俊彦も同じだった。男のものの侵入を待ちわびていた理沙の内部が、狂喜乱舞してざわざわと波打っている。それが、鋭敏な亀頭の粘膜をダイレクトに刺激してくるのだ。  こまかな襞だけではない。肉洞を形成する筋肉の環が、いく段にもわかれて、シャフトや根元や、鰓笠をぐいぐい締めつけてくるのだ。  俊彦はいったん根元まで収めたあと、上体を起こした。結合部にむりがかかるほどで、若い俊彦の一途で自由な動きの取りにくい勃起には、多少苦しい体形だ。  だが、その角度の無理さかげんが、かえって結合部の上方に位置する恥骨を圧迫して、肉襞のあいまに潜むクリットをうまいぐあいに押しているらしい。 「ああ………わかるわ………俊彦君のがビンビンいってる………うっ! だめ………そんなふうに曲げちゃったら………だめよ………だってえ、理沙、あーん」  俊彦が根元まで突き立てたまま腰を前後左右にねじると、そのたびに理沙がひいひいよがり声をあげる。  理沙のほうも腰をつかいはじめていた。 「動かすよ」  俊彦はかすれる声でそう告げると、ゆっくりと往復運動を始めた。  濡れきった性器同士がたてる猥褻な音が、静かなマンションに響く。  ふたりはしばらく、なにもいわないまま、粘膜同士がこすれ合う絶妙な快楽をぞんぶんに味わっていた。  俊彦が若い精力を思いきり叩きつけるようにしてねじこむと、その巨大な容積に押しだされて、理沙の愛液が、接合箇処からじくじくと溢れでてきた。溢れてきた甘露は、抽送をくりかえす俊彦のシャフトを伝って、少年のアンダーヘアを濡らし、肉の袋をべっとりと濡らしてしまった。  出し入れのたびにその袋が揺れ、ひたひたと冷たい感触とともに理沙の会陰部にあたる。胸には、勃起しっぱなしの理沙の乳首がこすれていた。  ぐっしょり汗をかいた腹がくっついては離れるたびに、べっとりという音が聞こえて、そのあたりがこそばゆいような感じになる。  そのどれもが、下半身の結合にひけをとらない悦楽を俊彦にもたらした。 「気持ちいい? あたしのオマンコ、気持ちいい?………」  理沙が顎をがくがくさせながらたずねてきた。 「うん………すごく………たまんない………」 「つながってるとこ、見たい………」  理沙が顔をようやく持ち上げた。俊彦は手のひらをベッドについて、つながっているあたりが理沙に見えるようにしてやった。  かろうじて先端の部分で結合しているだけだが、それでも入口付近のひときわ柔らかい粘膜が蠕動して、剥けきった溝をくすぐってくる。  理沙は手を伸ばしてきて、愛液にまみれた俊彦のシャフトにそっと指を滑らせた。 「入ってるのね………こんな太いのが………」 「そうだよ………」 「なんだか………ふわふわしてるの………」 「ぼくもさ」  俊彦は結合を維持したまま、膝を前に進めて上体を起こした。上を向いている肉茎の根元をねじまげることになるが、それでもやはり自分の分身が、女子大生の肉の壷をこねまわしているところを目で確かめたい。  理沙は上つきだった。そのせいで、結合の様子は俊彦にもかなりはっきりと見てとれた。さっき自分が舐め回したあの穴の周囲の肉が、男に挿入された歓びにまた赤みを増しているような気がする。  青筋を怒らせた怒張は、横たわっているような形に見えた。ヘッドの赤黒い部分は、秘洞の左右からはみでた二枚の襞唇で隠れて見えない。 「見てるの………?」 「うん」 「どう?」 「すごい………ほんとに入ってる」  そういいながら、俊彦は無理な挿入姿勢の許すかぎり、肉茎を進めた。亀頭が理沙の上側の襞肉をこするずるっとした感触に、俊彦は膝から力が抜けそうになった。 「理沙さんのオマンコに………入ってるよ………ぼくのペニスが」  理沙の真似をしてわざと卑猥な言葉を囁いてみた。背すじがぞくりとするような、奇妙な快感があった。 「ほら、こうすると………こすれるんだ………それからこんなふうにしても………」 「ああん………ね………もっと奥まで入れて………ずっと奥のほうまでぐいぐい入れて」  俊彦は上体を倒した。すかさず理沙が長い足を俊彦の引き締まった腰にからみつけてきた。理沙の足はがっちりと腰をロックしている。逃げようとしても逃げられそうにない。それどころか、ただ性器を抜き取ることさえできそうになかった。  俊彦は逸る心を抑えて、じっくりと内部に肉体を進めていった。締めつけてくる圧迫感がたまらない。  不思議に暴発の予感はなかった。案外緊張してるのかな。そんなことを思ったりもした。  いや、ちがうな。きっと………この人を喜ばせたいからだ。気持ちよくしてあげたりからだ。この人が気持ちよくなれば、ぼくだって気持ちよくなれるんだもの。  俊彦の先端が、しこりのようなものに触れた。  子宮の入口だ。 「あ………当たってる………当たる………ああっ!」  理沙の喘ぎがさらに上ずった。  ごりごりごりごり。  腰をそのままグラインドさせて、俊彦は歓楽の泉の奥底を責め立てた。  それから、やおら勢いをつけてぎりぎりまで引き抜く。ずぼっという音がした。  そうだ、このあいだアダルトビデオで見た技をやってみるか。  思いつくなり、俊彦は前から手を回して自分の怒張の根元を二本指でひっつかんだ。そのまま、半分ほど没したものをわれとわが手で揺すり立ててやった。 「ああ、あ、あ、あ」  理沙が歓びの声とも、ただのうめき声ともつかぬ声を絞りたてた。  泥沼のような膣窟を剛棒でこねまわすと、偶然できた隙間から欲望の滴りがとろりと流れだしたり、俊彦の一物に押しこめられた空気が放屁のような音とともに、愛液のこまかな飛沫を散らしながら噴きでたりした。  亀頭のくびれを境に肉棒は微妙にちがう角度でそりかえって動くので、膣襞のそこかしこは予想できない刺激にたっぷり見舞われることになった。  だが、やがてふたりとも技巧をこらした動きをしなくなってきた。腰と腰がひたすらぶつかりあい、恥骨がこすれあう。 「いいわ………すごい………いやあん………来る、来る………ヒイイッ! もっと………もっとやって………オマンコかきまわしてったら!」  俊彦の背中に、赤いマニキュアの塗られた爪がぎりぎりと血がにじむほど食いこんだ。俊彦は思いきり足をつっぱって、強烈なストロークを理沙の内臓深く、子宮口を突き破らんばかりに送りこんだ。  入口はぎゅうぎゅう締めつけてくるのに、内部はまるでとろけた液体さながらになっている。  理沙は自分から足を高くかかげて、俊彦の肩にかけ、恥ずかしい部分をくねらせながら、もっと深い結合を得ようとした。  俊彦もそろそろフィニッシュに向けてラストスパートにかかっていた。  力のかぎり腰を振りたて、叩きつける。淫洞に若茎をねじりこみ、猥雑なひねりをくわえて、さらに根元でクリットのあたりをぐりぐりと押しつける。 「たまんない………いい………ああん………いや………あっ! く、来る、来るわ………うーん………ひいいいっ!」  俊彦は機関銃のような速い動きをくりかえした。ズブズブという淫らな音が、ひときわ高くなる。女陰から溢れだした膣汁が、ふたりの粘膜の摩擦にまきこまれて、あっという間に白く泡だっていく。  官能の海に溺れて乱れ、放埒のかぎりをつくしていた理沙が、がっくん、という感じで動きをとめた。一瞬の空白を置いて、理沙の口から甘美な嘆息が洩れでてきた。 「あああ………」  びくんと腰が跳ね、背中が弓なりにそりかえる。全身が何度も究極の愉悦にうち震えてひくつき、そのたびに俊彦は理沙の腰をまるがかえにして、ふたりの接合部分がはずれないように強く引き寄せた。  だが俊彦のほうも絶頂間際までのぼりつめていた。  歯を食いしばって、頭を左右に振っている理沙の顔を見おろしながら、俊彦は限界にまでふくれあがったペニスを、理沙の腰をベッドに打ちつけるように突き立てた。  俊彦は、そのまま秘肉の奥深くに潜む子宮口に向けて、たわめられたバネを解放するような勢いで炸裂の瞬間を迎えていた。  官能の炎はいつまでも、くすぶっていた。  体こそ鎮まったものの、理沙の器官は入口のあたりをキンチャクのようにすぼめて、萎えかけた俊彦の陽根をひきとめていた。だが、その締めつけがかえって、力を失った俊彦をぬるりと押しだしてきた。  縮こまりかけた先端部分が柔らかな襞のびらびらの内部を滑るときには、痛みにも似た痺れが走って、俊彦は思わず、うっとうめいた。 「よかったあ………」  俊彦がかたわらに仰向けに横たわると、理沙はさっそく手を伸ばしてきて、むれてふやけたようになった俊彦のペニスをそっと握った。溝のあたりにたっぷりたまっているぬめりをとらえて、静かに、なだめるように撫でてくれる。 「かわいくなっちゃって………俊彦君もよかったでしょう?」 「うん」  理沙の手が触れているあたりから、昂まりきったときとはまたちがう、温かな波動が体じゅうに染み透ってくる。もう一方の手は、汗だくになった俊彦の腹や胸を静かに撫でていた。  顔にかかる女の長い髪がくすぐったい。俊彦は理沙の髪の毛をかきあげてやった。  ワンルームの部屋には、ふたりの体液の匂いが濃厚に漂っていた。 「姉貴と俊彦君にヤラせるのが、いやになってきそうなくらいよかった」  理沙が気だるげに体を起こして俊彦に唇を重ね、上体を起こした。  寝そべったままの俊彦は、彼女の白い背中を見つめた。うなじのあたりに、汗で髪の毛がひと筋、じっとりと貼りついている。いかにもなまなましい情事の痕跡だが、それを味わうほど俊彦は経験を積んではいない。  やがてふたりは、理沙の淹れたコーヒーをすすりながら、理沙の姉に女の愉悦を開眼させる企みを、あれこれ話しあった。そのあいだも、理沙の指は、俊彦の股間から離れようとはしなかった。  ほんとに助平なんだな。俊彦は舌を巻いていた。  いくらぼくがオマンコのことしか考えてないっていっても、こうやって四六時中やった相手のアソコを触ってるなんて………。  最初はそう思っていたのだが、若い肉体は機敏な回復力を示した。肉筒にざあっと熱い血潮が流れこんでくる。  腰のあたり全体にむず痒さが広がって、落ちついていられない。  あれこれ姉のエピソードを話す理沙が、俊彦の変化に気づいて一瞬言葉を切り、それからにんまりと笑った。 「じゃ、話はまた後にしようか。とりあえずは、ベッドになだれこもうよ」  断る理由は何もない。俊彦は理沙に肉棒を引かれるまま、つい三十分前までふたりでのたうちまわって悶えていたベッドの上に、もつれるようにして倒れこんでいった。   6 蠢く柔襞  約束の時間が迫っている。  美佐子はそわそわと、キッチンを歩きまわっていた。  機能的なデザインのキッチンだった。  結婚に際して家を建ててくれと孝夫にせがんだときに、何より美佐子が固執したのがキッチンだった。中流家庭に育った美佐子は、映画やテレビドラマに出てくるこざっぱりして、燦々と太陽の光の入るアメリカナイズされたキッチンがほしくてしようがなかった。望まれて結婚し、しかも専業主婦として家に入るのだから、贅沢はいわせてもらわなきゃ。そう思ったのである。  それが今では兼業主婦になっている。  サイドビジネスに、売春をやらされているのだ。  浅田は週に一、二度電話をよこしては、ごく事務的に相手の男と落ちあう時間と場所を連絡してきた。どうしても美佐子の都合がつかない場合などは、浅田も無理じいはせず、うまく“スケジュール”を調整するマネージャー役まで引き受けた。  たいていは、昼さがりのホテルのティールーム。相手の男にそれとわかるような目印をアクセサリーにつけていき、ちょっと言葉を交わした後は、お決まりのセックス。  相手はおおむね金持ちの中年男で、不動産業者やあやしげな会社の経営者が多かった。なかには、一流会社の部長クラスがオフィス街の近くのホテルを指定してくることもあったし、明らかに自分の肉体を賄賂代わりに利用していると思われるケースもあった。  きょうも、これから男と会わなくてはいけない。  美佐子はできるだけ何も考えないようにして家を出た。私鉄で十五分、ターミナル駅のすぐ前に去年建った中規模のビジネスホテルがある。エントランスで美佐子はバリーの靴の埃を払って、ロビーに足を踏み入れ、あたりをみまわした。 「あんたかね?」  相手らしき姿が見当たらないので、ソファに腰をかけようとそちらに歩きだした拍子に背中から声をかけられたので、美佐子はぎくっとした。 「浅田………あの男から話を聞いてここに来たんだが」  美佐子は相手の男をまじまじと観察した。  しゃれた仕立ての三つ揃いをりゅうと着こなしている。特徴のある襟のかたちやポケットの位置などから見て、イタリアの有名ブランドだろう。  オフホワイトのシャツの袖口にのぞく時計はカルティエだったし、タイピンには本物のダイヤがきらきら光っている。  しかも、物腰は丁寧だし、ロマンスグレーを絵に描いたような風貌をしている。  どうせ抱かれるなら、脂ぎった男よりこういうほうがまだましだわ。  いつのまにかそういう空恐ろしいことを考えるようになった自分に驚きあきれながらも、美佐子は媚を含んだ微笑を男に送っていた。 「ええ………美佐子といいます。榊原さんですね?………」 「いかにも」  男はひとつうなずくと、くだくだしい挨拶は一切抜きで、美佐子をティールームに誘った。コーヒーをあいだにはさんでも、会話が弾むはずもなかった。  しょせん男が女の下半身を金で買おうというだけだ。熱いこわばりが収まる場所さえあればいいのである。  だが、榊原という男は多少様子がちがった。まず美佐子相手に乱暴な口は一切きかない。  これまで春をひさいだ下品な男たちは、あからさまに美佐子を軽蔑した様子だった。ベッドのなかではとてつもなく下品なポーズを強要したし、なかにはその場で舌をかみ切って死んだほうがましと思えるような行為を求められることもあった。  相手の男は美佐子が苦しみながらも、淫らきわまることをするのを手を打たんばかりの様子で、にたにた笑いながら見守っていた。そういうとき、男の股間はきまって膨張していた。  でも、騙されちゃだめ。この人だって、女と一発やりたいがために浅田と連絡を取ってわたしを金で買ったのだから。  同じホテルの客室でシャワーを浴びながら、美佐子は自分にいいきかせた。  バスタオルで体をふきながら部屋を出ると、先にシャワーを浴びた榊原はベッドのなかで書類を読んでいた。 「さあ、待ちくたびれたぞ」  美佐子の姿を見ると、榊原は銀縁の眼鏡を外してサイドテーブルに置いた。それから書類をまとめて会社のものらしい茶封筒に戻した。 「ごめんなさい………きれいにしておきたかったもので」  美佐子はそういいながら、バスタオルを体に巻きつけたままでベッドの榊原の隣に滑りこんだ。 「明かり、消してもいいですね」  美佐子はそういって、サイドテーブルのランプに手を伸ばして明かりを消した。  榊原はがつがつしなかった。深みのある声で優しく囁きながら、大きくて温かい手を胸のふくらみにかぶせてくる。 「きれいな胸だ………さすがに若い奥さんはちがう………」 「よしてください」 「本当のことだからいいでしょう? ああ………このなめらかな手触り………たまりませんな。さあ、唇をください」  榊原はそういうと、頭を傾けて美佐子の唇を奪ってきた。歯磨き粉の清楚な香りが、ほんのり漂ってきた。  これまでの男の大半は、口臭もちだった。  昼めしに餃子を食ってきて、大蒜《にんにく》の臭気をぷんぷんとまきちらしながら、ねっとり舌をからめてきた男もいた。  歯槽膿漏もちで、顔をよせただけで吐き気がこみ上げてくる男もいた。  舐めまわされた素肌が、そこから腐ってしまいそうな悪寒に襲われたりもした。  だが榊原はちがう。それだけで、榊原への感情が多少は変化してきた。  しかも、榊原の愛撫は巧みだった。  あせらず、がつがつしたりしないで、ゆっくりと丹念にねぶってくる。乳首を舌先で転がされていると、そこから体がとろけてきて、やがて榊原の口の中の粘膜と一体化してしまう。  娼婦は感じたりしてはいけない。感じるふりだけしていればいい。  そう思って努めて冷静になろうとするのだが、指先がつつーっと脇腹を這ったり、うなじを唇でこすられたり、耳もとに熱い息を吹きかけられたりするたびに、官能の戦慄に体が震えるのを止められなかった。  すでに、太腿にはさまれた性の花園はぐっしょりと濡れて、逞しい男のものに蹂躙されるのを待ち望んでいる。 「感じやすい人だ………さっきから腰がぼくのほうに向かって動いてきてる………」  榊原は唇を美佐子の腋の下に貼りつけたまま、低い声でいった。 「汗をかいてきましたね………石鹸の香りもすてきだけど、この脇の下のうっすら汗をかいた匂いがぼくは大好きでね」  榊原はそういいながら、いきなり太腿に自分の怒張した分身を押しつけた。分身はさっきから痛いほどふくれ上がっている。  こわばった男のシンボルが触れているあたりが、火傷しそうに熱い。贅肉のついていない、筋肉質の体同様に逞しい男根の感触に、美佐子の体の細胞が電気を通されたように痺れてきた。 「わかるだろう? もう、こんなになってるんだ………きみのせいだよ………別れた女房にも、こんなに興奮させられたことはない………」  美佐子は言葉もなく、甘い喘ぎを洩らすばかりだ。 「きみのはどうなってる? きみのかわいらしいアソコは、どうなってる?」  品のいい声だけに、即物的でないいいまわしが妙に猥褻に聞こえる。 「ああ………あの………」 「いやならいわなくても、いいんだよ………ぼくが確かめてあげよう………触ってあげて、確かめてやるとも」  榊原の指は、さっきから太腿をゆっくりと往復している。実をいえば美佐子は、その指をもっと奥に進めてもらいたかった。  奥に進めて、ずきずきと脈打ちながら恥ずかしい体液を滴らせている秘園を撫でてほしかった。  沸きたつ蜜壷にその太い指をたてて、音がするほどかきまぜてほしかった。  そしていま、ようやく榊原の指が美佐子の花芯を探りあててきた。  指先から伝わってくる熱くぬめる感触に、榊原は狂喜していた。  この女は拾い物だ。最初ロビーで見かけたときから、おやっと思ったが、これほどまでに感度のいい肉体だとは思ってもいなかった。  若い頃からかなり女遊びの修業を積んできた榊原だったが、金で買った女で、これほどまでに本気で感じる女とめぐりあったのは初めてだった。  人妻だとはいえ、まだ若々しい。本人の二十五歳という言葉に嘘はないだろう。  榊原は指先で秘裂を押し分けていき、突きだした肉芽をさぐりあてた。  指の腹を当てているだけでも、その小突起の脈動が伝わってくる。  かすかに指先を蠢かせる。それだけで、美佐子の腰がびくんとはねた。 「ああ………いい………感じる………そこが………いい………」  美佐子の口から、小さく歓びの声が洩れてきた。  榊原は指の腹で円を描くようにしながら、女核に淫らな圧力をくわえてやる。  それと同時に、小指を肉襞のあたりに這わせた。  そこは、愛液ですっかり潤っていた。両脇を固める淫肉もかすかに歓楽にうち震えて、男の刺激を待ち望んでいる。 「すごいよ………びしょびしょだ………」 「恥ずかしい」  美佐子は両手で顔を覆った。恥ずかしがっているわりには、その太腿は男の指をもっと深く迎えようとしてじりじりと左右に開いていたし、腰全体が上下に動いて、性器をすり寄せてくる。 「こんなに腰がくねってるぞ………」  榊原は乳首を唇に含みながらそういって、さらに陰核をくすぐってきた。  胸からは、なま温かい快美な痺れがじんわりと広がってくる。それを剃刀で断ち切るように、クリットからは電撃にも似た鋭利な快感がうまれて、美佐子の体を刺し貫いた。  二種類の快感に交互に襲われ、ときには同時に襲われて、美佐子は息もつげなくなってきた。  榊原の口の中に、甘酸っぱい味が溢れてきた。  性的に興奮した女の乳首から、わずかに汗とはちがう分泌物が出てきているのだ。  腋の下といい、乳首といい、感じやすいスポットからはそんな女でも大なり小なり、股間の泉から湧きでてくる蜜と同じような香りの物質が分泌される。  それが、きわだっているほど、その女はセックスが好きだ。  長年の女遊びの体験から、榊原はそう断言していた。そしてこの美佐子という女には、充分その資質がある。  そしてそういう女の愛蜜は、並の女よりもずっと濃度が高く、量も多い。  榊原は指先でじっくり女の真珠を転がしながら、次から次へとしたたり落ちてくる愛液が小指をくすぐるのを楽しんでいた。 「い………いい………もっと………もっと………触って」  美佐子が鼻にかかった声でせがんだ。 「わかってるとも………触ってあげるよ」  榊原は口ではそういいながら、指先を股間から一時退却させた。 「だめっ………行かないで………そんな………」 「じゃ、きみも触ったらどうだね? わたしのこれに………」  榊原は美佐子の手をむんずと握って、おのれの下腹部で熱く頭をもたげている欲望の塊に押しつけた。 「そんな………」  美佐子は一瞬抵抗するそぶりを見せたものの、すぐにおとなしく榊原にしたがった。  手のひらに圧倒的な存在感が感じられる。それはまるで、青年のもののように鋼鉄の硬さと、灼けただれた鋼の熱さを備えていた。 「どうかね? きみのせいで、そんなになってるんだ。痛いくらいさ。さあ、もっとちゃんと触ったらいい」  美佐子はおずおずと指先を剛棒に巻きつけた。指先がすっかり回りきらない。手のひらを動かして長さを確かめる。  こんなに太くて………長いのが入ったら、わたし、壊れちゃう。  美佐子はぎくりとした。だが、そんなことになるはずがない。すでに十人以上の男に買われた肉体は、かなり練れてしまった。それがどんな武器であれ、自分を恍惚境に押し上げてくれるものなら、淫乱そのものの美佐子の女陰はそれをやすやすと迎え入れるに決まっている。  多少柔らかいはずの亀頭部分でさえ、榊原のものは張りつめた硬度をもっていた。  先端からにじみでている液体を指先で広げ、そのままなめらかな粘膜を指の腹でこすりあげる。  大きく広がった笠の部分に爪を立てるようにすると、榊原が喉の奥でうめいた。  榊原は美佐子にペニスを握らせたまま、仰向けに寝転がった。 「さあ、わたしにまたがるんだ………わたしの顔の上にまたがって、アソコをこっちに向けてくれ」  女を買う男が例外なくとらせるポーズだ。だが、さほど羞恥的な感覚は美佐子にはなかった。  もちろん、興奮して涎をたらしている股間をあからさまに見られるのは恥ずかしい。  だが、男にあさましい女の生理を見られたいという気持ちもあった。  美佐子は力の抜けた体をなんとか動かして、榊原の腹のあたりにまたがった。 「さて、わたしのものをかわいがっておくれ」  美佐子は髪の毛を耳の後ろにたくしこみながら、股間で息づく器官に顔を近づけて、てかてかと光る先端部分を唇に受けとめた。  すさまじい男の体臭が、美佐子の脳天にものすごいショックをくらわした。  これまで抱かれた不潔な中年男のペニスは、例外なく饐えたような悪臭がした。  まともにシャワーもつかわないせいで、小便といりまじった垢の吐き気をもよおすような悪臭がまとわりついているのだ。  だが、榊原のこれはちがう種類の匂いだった。  男のエキスを滾らせた、血気盛んな若者の生命の匂いだ。  このあいだ………そう、このあいだ、寝室で酔いつぶれていたときに、義理の息子の俊彦に恥ずかしい部分をじっくり見られて触られたが、あのとき俊彦の股間から放射されていた青くさい匂いに近い。  美佐子が体を傾ける姿勢をとったせいで、榊原の目の前には豪奢きわまる女陰の全景がさらけだされた。  榊原は指を這わせることも、舌先を伸ばすことも、穴をしゃぶることも忘れて、この淫らきわまる光景に息を呑んでいた。  それなりに使いこんではいる。肉丘はむっちりと盛り上がって、かすかに茶色がかっているし、秘穴の入口に花開いている襞びらはメラニン色素が沈着して、やはり少女のような薔薇色はしていない。  だが、それはそれでかまわなかった。  それに、その中央から湧きだしてくる蜜の量の多さにも驚かされる。  榊原が見ているうちにも、膣肉が蠕動して、ねっとりとした乳白色の液体が襞のあいだから溢れでてきた。  液体は襞のあいだにしみわたって、菊肛のあたりを濡らし、大陰唇にわずかに生えている陰毛をへばりつかせていた。  榊原は指を伸ばして、花びらをそっと左右に押し広げた。  膣窟の入口がはっきりと見えてきた。  花びらの内側は、外側とはまたちがった色合いで、むしろ紅色に近い。  榊原が触れたことで、美佐子の唇での愛撫がちょっと止まった。 「ああ………」  小さくうめいて、美佐子が榊原の下腹部に顔をうずめた。だが、もちろん唾液にまみれた肉棒は離さない。  榊原はなおも指先を秘窟の中へと分けいらせた。男にしては細い指だが、関節はかなり節くれだっている。第二関節までめりこませたところで、榊原はゆっくりと指を出し入れしはじめた。  美佐子はちょうど、榊原の屹立全体に舌先を滑らせているところだった。  鰓首をじっくりとねぶって、にじみでる男の体液を味わおうとしているまさにそのとき、榊原が指を抽送しはじめたのだ。  太い関節が襞にひっかかる。それだけでも、身悶えしたいほどの快楽が降りかかってくるのに、さらに榊原は指先を鉤状に折りまげて、美佐子の内部の粘膜をひっかきだしたのだ。 「感じる………だめ………ああ………そんなこと………いやっ………」  巧みに動く榊原の指先は、入口から五センチほどの内部に入ったところの天井の肉のうっすら円形に盛り上がっている部分をとらえた。  Gスポットだろう。  榊原はその盛り上がりをつついた。  美佐子の反応は爆発的だった。  榊原の根元をしっかり握ったまま、唇を大きくあけて涎とも榊原の粘液ともつかぬものをだらだら流しながらのけぞり、腰を振りたてはじめたのだ。  それだけではない。またひときわ温かい粘液が奥の院からどっとばかりに溢れてきて、榊原の指先を押し包んだ。 「そこ………すごいんです………なんだか………気が遠くなりそう………だって………それ………指が当たると………いけない………もういやあ………」  美佐子はわけのわからないことをわめきたてている自分には、ろくすっぽ気づいていなかった。  もう榊原のペニスをしゃぶることも忘れている。ただ本能の力だけが、愛しい勃起をつかんで離さなかった。  榊原はくりかえしくりかえしGスポットを責め立てた。  美佐子の尻が、激しく左右に揺れる。眼前で悶え苦しむ女陰の光景を見せられて、榊原は五十という年齢にも似つかわしくないほど、欲望が逸りたつのをおぼえた。  榊原が淫らな口に唇を寄せてきた。ぶちゅっという音が股間からきこえてきて、次の瞬間には燃えたつように疼く生肉が、温かな舌と柔らかな唇に触れていた。  舌がくねり、秘洞をほじくっている。  指が敏感きわまる情欲の突起をころがしては、はじいている。  美佐子は息をあえがせて、手の中でますますいきりたつ榊原の肉茎に、顔を寄せて頬ずりをしていた。  いまされている愛撫も、たまらなくいい。こんな売春行為を強要されるようになってから、はじめて体がセックスの陶酔感にひたりきっている。  だが………。  いま頬を寄せているこの熱く逞しいものに、疼きの源泉をかきまわしてもらえば、そうすればもっと気持ちいいのではないだろうか?  愛する夫とのセックスもたまらない素晴らしさだった。それを忘れたわけではない。  ただ夫の孝夫は、ニューヨークへ出張に行き、あと二週間は帰ってこない。たまに電話をくれたりもするが、声を聞くだけでは美佐子の若い体はおとなしく寝ついてはくれなかった。  自分で慰める夜もあった。そんな欲求不満が、もとはといえば強姦魔に欲望のはけ口を与えながら自分でもすっかりよがり狂ってしまった原因だ。  そして、強姦されても尻を振って歓んでしまったことのツケが、ヤクザ組織による売春の強要だった。  売春といっても、美佐子の手もとには雀の涙ほどのはした金しか入ってはこない。  だが、もちろん文句はいえなかった。  こうして客に抱かれることで、いわば美佐子は口止め料を払っているのだから。  今や美佐子は、セックスならどんなものでも貧婪に求める一匹の雌になりはてていた。  体が楽しんでしまう。そういえば、このあいだ俊彦が寝室にいたときにも、義理の息子の高校生に確かに欲望をおぼえていた。汚らしい中年男との行為のときにだって、最低限の快感は得ていた。  そして今、榊原という男の出現が美佐子を根底から変えようとしていた。  榊原は、ぐずぐずに溶けたようになっている美佐子の体をごろりと転がした。  淫ら汁でべとべとになった女陰に、ずるりと最後のひと舐めをくれると、榊原は体の向きを変えて、放恣に横たわった美佐子の裸体に覆いかぶさっていった。  合体の予感に、美佐子の全身の細胞が期待で粟立った。とうとう、くれるんだわ。待ち望んでいた、あの太くて長いチンポコを入れてくれる。 「早く………お願いです………早くして」  せがみながら腰をくねらせる美佐子を、榊原は眼を細めて見ていた。  わずかに腰を進ませて、自分のものの先端をぬめる粘膜にかすらせる。 「ひいっ!」  美佐子が顔をのけぞらせた。  榊原は老練な巧みさで、勃起の先端部で何度も何度も女陰の全体を掃くような動作をくりかえした。  昂まりきってふやけている性器を、ペニスの先端でこすられるたびに、美佐子の欲望が限界寸前にまで高まってきた。  体全体が脈打って、そのたびに内部がからっぽになっていきそうな気分だ。  これ以上じらされたら、発狂しそう。 「お願いです………入れてください………わたしに………ください………」  息もたえだえになりながら、美佐子は榊原に訴えた。 「よし………いくぞ」  榊原は低く気合いのこもった声でいった。高く秀でた額には、うっすら汗をにじませている。美佐子は榊原の重みが体にかかってくるのを、淫ら色に曇った頭でなんとか感じ取った。  ふたりの太腿がこすれあい、愛しい榊原の逸物が………美佐子の襞々を割って押し入ってきた。 「す、すごい………いっぱいになっちゃう………あーん………いい………」  榊原のほうも内心感嘆していた。  これはすごい。入口のあたりの締めつけは天下一品だ。それでいて、少し奥にいったあたりには、とろとろと溶けたような肉の感触がある。  熱い迸りは、ふたりの粘膜のあいだに入りこんできて、たがいの恥肉をとろかしていく。  榊原はゆったりと腰をつかいはじめた。  若者のようにせいた動きはしない。ときたま、ひときわ奥まで突き立ててくるほかは、ただ抜き差ししているだけのように見える。  だが、榊原はおのれの節くれだったものが、内襞のあらゆる側面を順番にこすりあげるように、微妙に体の姿勢を変えていた。 「いいかい?」  榊原は荒い息をつきながら、かすれた声で囁いた。  そういいながら、小刻みに腰を震わせている。その微妙な振動が恥骨を震わせて、敏感な肉芽をいやがうえにも随喜させていた。 「ああん………わかってるくせに………」  美佐子の秘裂がひくひくと痙攣して、甘いセックスの蜜をじんわりと溢れさせていた。  榊原の動き方は堂にいっていた。  先端が完全に外れてしまいそうなほど腰を引いたかと思うと、そっと、進んでいるのかいないのかわからないくらい穏やかに、砲身を深々と沈めてくる。  かと思うと、完全に密着させたまま先端だけをぴくぴくと動かして、美佐子の子宮口を巧妙に刺激したりする。  それだけで、美佐子はあらぬ声をあげてのたうちまわった。  だが榊原は、がっしりした腕で、美佐子の方をつかんで動かないようにしている。  静かな、ねっとりとからみつくような抽送が十五分ほどもつづいただろうか。やがて榊原は腰のエンジンを本格的に動かしはじめた。 「ああ………強い………当たる………コツコツ来る………」 「どこが、当たるんだい?」  榊原が意地悪く質問をした。 「わかってるくせに………」 「いや、わからないね」  いいながら、榊原は美佐子の勃起しっぱなしの乳首を、チュウチュウ音をさせて吸い立てた。 「いや………そっちも感じちゃうから………」  男の手がこやみなく美佐子の脇腹をくすぐっている。ぴったりとひとつに合わさった腹のあたりが、かっと熱を帯びている。その奥深くに埋もれている美佐子の内臓が、下腹部からのつき上げに狂喜して、燃え上がらんばかりだ。 「さあ………どこが感じるんだって? いってごらん」 「ああ、あ、あそこ………あれが………ビンビン来るの………痺れちゃう………」 「あそこってどこ?」  榊原は容赦しない。ストロークの間隔がしだいに短くなってくる。  大ぶりの精袋が、美佐子の蟻の戸渡りあたりをソフトの叩きつけていた。 「いや………」 「いってごらん。恥ずかしくないから………さあ、オマンコって」  耳もとで猥語を囁きかけられて、美佐子はますます燃え上がった。いつのまにか、その刺激を味わいたい一心で、彼女の口からも淫らな言葉の奔流が堰を切ったように溢れでてきた。 「そうよっ! オマンコよ………オマンコがじんじんいってる………べちゃべちゃでしょ、わたし? 感じてるんだもん………ああーん、とろけそう………もっと………突っこんでよ。あなたの………あなたのペニス………」 「よおし、入れてやるとも、ビンビンのチンポコ突っこんで、オマンコをぐちゃぐちゃにかきまわしてやる」  端正な顔だちにはそぐわぬ乱暴な言葉づかいで、榊原は荒々しい動きに切り換えた。  節くれだった男根が、円を描くようにしながら美佐子の肉体に突き刺さってくる。  いったん奥まで挿入を完了すると、肉棒がものすごい速さで抜き差しされはじめた。  それも、入ってきたり出ていったりするたびに、少しづつ角度がちがう。 「いい………す、すごくいい………いやあん、オマンコが………オマンコ………」 「ぼくも気持ちがいい………締りがいいんだね………こうやって………ぐっと抜くときに………きみのオマンコの肉が、ぼくのチンポコにねっとりからみついてくる………」  美佐子も腰を突き上げては、少しでも深い結合を求めていった。この人の逞しい肉茎をもっと少しでもたくさん感じたい………。  榊原のほうは、美佐子の媚肉が蠕動したり締めつけてきたりするのに酔いしれていた。媚肉はまるで男の快感スポットを心得ているかのように、鰓のあたりや裏側の縫い目のようになったあたりをくすぐっている。  濡れきった女陰の中は、まるで坩堝のように熱く滾っている。  榊原が巨根を出し入れするたびに、淫襞が大きく張りだした鰓首にひっかかって、そのままずるりと体の外に引っぱりだされてしまいそうだ。 「すてき………いいわ………うーん………おっぱいも舐めてエ………」  美佐子は手を榊原の背中に回して、激しく動く筋肉の盛り上がりを手のひらで愛でた。こんなに逞しい人が、わたしを喜ばそうとしてくれてる。わたしの中に、一番大事なアレを突っこんでくれている。  ふつふつと湯気をあげるような快感とは別に、胸のあたりがじんわりした温もりに満たされた。 「ずっと………ずっと………つながっていたいくらい………」 「ぼくもだ」  榊原は美佐子の首すじに口をつけていった。  美佐子が足を高くかかげて、榊原の肩に乗せてきた。榊原は少し上体をのばして、ふたりの結合点に目を落とした。  おびただしい愛液に濡れてギラギラ光る秘裂の中に、自分の巨砲が埋まっている様子がはっきりと見えた。  美女のオマンコに、自分の肉茎が入っているところを上から見おろすのは、世界でも指折りのすばらしい光景である。 「すごいよ………ぼくもじんじん来る………こんなに………こんなに感じたなんて………久しぶりだ………たまらない………」  美佐子の気が遠くなってきた。体じゅうで小さな泡がはじけていくような感じがする。 「イく………イっても………いい………」 「いいとも………ぼくも………ああ………イキそうだ」 「来る………すごいのが………来る………あっ!」  美佐子は言葉を失った。一瞬目の前が空白になったかと思うと、肉体の芯が爆発したようなショックが襲ってきた。立てつづけにエクスタシーの津波が股ぐらから脳天にかけて突き抜けていく。  美佐子の体がそりかえった。しきりに口をぱくぱくやって、あえいでいる。  榊原は振り落とされまいとして、いっそう強く腰を押しつけていった。 「ちょうだい………わたしに………かけて………今よ………今………」  美佐子が獣じみた声をあげて、つながっているあたりをひくつかせた。 「だめ………もうだめ………ああ………イ、イク。ヒイイイイ!」  いわれるまでもない。榊原はたわめてきた力を一挙に吐きだした。  榊原の剛棒がひときわぐっとふくらんで、美佐子の膣窟を押し広げた………そして次の瞬間、剛棒の先端が破裂したような勢いで熱く白い溶岩が大量に美佐子の子宮口に降り注いだ。  美佐子の裸身がわななき、官能の電撃にひくひくとひきつれるような動きをしている。射精のリズムを刻む肉棒をすっぽりとくるみこむ媚肉も、さざ波のような痙攣をくりかえしていた。  ふたりは声のない悦楽のうめき声をあげながら、それでもまだ激しく腰を押しつけっていた。   7 美姉妹性宴  理沙から指定されたのは、ターミナル駅のビジネスホテルのロビーだった。  時刻は午後の二時。日曜日なので、ゆっくり起きてブランチをすませる時間はある。  それでもシャワーをあびて髪の毛を乾かしていると、けっこう時間が迫っていた。義母の美佐子は、俊彦が起きる前にでかけたらしい。  このところ、義母は夕方になっても帰っていないことが多くなった。  まさか、実はこのあいだの夜ぼくがアソコをのぞき見したのを知ってて、それでぼくと顔を合わせたくないのかな。  そんなことを考えながら、お手伝いさんのつくったシチューを温めなおして腹に入れると、俊彦は家を出た。  理沙のお姉さんだって? そんな話だった。男性恐怖症をなおすとかいってたっけ。できるのかな? まあいいや。………どっちみち好き者の理沙のことだ。たとえそのお姉さんとやらとはセックスできなくても、理沙とはできるに決まってる。  知り合って三週間ほどしかたっていないのに、理沙と俊彦はもう十回以上もたがいの生肉を貧っていた。理沙の激しさときたら、女の経験がほとんどない俊彦にすら、異常と思えるほどだった。  このあいだの土曜の夜なんか、寝かせてくれないんだもんな。一発やっちゃあ、きれいにしてあげるとかいって、ぺろぺろおれのアレを舐めだして、勃《た》つとすぐ「入れて、入れて」だもんな、まいっちゃうよ。二日くらい、先っぽがヒリヒリしちゃった。  それでも、中二日たつと俊彦のほうもまたヤリたくてたまらなくなる。  今日はちょうどそういう日だった。トランクスの中の若い欲望の源泉は、はけ口を求めて、なんとなくムズムズしている。  電車を降りてホテルのティールームに足を踏み入れると、すぐに理沙がこちらの姿を見つけて、声をかけてきた。  理沙はひとりきりだった。その問題の姉という人物は見当たらない。 「うん、部屋にいるって」  俊彦がわけをきくと、理沙はそういってグァヴァ・ジュースをストローですすった。 「じつは、きみが今日ここに来るってこと、姉貴には話してないのよ。話したら、ぜったいこないんだもん」  とすると、その姉にとってはまったく唐突に男に抱かれるというわけか。俊彦はいやがうえにも気持ちが昂ってくるのを感じていた。 「まずね………あたしときみが、ベッドの上でふざけっこしながらいつの間にか気分だしちゃうっていう芝居でいかない?」  理沙は悪戯っぽく笑って、ジュースのグラスを下に置いた。 「お芝居じゃなくなっちゃうかもしれないね、理沙さんだと」 「生意気いって、この」  ティールームから出て、狭いエレベーターでふたりきりになると、理沙はいきなり唇を重ねてきた。自分より背の低い理沙にからみつかれて、俊彦は一瞬よろめいた。  理沙はそれも知らぬげに、ねっとりした舌を無遠慮に挿入してきては、ぐいぐいと腰をグラインドさせて押しつけてくる。  部屋は十二階だった。ベージュの絨毯の敷きつめられたロビーには、かすかにストリングスのBGMが流れている。廊下の両側のぴったり閉ざされたドアの列………あの奥できっとみんなイヤらしいことをやってるんだ。  俊彦の若い血潮がまたもや大きくうねって、股間をざわつかせた。  理沙と姉の部屋は、廊下の突きあたりの角部屋だった。ノックをすると、すぐに返事があり、ドアが内側に開かれた。 「待ってたわよ………」  という返事が、途中でとぎれた。理沙の姉が俊彦の姿に一瞬たじろいだのだ。  理沙はそれには頓着せずに、「入るわよ」といいながら、広い室内にずかずか足を踏み入れていく。理沙に手を取られて俊彦も、そのあとから中に入った。 「ちょっと、理沙。この………男の子、いったいなに?」  理沙によく似て、ちょっと幼いところの残る美人だった。長い黒髪はそのまま肩に垂らしている。着ているのは、なんの変哲もない白いブラウスと紺のスカートだ。首には目だたないが品のいいネックレスをしている。いかにも、いいところのお嬢さんだ。 「紹介するわ。あたしの………コ・イ・ビ・ト………俊彦くんっていうの」 「こんにちは」  俊彦が頭をさげても、姉のほうは胡乱《うろん》な目つきで見ているだけだ。 「俊彦くん、これが姉の由理恵。皇居の近くの商社でバリバリのキャリアウーマンやってるのよ。今夜はこのお部屋で、高校時代のクラスメイトとパーティなんですって。そのなかのひとりが、ここの支配人の娘なの」  なるほど、控えの部屋と応接用の部屋と寝室が別々になったスイートタープだ。サイドテーブルの上に乗っている大きな花瓶には薔薇の花が溢れんばかりだし、その隣にはワインクーラーが置いてあって、輸入もののワインの壜が入っている。ホテルからのウエルカム・プレゼントだろうか。 「いいご身分よね。シャネルなんか着ちゃってさ」  理沙はそういいながら、寝室に通じるドアを大きくあけて中に入っていった。 「わあ、大きなベッド。ねえ、姉さん、ひとりで寝るんじゃもったいないでしょ?」 「馬鹿いわないでよ」  由理恵は理沙のほうをちらちら見ながらも、嫌悪の入り交じった視線を俊彦に注いでいる。ちぇ、そんな目で見なくてもよさそうなものなのによ。俊彦はふてくされた気分になった。 「ねえ、俊彦くん、こっちに来ない? すんごくふんわかしたベッドよ。さっすが、ホテルのオーナーのコネがあるとちがうわ」  誘いの言葉に、俊彦は由理恵にちょっと頭をさげて、寝室のほうに入っていった。  理沙はもう広々したクイーンサイズのベッドに大の字になって横たわり、近づいてくる俊彦を見あげている。白のポロセーターに包まれたむっちりした乳房が、わずかに上下している。ノーブラだ。先端にぽっちりと乳首が突きだしているのがわかる。 「ふかふかよ、ねえ、俊彦くんもこっちにいらっしゃいよ」  そういいながら理沙は、ちらっと目くばせして見せた。合図だろう。俊彦は、胸の高鳴りを覚えながら、どっしりしたカーペットの上を歩いて、仰向けに寝転がった理沙の隣に腰かけた。 「ちょ、ちょっと待ってよ。あなたたち、なんのつもり?」  由理恵が、俊彦のあとからあわてた様子で顔を出した。 「人のベッドに遠慮もなく………」 「人のベッドったって、べつに今晩誰かがいっしょに入るあてもないくせに。ねえ」  理沙は挑発的な口調でいうと、俊彦の首に腕をからめて鼻声をあげた。 「ねえ、俊彦くん。こんなふんわかベッドでやったことって、ないんじゃない? 理沙、なんだか変な気分になっちゃった………」 「何いってるのよ、理沙。よしなさいよ、はしたない」  由理恵は顔をまっ赤にして、理沙と俊彦に詰めよりかけた。  理沙はまるっきり無視して、いよいよ俊彦のスラックスの中心部に手を伸ばしている。それに気づいて、由理恵が棒立ちになった。俊彦のほうも、さっき部屋に入ってきて由理恵の美貌を見た瞬間から、棒立ちである。 「うふ、姉さん、俊彦くんたらもうビンビンなの………あたしのこと、好きなんだね」  理沙は自分の胸のふくらみをわしづかみにして、ゆるゆると揉みしだきはじめた。俊彦もベッドに体を横にして、片手を理沙のアニエスb.のスカートの中に忍ばせて、熱く湿った中心部にダイレクトに指を触れさせていた。 「あなたたち、なんのつもり? やめて、すぐ出てって」  そうはいうものの、由理恵は自分から部屋を出ていこうとはしていない。ダイヤの指輪がこれ見よがしに光る手をぎゅっと握っているだけだ。 「いいでしょう、妹が恋人と愉しむのをじゃまするつもり?」  理沙は一瞬きつい目を姉に向けたが、すぐにとろんとした目つきになって、俊彦にむしゃぶりついてきた。 「俊彦くん………もっと触って………じかに触ってもいいのよ」  はあはあと息をあえがせながら、理沙は俊彦の着ているラルフ・ローレンのポロシャツの裾をチノパンツから引きだして、素肌に手を這わせてきた。  抱きあいながらたがいの服を引き剥いでいくふたりを、由理恵はあからさまな嫌悪を浮かべてにらみつけていた。  不潔だ。結婚前なのに、しかも、自分より年下の、どう見ても高校生の男の子とあんな破廉恥なことをして………まあっ、男の子のズボンのチャックをさげてる………。  出ていくのよ、さあ、早く。理性の叫ぶ声とは裏腹に、由理恵の足はそこに釘づけになったように一歩も動いてはくれなかった。  理沙はもう上半身裸だ。靴は蹴飛ばして抜いでいる。大きくふくらんだ乳房を、同じように裸になった男の胸に、自分からこすりつけて………いやらしい………あら、あの男の子のズボンを足で脱がしてる………男の下着をつかんで………下着があんなにふくらんでるじゃない!  高校生は慣れた様子で理沙の唇を吸いながら、片手でたわわな乳房を大切なものでもあつかうような慎重な手つきでゆっくりと揉んでいる。  もう一方の手は巧みにスカートを剥いで、太腿と太腿にはさまれた恥ずかしい谷間にさしこまれている。  由理恵の角度からでは、男の手が理沙の羞恥の部分にどんなことをしているかは、はっきりとは見てとれない。それでも、男の手が微妙な動きをするたびに、理沙が姉の前ではついぞ聞かせたことのないような、あられもない歓声をあげている。 「いいわ………俊彦くんたら………うまくなっちゃって………あん………そこは………だめだったらあ」  見たい気持ちがこみ上げてきた。だめ。すぐに背中を向けて………出ていくの………無視すればいいじゃない。  だが、由理恵の足はびくともしなかった。  俊彦は背中から注がれる由理恵の視線を感じていた。見られていることで、変に興奮している自分が恥ずかしい。それでも、そんな羞恥を忘れさせるほどに、甘美な理沙の肉体だった。  パンティごしに指先に触れてくる生肉は、すっかり濡れそぼって、熱く蠢きはじめている。そのあたりから、麝香の香りに似たねっとりと鼻先にまとわりつくような女のセックスの芳香がただよってくる。 「俊彦くん、早く脱がせて………」  理沙が腰を浮かせた。俊彦はすかさずパンティのゴムに指をかけて、小さな布きれを引きさげた。  たちまち、理沙の練れきった女の器官があらわになった。パンティの股ぐりは、すっかりふやけて、縮れ毛が二、三本貼りついているのが妙に助平心を刺激してくる。 「姉さん、見てる? ………理沙、とっても………とおってもカイカンしてるの………理沙、エッチが大好き………」  理沙は、寝室の壁に呆然とよりかかっている姉に向けて大きく足を広げると、腰をくねらせながら、随喜の粘液をとめどなく溢れさせる女陰を見せつけた。 「ほら、濡れてるのよ………この子に触られて………オマンコがヒイヒイ泣いて歓んでるの………どう………姉さんのあそこ、こんなになったこと、あるの?」  聞かれたからといって、答えられる状態ではなかった。実際は足から急に力が抜けて、立っていられなくなり、それで壁によりかかったのだから。 「俊彦くん………きみも脱ごうね………あたしが脱がしてあげるから………あらあら、こんなに窮屈そうじゃ、きみのペニスがかわいそう」  露骨な単語を口にしているのは、由理恵を刺激しようとしてのことだろう。だが、淫らな光景を演じているふたりも、自分たちの恥ずかしげもない猥褻な言葉づかいには、興奮しているのだ。  理沙は俊彦のトランクスをゆっくりと引きさげた。邪魔っけなもののなくなった若茎は、先端の切れ込みからすきとおった樹液をしたたらせながら、びくんと跳ねて雄姿をあらわした。 「ほら、姉さん、これが姉さんの大っきらいな男のアレよ………こんなに硬くなってるの………コリコリッてしてるわ………先っぽのほうはね、ほら、ちょっと柔らかいの………わかる? これがあたしのアソコにズボッて入るんだから、本当よ。女の体は、男のオチンチンを入れられるようにできてるんだもの」  由理恵は、いやいやをするようにかぶりを振った。  理沙は見事に勃起した俊彦の肉棒を、由理恵に向かって振りたててみせた。 「怖くないわ………あたしはもう、これが欲しくてたまらない………あたしのお股にズンズン入れてほしくてたまらないの………ああ………俊彦くん………」  せつなげに名前を呼ぶと、理沙は肉棒にむしゃぶりついてきた。柔らかい唇と、ねっとりした舌が、敏感な亀頭粘膜をすっぽり包む。  俊彦は、理沙のくねり狂う腰の中心部に伸ばした手を必死になって動かした。  理沙を愛欲の歓びで狂わしてやれば、この津波のように押しよせてくるフェラチオの愉悦から少しは逃れられそうだ。そうすれば、少しでも長持ちする。  理沙はことさらに音を立てて、男の器官をしゃぶっていた。よくあんなものを口に入れられるものだ。  由理恵は驚きと、こみ上げてくる吐き気に必死で耐えていた。幼い日の屈辱的でいまわしい思い出が甦る。近所の男に幼い体をいじられて、そのあげく、棍棒のような化物じみたものを、口に含まされた思い出………。  だが、由理恵の体は、彼女の理性とはまるっきりちがう反応を見せていた。  頭の中や胸の奥が、手の先や太腿がじんじんと火照ってきているのだ。  なかでも下腹が燃えるように熱くなってきている。  決して気味の悪い熱さではない。  それどころか、温かなバスタブに体を浸しているときのような、心地よさがある。………いや、心地よさだけでいえば比べものにならない。  どうしたんだろう、わたし。おかしい………こんなになったの………初めて。  男性やセックスに対する嫌悪感から、由理恵はこれまで少しでも男女の生々しい行為を連想させるようなものからは目をそむけてきた。  ポルノ映画の看板ぐらいでも、まともに見てしまったあとは本当に胸が悪くなったりした。  だが、いま目の前で展開されている愛欲の痴戯には、そうした単語から連想されるいやらしさがまったくなかった。  ふたりとも、すべらかな肌にうっすら汗をにじませ、無心におたがいを歓ばせようとして、また自分でも少しでもたくさんの快楽を得ようと真剣になっている。  確かに、普段は隠されている肉体の器官そのものは、人体のほかのどんな部分に比べても醜いような気がする。  特に男のものは………だが、、俊彦とかいう高校生のそれは内側からてらてら輝いていて、いかにも溌剌とした若者のエッセンスをぎっしりつめこんでいるようにも見える。  あれが体の中に入ってくる………そう思っただけで、背すじがぞっとしてしまった。だが、その戦慄には、いくらかの期待の念がこもっていた。  理沙は瞼を閉じて少年の股間に顔を近づけ、そそりたった陰茎にさもおいしそうに一心に舌をからめている。彼女の喉ぼとけがときおりごくりと上下するのが、妙に生々しい。  理沙は、あれを入れてもらえるんだわ………そう思うと、羨望に似た思いがこみ上げてくる。  そのとたん、長年たわめられた由理恵の本能が、すべての軛《くびき》をときはなたれて、肉体の奥深くから躍りあがってきた。  鳥肌が立っていた肌が、別の刺激を求めてぞわぞわと粟立った。  さっきまではなんともなかったのに、乳首がブラジャーにこすれるのが、はっきりと感じられる。  うなじがチリチリとしてきて、脇腹には未知の戦慄が駆け抜けた。  そして………あの恥ずかしい谷間のあたりが、まるで千匹もの蟻が這っているかのように、まったくだしぬけにむず痒くなった。  気も狂いそうな痒さだ。思わずスカートの中に手が潜りこみそうになるのを、由理恵は必死でこらえた。 「姉さん、ちゃんと見てるのよ………今からあたしたち、男と女のいちばん親しい姿を姉さんに見せてあげるから………」  いつの間にか理沙は、少年の股間から顔を上げて、絨毯の上にへたりこんだ由理恵を見ていた。  その声にはっとなった由理恵は、ふたりの姿態を見て、またぎょっとした。  少年は隆々と力をみなぎらせたものを天に向けたまま仰向けに横たわり、理沙はその真上にまたがるような恰好で、膝をついて立っているのだ。  しかも、少年には背中を向けている。  理沙の股間からは、白濁した粘液の粒状のしたたりが、俊彦の下腹に糸を引いて垂れていく。滴は、大きなガラス窓から射しこむ陽ざしに照らされて輝いていた。  俊彦の重そうな精袋が、ゆったりと蠢いているのがいやでも目に入ってしまう。 「いい、これが………男と………女よ………これがオマンコよ………セックス………ちゃんと見てて………いかまらこれが………あたしのオマンコに………入るから………」  理沙はきれぎれにいいながら、俊彦の勃起に手を添えて角度を調節し、自分の秘裂の侵入孔に当てると、そろそろと腰を落としていった。  俊彦を根元まで収めると、理沙は上体を後ろに倒した。 「見える? ………見えるでしょう? ほら、あんなに太くて長いのが………ちゃあんと入っちゃった………ああん………気持ちいい………すっごい快感よ………俊彦くん、ぴくぴく動かさないでったら………タマタマ揉んじゃうから………」  俊彦の手がにゅっと理沙の股間に回されてきた。 「いい子ね。………わかる、姉さん。俊彦はね、あたしのクリトリスを触りたがってるの………触られると、あたしがヨガリ狂うの、知ってるからよ………あうっ! ………そっとしごいてね………転がすみたいに………」  由理恵の股間は洪水に見舞われていた。これまでも、不本意な淫夢を見た朝などは、下着が湿っているときもあった。  だが、今のはそんな生やさしいものではない。小水を洩らしていると錯覚しそうなほど、あとからあとから熱いしたたりが誰にも侵入を許したことのない媚肉を潤していく。  むず痒いのはあいかわらずだ。そこに、激しく痛みさえともなう脈動がくわわった。  ビクンビクンビクン。  ズキズキズキ。  股間を中心として、体に疼きの波紋が次々と広がっていく。  これって………性欲? 由理恵は愕然とした。そんな穢らわしいものとは、わたしは無縁よ。これまでそういいきかせていた信念が、音をたてて崩れていった。  濡れてるなんて錯覚よ。由理恵はほんのちょっと確かめるつもりで、熱くとろける秘密の襞肉に指先をさし延べた。  自分の指先が、これまで存在さえ知らなかった柔らかなビラビラをかすめたとたん、由理恵の背中を電撃が見舞った。 「ああ………」  思わず口から甘い喘ぎが洩れてしまう。  オナニーなどしたこともない。それでも指は、本能で快感スポットを探りあてていた。両側からはさみこむようにして迫りだした媚肉をかきわけて、これまで刺激されたことのない肉サネを掘りだす。由理恵の人差し指は、ごく自然に鋭敏な肉のよじれをこすりあげていた。 「俊彦、ほら、姉さんが気分出してきたわ………」  理沙はゆったり腰をバウンドさせながら、俊彦にいった。  由理恵はその言葉を聞いていない。理沙の肉穴に俊彦の青筋をたてた剛棒が出入りしているのを、食いいるように見ながら、口を半開きにして、おのれの股間で激しく右手を動かしているばかりだ。 「見える? 我慢できないみたいよ………オナってるんだもの………」 「あっちに入れるの?」  俊彦はひときわ高く腰をつき上げて、ぐりぐり動かした。先端に硬くしこった感触がある。子宮口だ。理沙の数ある弱点のひとつである。 「うん………ううん、だめ………理沙、もっと………ほしいの………でも………」  理沙はもう完壁に支離滅裂だ。ソバージュの髪の毛をふり乱し、胸の双球をはずませながら、俊彦の上で腰をくねらせている。  そればかりか、自分の女陰に手を回して、肉襞を左右に広げては、充血していきりたつクリットを指先でしごいている。  指先はときどき下のほうに滑りおりてきて、愛液がべっとりとしたった俊彦の肉袋を、愛しそうにさすりあげていた。 「見てる………姉さん、これがセックスよ………男と女の………本音のぶつかりあい………」  理沙は尻を完全に俊彦の腰にのっけると、膝を何度も開いたり閉じたりした。 「ほら、入ってるでしょ? この子の太いアレが………あたしのオマンコに………」  由理恵はもう見てはいなかった。視野が薄紅色に霞んで、ふたりの恥ずかしい器官がつながりあっているところしか見えないのだ。  その光景が由理恵の脳を痺れさせた。体じゅうの神経が、だしぬけにひどく敏感になってきて、空気が触れているのがはっきりわかるくらいだ。 「ほしいの………姉さんも………こっちに来たら? ………ねえ………ほら、こんなふうに………ズボズボしたいんでしょう? ………自分で触ってるのがいいの? これのほうがずっといいんだから………」  由理恵はいつの間にか四つん這いになって、ベッドのほうに這いずり寄ってきていた。妹と少年の強烈な媾合の引力に引き寄せられたかのようだった。  顔をベッドの高さに持ち上げると、激しくおたがいを摩擦しあっている粘膜器官が迫ってきた。  男のものは信じられぬほど長大で、それが今にも抜けそうなほど外にでては、また襞々を中に巻きこむような勢いで、根元まで侵入してしまう。  理沙の秘裂も、鮮やかなルビーのような色に染まっていた。微妙な構造の襞の隙間には、膣洞からしみだした愛液がねっとりと澱み、湯気をたてている。  ふたりの羞恥の部分がはげしくこすれあうあたりには、かきたてられた粘液が白く泡だち、少年のペニスの根元を覆う剛毛にからみついていた。  由理恵のパンティは、もう膝のあたりまで落ちている。意を決してベッドにのぼった拍子に、それが完全に足首から抜け落ちてしまった。  由理恵はそのままわけもわからずに、目を閉じて唇を震わせながら快感をこらえている俊彦の顔の上にまたがっていた。  仰天したのは俊彦である。ふいに顔にべっとりと生ぐさい湿ったものを押しつけられてあわてて目を開けると、まだ男の凌辱を許したことのない甘やかな花園が、ふいに迫っていたのだから。  美姉妹は背中合わせになって、俊彦の上にまたがっていた。  俊彦は必死になって腰を突き上げながらも、もってうまれた探究心で由理恵の女陰に舌先を埋めていった。  酸っぱかった。  理沙のほうが芳醇な味わいがある。もちろん、義母の美佐子のほうがこってりとした味を出していたが、それでも理沙の膣汁のほうがまだ奥深い味がする。  これが処女の味か。俊彦は感動していた。処女の襞のあいだには、もっと酸っぱいヨーグルトのような物質がこびりついていた。  マンコ垢だ。俊彦はそれも必死で舐めとっていた。淫舐をくりかえすたびに、顔の上で豊満な尻がくねり、紅鮭色をした襞がぐんにゃりと鼻面に押し潰されていく。  俊彦に紅色の肉塊をねぶらせながら、由理恵はこれまで知らなかった荒々しい女の悦びに端正な顔を歪めていた。肉厚の唇はだらしなく開かれて、そこからひっきりなしにふいごのような息が洩れていた。 「姉さん………交代したげる………姉さんも入れたいんでしょう?」  理沙はそういうと、ズボッと音をたてて俊彦の肉棒を膣窟から引き抜いて、そのままごろりと横に転がった。それから、由理恵の肩に手をかけて仰向けに寝かせ、俊彦に目顔で合図をした。  俊彦はすかさず、しどけなく横たわって足を開いている由理恵にのしかかっていった。だが、すぐに侵入はしない。股間の勃起は、ねばりつくような女肉が恋しいのか、しきりにひくひくいっては鈴口から樹液をしたたらせているが、相手は処女だ。  理沙からもいいふくめられている。ゆっくりやるのよ。由理恵よりも先にイッたって、かまやしないわ。でも、何度もヤッてあげて。タマが空になるくらい、ヤッてヤッてヤリまくるの。そうでもしなきゃ、あのおカタい姉貴じゃヒイヒイ泣いてるだけになっちまいそうだから。  でも、そうでもないみたいだ。先っぽをオマンコに当てても、逃げるどころか、腰を使ってスリスリしてくるじゃないか。  俊彦は思いきって腰を沈めてみた。ぬるりとした感触があって、肉棒は媚肉の亀裂にそって滑って下を向く姿勢になってしまった。 「あん………」  由理恵の口から、ものほしそうな喘ぎ声が洩れた。 「ちゃんと………ちゃんと………」 「ちゃんとどうしてほしいの?」  わきから理沙がからみつくような声でたずねる。 「そんな………」  由理恵は両手で顔を覆って、いやいやをした。 「いいよ、俊彦。いわなきゃ、またあたしとヤレばいいんだから」  理沙は手をふたりの股間に滑りこませて、没入の期待にわななく秘裂から、俊彦の勃起を離そうとしかけた。 「ちゃんと………入れて………」  消え入りそうな声でえ答ながら、由理恵はすらっとした腕を俊彦の背中にまきつけた。 「どこになの?」  理沙はいったん俊彦の肉茎から離した指で、熟しきった花弁をぞろりと撫で上げた。 「ヒイイイッ!………」  長く尾を引く鳴咽を洩らして、由理恵が左右に身をよじった。 「お願い………入れて………入れて………わ、わたしの………アソコに………」 「あそこって? アソコってどこ?」 俊彦は耳もとに唇を寄せて、熱い息を吹きかけながらささやいた。  上品なシルクのブラウスを引き裂くようにして押し広げ、ブラジャーをあたふたとずらして、乳房にむしゃぶりつき、舌先で乳首を乱暴に転がしてねぶった。  男を知らない肌は信じられないほど滑らかで、上質のバターのような味わいがあった。手のひらで包むと、わずかに汗をにじませた餅肌が、ぴったりと吸いついてくるようだった。 「オ………オマン………」 「聞こえないよ! 姉さん、はっきりいいなよ………ほしいんでしょ? 俊彦のがほしいんでしょ?」  理沙は由理恵の脇腹に舌を這わせていた。透き通るような肌に、ナメクジの這ったあとのようなぎらつきが残った。 「オマンコ………あたしのオマンコに………」  蚊の泣くような声でいいはじめた由理恵だったが、いったん猥語を口に出して制御がふっとんだらしい。由理恵の上品な唇から、次々と猥褻な単語が迸りでてきた。 「オマンコに入れて………大きくて太いチンポコ入れて………オマンコして………」  いかにも両家の子女といった清楚な顔だちの由理恵が、眉をしかめて、唾をまきちらしながら淫らきわまる単語をわめき散らしている姿に、俊彦はこれまで以上に興奮をかきたてられた。  よし、入れてやる。思いっきり入れてやる!  俊彦は一気にエレクトを、由理恵の熱く滾った坩堝に沈めた。  処女だということで若干の抵抗は予期していた。確かに、亀頭部がおさまりかけたところで、つっかかる感じがあった。  由理恵の顔をちらっと見やると、ぎりぎりと歯を食いしばって、額に皺を寄せている。痛いのか? 痛がってるんだろうか?  俊彦はふっとためらいの気持ちが生じてきた。  それを鋭く見てとったのだろう、理沙が声をかけた。 「いいのよ、俊彦、ズンズン突っこんで………痛がってもいいの………すぐによくなるから」  逡巡の気持ちが吹っとんだ。俊彦は渾身の力をこめて、猛り狂う男根を由理恵の未開拓の膣洞深くつきたてた。 「アアッ! い、痛い………」  由理恵は下唇を噛んだ。体を真っ二つに引き裂かれそうな激痛が、股間から脳天に突き抜けていった。  火箸をつっこまれたみたい。痛い、痛くてたまらない。  だが、目もくらまんばかりの苦痛の陰から、確かにさっきまで感じていた愉悦にも似たものが次第にこみあげてくる。  俊彦はじっと動かない。熱く脈動する海綿体が、狭隘な通路を押し広げている。圧迫感だけではない。内臓をすべて灼きつくしていくようだ。  だが、日に焙られた肉からやがて脂と肉汁がしたたり落ちてくるように、由理恵の体も随喜の肉汁をしたたらせはじめた。きつい感触だった膣洞が、静かに蠢きだして、男の感触をじっくり味わいだしていた。 「なんか………だんだん………温かくなってきた………」  理沙は姉の脇腹から太腿にかけてのラインに、丹念に舌を這わせている。 「あん………動いちゃう………」  由理恵が鼻にかかった声を出して、腰をひくつかせた。 「いいんだよ………動かして………そのほうが気持ちいいんだから………」  俊彦もゆったりと腰で円を描きはじめた。内部が次第に柔らかくなってきたのがわかる。何度かクライマックスの波が突発的に襲いかかってきたが、必死でこらえた。まだイキたくない。なんとしても、このお嬢様をひいひい泣き喚かせてみたい。アヘアヘいわせて、ヨガり狂わせてみたい。  だが由理恵の反応は、最初の予想よりもかなり早かった。腰の回転が次第に速度を増してきて、喉の奥から洩れる声もピッチが上がってきたのだ。 「俊彦くん………なんだか、由理恵、感じてきちゃった………」 「もっと気持ちよくなるよ………腰を突きだしてごらん」  由理恵が不器用な動きで恥骨をすり寄せてきた。処女の柔草と俊彦の草むらがしゃりしゃり音をたててこすれあった。 「なんか………動くと………いいみたい………」 「そうだよ………ぼくだって気持ちいいんだ」  いつの間にかふたりの足のほうに回っていた理沙が、だしぬけに睦みあうふたりの淫肉のあたりにたっぷりと唾を塗りたくってから、くちゅくちゅ舐めくりだした。 「ああっ………理沙………だめよ………そんな………」  そういいかける由理恵の声を、俊彦が制した。 「もっと舐めてよ、理沙さん。ぼくのキンタマもしゃぶって」  理沙はすぐにその言葉にしたがって、女を悦ばせる無限のエネルギーを生みだす肉の袋をぱっくりと咥えた。  由理恵はすっかり陶酔境にひきずりこまれていた。ぜいぜいと荒い息をつきながら、乳房をゆさゆさと揺すり立てて俊彦にしがみついてくる。さすがにまだ自分から足を男の腰にからめてくるような真似はしないが、それでも絶妙な柔らかさと弾力でこんもりと盛り上がる恥ずかしい丘を押しつけ、男の恥骨の感触に嬌声をあげさえした。  抑圧が強い女ほどいったんその抑えがはずれると、がらりと豹変する。  由理恵がいい例だった。  さっきまでの高慢ちきなOLの雰囲気は微塵もなくなり、いまや股ぐらに突き立てられた男の剛棒が与えてくれる快感を、少しでも多く浴びたいと願う牝になりさがっている。  俊彦は腰をグラインドさせるだけではなく、いよいよ抽送を開始した。いったん腰を引くと、やはりまだ男を迎え入れることになれていないのだろう。膣窟が隙間を埋めるように前後から締めつけてくる。それがカリの張り出しにひっかかって、えもいわれぬ蕩悦をつくりだした。 「す、すごいわ………」  自分の秘唇を指でいじくりまわしながら、男女の合体部分に目を寄せていた理沙が、かすれた声を出した。 「俊彦が出てくると、きれいなピンクのお肉がいっしょにムニュッと出てくるの」  いったん手前まで引いては、またそろそろと肉棒を沈める。  その圧力で、内部に満々とたたえられた肉汁が、猥褻な音をたててじゅくじゅくとしみだし、由理恵本人の会陰部や秘肛はいうにおよばず、俊彦の陰毛や精袋までもべとべとに濡らした。  灼熱の肉棒をどろどろに滾った肉の坩堝に送りこみ、音をたてて引き抜く。下手な小細工は弄さない。ひたすら、直球で攻めていく。というより、俊彦にはそれ以外考えられなかった。 「ああ………おかしい………わたし………イヤッ………」  由理恵は俊彦に合わせて腰を突き上げては沈めながら、全身をわななかせた。  彼女の興奮がぐんぐんカーブを描いて上昇する。それを見てとった俊彦は、内臓を突き破るくらい深々と突き立てたまま、由理恵の張りつめた太腿を小脇に抱え、ずるっと相手を引き寄せた。  結合がさらに深くなる。  媚襞が肉棒の粘膜を撫であげ、くすぐっている。  その快美な刺激にひたりこんで、あのすべてを忘れさせてくれる法悦にひたりこみたい欲望を、俊彦は抑えた。  肉茎の根元に力をこめてひくつきを止めると、そのまま由理恵の形のいい足を膝からおり曲げて、屈曲位にもちこんだ。  これ以上は入れないと思っていたのに、角度が変わったせいで、また一段と深い結合状態に持ちこむことができた。  由理恵の額には玉の汗が光っていた。歯を食いしばる音だけが、ぎりぎりと聞こえてくる。もはや、あのしゃくりあげるような悦楽をこらえる媚声も洩れでてこない。  結合を維持したまま、俊彦は腰を上下に揺すり上げた。  それをきっかけに、由理恵のすべてが爆発した。 「アアーッ! す、すごい………いやあ………やめて………お願い、やめて………だって………オシッコが………オシッコが………洩れそう………イヤーン、恥ずかしい………」  喉の奥から絞り立てるような声と、鼻にかかった媚声とが交互に迸りでてきた。 「洩らせよ………オシッコ洩らしてもいいんだよ………どうせもう、ベチョベチョなんだから………オマンコがもっと濡れて気持ちいいぞ」  俊彦は声をふり絞った。強烈な筋肉の収縮と粘膜の蠢動が、昂まりきった男の末梢神経に電気ショックを走らせている。  もう一回。そら、これはどうだ。  突き立て、腰を引き、グラインドさせながら激しくねじりこむ。  理沙は由理恵の尻に手を当てて、ベッドから浮き上がらせていた。  俊彦はなかば膝を立てるようにして、しなやかな腰の筋肉を使い、媚肉をこれでもか、これでもかと抉っていく。 「アーン、オシッコ………洩れちゃう………ヒイイイイッ!」  だが、それは処女らしい錯覚だった。小水のかわりに、由理恵の股間にはまた新たな肉蜜が、堰を切ったように溢れでてきたのだ。  俊彦は新たなぬめりを利用して、抽送のテンポをどんどん速めていった。湿った肉同士が貼りついては離れるときのいやらしい音が、由理恵の恥声に重なっていく。 「オマンコしてるんだよ………いいだろう? ぼくのチンポコ突っこまれてるんだ………ほら、由理恵さんのオマンコがひいひい泣いてヨガってるじゃないか………」 「いや………やめて………いわないで………恥ずかしい」 「恥ずかしい? 嘘をつけ。オマンコが恥ずかしかったら、こんなに股をおっぴろげて、ヌプヌプされるもんか………」  俊彦は切れ切れの声でそういうと、まるで機関銃を撃つときのように小刻みで強烈なジャブを叩きこんだ。 「あ………なにか来る………ああん………体が………ふわふわしてる………こ、怖い………落ちてくみたい………ああ………お願い………やめないで………やめて………」  俊彦もそろそろ限界だった。急速に頂上に駆け上がっていくのがわかる。由理恵がアッ、アッ、アッという断続的な叫びともあえぎともつかぬ声をあげた。俊彦は、抱え上げていた由理恵の足をどさりとベッドに投げだして、すかさず正常位に転換した。果てるときには、女にも男にもこの体位がいちばんいい。  次の瞬間、由理恵が魂消るような悲鳴をあげて白目を剥き、ひっと背中をそらして硬直状態になった。 「イク………」  生まれて初めてのエクスタシーの大波が、由理恵の若い肢体を駆け抜けた。全身を汗と体液と唾液まみれにして、由理恵はたまらなく甘美な無重力の空間に投げだされていた。  膣唇の引き攣るような動きで、由理恵のエクスタシーを感じ取った俊彦も、これまでたわめにたわめていた灼熱のエネルギーを一気に解放した。  由理恵の肉窟深くで、稲光がひらめいた。先端が何度も膨らんでは勢いよくはじけ飛び、男の樹液が由理恵の子宮口にしとどに溢れた。  ふたりのすぐそばでは、指戯に熱中していた理沙が身悶えしながら、ひとりで絶頂を迎えていた。  果ててもまだまだ硬度を失わない肉茎を、媚肉がしっかりと咥えこんでいる。  由理恵は完全に失神していた。   8 義母、姦《や》る!  由理恵のパーティは六時からだった。理沙と俊彦は、その十五分前に部屋を出た。  俊彦はすっかり精を吐きつくして、壮快な気分だった。腰のあたりがふわふわと軽い。由理恵とはあれから二回ほど体を交えた。そのあいだには理沙と長丁場を演じて、由理恵を目からも興奮させてやった。  部屋を出るとき、由理恵はまだパンティ一枚だけの姿でしどけなくベッドに横たわっていた。何時間か前会ったときには、どことなくとっつきの悪そうなクールな印象の女だったが、今は内側から何かに照らされているような、匂い立つような雰囲気をまとっていた。  すばらしいセックスのあとには、けだるい疲労感はあまり感じない。若さの特権だ。  ふたりは、小声で先ほどまでの由理恵の嬌態をあれこれ話しながら、エレベーターでメインロビーに降りていった。  ロビーを通りすぎるとき、意外な光景が目に入った。  義母の美佐子の姿が見えたのだ。  美佐子は、仕立てのいいスーツ姿のロマンスグレーの男の腕をつかんでいる。いや、つかんでいるというよりは、もたれかかっているといったほうがいい。ふたりで肩を並べてフロントの前に立ち、チェックアウトの手つづきをすませている。  そうか、最近帰りが遅いと思ったら………あの義母はこんなところで男と会っていたのか。父さんだって、もうすぐ戻ってくるというのに………。なんてふしだらな。 「あのフロントのところにいる女………見える? あれ、父さんの後妻なんだ」  隣の理沙に話しかけたが、理沙は何も答えない。おかしいと思った俊彦が横目を使うと、理沙も呆然とした顔つきで、俊彦の義母を見つめていた。 「どうしたんだい?」 「………あ、あの………あの女の人、あなたのお義母さんなの?」 「そうだよ………ったく、なんて女だ、まだ新婚だっていうのに、父さんが日本をあけてると、あっという間にこのザマだ」  理沙が俊彦の腕に手をからめてきた。俊彦は妙なことに気づいた。 「あれ、震えてるの?」 「あなたのお義母さんといっしょの男………あれ………あれ………うちのパパなの」  思わず嘘だろうといいかけて、俊彦は危うくその言葉を呑みこんだ。偶然にしてもデキすぎてるぜ。でも………確かに理沙の驚きぶりはただごとではない。  つまり、おれの義母と理沙さんの親父が、デキているということだ。それも、昼間ホテルで密会するほどの仲なのだ。 「まいったなあ………若い頃から女遊びの派手な親父だったけど、今でもお盛んとはね………ママに教えてやろうかな………それとも、姉さんでもいいか。姉さん、けっこうパパっ子でね、きっとショックだぞ」  理沙は誰にともなく呟いている。 「どこで知りあったんだろうな?」  理沙は小首を傾げた。 「理沙さんのパパは、外資系の銀行の重役かなんかだよね」 「うん。あたしは家がいやでいやで、大学に入るなり家を出ちゃったんだけどさ。それがどうかした?」 「あのふたりがどこで知りあったのかと思って」 「そういえば、不思議ね」  そのとき、フロントにいたふたりが踵を返して、こちらに向かいかけてきた。理沙と俊彦はあわてて、ロビーに立つ大きな柱の陰に身を隠した。  家まではタクシーで帰ってきた。リビングのソファに腰をおろすと、美佐子はため息をひとつついた。  榊原との情事で身も心も満ちたりていた。ひと晩ずっと過ごしたい気持ちはやまやまだったが、榊原は妻のある身だし、美佐子にも出張中とはいっても夫がいる。それにおたがい子どももいる。  ヤクザの浅田とかいう男には、榊原が金で話をつけた。それでようやく、美佐子は売春から抜けだせたのだ。  あのまま榊原に出会わなければ、ずるずるヤクザもののいうがままになって、見知らぬ男たちに金で買われ、逃げださないようにと何か非合法の薬でも飲まされて中毒にさせられたあげく、ボロキレのように使い捨てられたことだろう。  あれ以来、榊原とは三度めの情事だった。銀行重役という多忙な榊原だったが、美佐子との時間をなるべく多く作るようにしてくれている。  子どもといえば………俊彦はどうしたのだろう?  美佐子は暗いリビングに証明をともして、キッチンに入った。冷蔵庫からオレンジジュースを出して、カウンターでグラスに注ぎ、一気にあおる。冷たい液体が喉を流れおちていくと、少し肌の火照りが冷めていった。  リビングに戻ったところで、美佐子は立ちすくんだ。  いつの間に帰ったのか、俊彦がソファに足を組んですわっていたのだ。  このところ、急に大人びた雰囲気を身につけだしている。ふてぶてしいといってさえいい態度をすることもある。男の兄弟がいなかった美佐子は、後妻という立場もあって、どうしても俊彦に対しては身構えてしまった。  このあいだの夜のことは、おたがい口にしていない。 「どこへ行ってたの?」  美佐子はできるだけなにげなく訊ねかけた。 「どこって………駅前のホテルで友だちと会ってた」  美佐子はぎくりとした。まさか、この子に見られたなんてことは………。  俊彦の言葉は気を揉む美佐子に、追い討ちをかけた。 「見たよ。男といっしょにいたね。あれは誰?」  切れ長の目が、ぎらぎらと光っている。怒りだろうか? 「誰って………まえにお世話になった大学の先生で………」 「下手な嘘をつくなよ。もうわかってんだから。キース・マンハッタン銀行の重役さんだってな」  美佐子の心臓が狂ったように高鳴りはじめた。  俊彦はソファから立ちあがって、一歩美佐子に近づいてきた。 「おれもね、あのホテルで友だちとちょっとしたパーティをやらかしてたのさ。オスケベ・パーティをね——義母さんとおんなじさ」 「な、なんてこと………」 「こっちは男ひとりの女ふたり。その女っていうのが、榊原とかいう男の娘だったというわけ。不思議だね」  美佐子は手をかかげて、近づいてくる俊彦を遠ざけようとした。  だが、身長が二十センチ以上も大きな若い男にかなうはずはない。あっというまに美佐子は、この義理の息子に抱きすくめられてしまった。  榊原は確かに、娘がふたりいると話してくれていた。  ひとりは商社に勤めているが、もうひとりの妹のほうは大学入学直後に独り暮らしをはじめたという話だった。その娘たちと俊彦が、自分たちと同じホテルで同じく淫らな性の宴に耽溺していたなんて。  太腿のあたりに、俊彦がごつごつしたものを押しつけている。考えるまでもなく、その正体はわかった。  同時に、先日の夜ひそかにいちばん恥ずかしい場所を覗き見られたときに、薄目をあけて見た俊彦の猛々しい若茎の姿が、ありありと脳裡に甦ってきた。  一瞬にして足の力が抜けた。  その隙を鋭く見てとったらしい俊彦が、ワンピースの上から熟れきった胸のふくらみをわしづかみにしてきた。 「イヤッ」  振りほどこうとしても、俊彦はすさまじい力で美佐子を壁に押しつけてしまった。手はますます無遠慮に乳房を揉み、こねくりまわしている。 「相手の男にもこんなことをさせたんだろう? え、されて、ヒイヒイ愉しんだんだろう? 親父がいないと思って、こそこそ男とオマンコしてるなんてね」  俊彦の足が、美佐子の太腿をぐいぐい割って入ろうとしてくる。だがワンピースなので、思うように任せないらしい。  だが、乳房への愛撫は巧みだった。力任せかと最初は思ったのだが、やがて美佐子を完全に押さえつけてしまうと、俊彦は緩急自在のタッチで丸みのある肉の丘を責めてきた。 「大きいな………それにえらく柔らかいや。男に揉まれて柔らかくなって帰ってきたんだな。こっちがこんなにふわふわいい感触だから、おれのはガチガチに硬くなっちまった」  俊彦が、またごつごつと硬い勃起を押しつけてきた。  いけない。だめ、気をそらすの!  そう思っても、あの夜寝室で俊彦の股間から立ち昇っていた刺激的な男の性器の匂いや、そのあとまきちらされたザーメンの、頭の芯がくらくらしそうな強烈な匂いが、つぎつぎと思いだされてきてしまう。  嫌悪感はなかった。ただ、ここで俊彦の欲望を許してはならないことだけはわかった。 「だめよ………俊彦さん。いけない………もうやめて………」 「いやだね」  俊彦ははっきりといいきった。 「どうせ他人同士なんだ………それだけじゃない、今日はそれぞれの恋人と思いきりホテルでセックスしてきてる。おあいこさ。ここで相手を取り替えるのも、デザート代わりにはいいんじゃないかな」  この身勝手ないいぐさに、美佐子の背すじを寒気が駆け抜けた。なんて恐ろしいことをいうんだろう? いつの間にこんな途方もないことを平気で口に出す少年になってしまったのだろう?  俊彦の指先が、ワンピースの合わせ目からもぐりこんできた。素肌に男の皮膚のざらつく感触が走ったとたん、おののきに似たものが美佐子の体を襲ってきた。  情事の残り火がまだ残っていたことは事実だが、この震えがそれに火を点けるものではないと信じたかった。  だが、指はどんどん深くまでもぐりこんでくる。すでにブラジャーを押しのけて、乳首にまで達しそうな具合いだ。  二度三度と俊彦の指が柔肌をかするにつれて、美佐子の肌が熱く疼き始めた。 「もう勘弁して………またあとでゆっくりお話ししましょう………ね、俊彦さん」  美佐子は必死に懇願した。体をよじって逃げようとしたが、その動きで、太腿にあたる俊彦の怒張をますますはっきりと感じとることになってしまった。  俊彦の欲望が灼熱の炎を噴き上げているのが、布地越しにもわかった。  ズキズキ。  力強い脈動が、はっきりと伝わってくる。  いくら榊原が若いといっても、この本物の若さにはかなわない。  そんな思いを、美佐子はあわてて打ち消した。 「ぼくはね、まえから義母さんとこんなことがやりたかったんだ」  俊彦の声は獣欲にかすれていた。 「義母さんとセックスしたかったんだよ………親父にやらせて、愛人にやらせて………そればかりじゃない、どこの馬の骨ともわからないあの強姦犯人につっこまれてるときだって、ケツを振ってヒイヒイよがってたじゃないか。いまさら、とぼけなくたっていいんだよ。知ってるんだから」  美佐子の目の前が暗くなった。耳の奥で自分の脈がふいに音高く響いている。 「それなのに、ぼくとはオマンコしないっていうの。ざけんなよ。ヤリマンのくせしやがって」  話しているうちに、どんどん自分でボルテージを上げてきたらしい。俊彦の手にはさらに力がこもってきて、ワンピースの肩を引きおろしかけている。ブラジャーの片側は完全にずらされてしまって、その頂点にぽっちりと突きでた薔薇色の肉蕾があらわにされてしまった。 「俊彦さん………もうだめよ………やめなさい………」 「上品ぶるんじゃねえっていってるんだよ。ネタは割れてんだ。あとはパックリオマンコを割りゃあそれでいいのさ」  俊彦の手がワンピースの布地をびりびりと引き裂いていく。必死に抵抗したが、あれよあれよと言う間に美佐子の上半身は、剥きだしにされてしまった。 「こんなことして………なにごともなくすむと思ったら大まちがいよ」  むなしい言葉だった。俊彦は聞く耳などもっていない。美佐子の肩をがっちりとつかんで引っぱり、その体をいちばん大きなソファの上に転がしてしまった。  ワンピースを足から引き抜かれれば、残っているのはかろうじてへばりついているブラジャーと、下腹部を覆うピンクのパンティだけだ。  俊彦は自分も上半身裸になると、美佐子の裸身にのしかかってきた。  突き飛ばそうとしても、美佐子の手はあえなく払い除けられてしまった。 「抵抗するなよ………いいから………ヤラせろよ」  俊彦はそういいながら、スラックスを足から引き抜いて、部屋の隅に蹴り飛ばした。二枚の下着越しに、男の女の生の部分が熱い息吹を交換しあっている。 「ほら、こんなになってるんだから」  俊彦が股間の武器をひくつかせると、美佐子ははっとして息を呑んだ。  こうやって女を興奮させるのは、父親の孝夫そっくりだ。  そして、孝夫にそれをやられるたびに、美佐子は羞恥と欲望の虜になって、結局は荒々しい法悦の嵐に翻弄されてしまうのだ。  父と息子の恐ろしい絆を目のあたりにして、美佐子は慄然たる思いにとらわれた。 「おとなしくしたほうがいいよ………いやならそれでいいけど、きっと痛い思いをするだろうしね。ぼくだって親父にしゃべらないと決めたわけじゃない」  俊彦は唇だけでにやりと笑った。顔だちがととのっているだけに、妙に凄味がある。  義理の息子は柔らかな髪の毛を目からさっと掻き上げて、腰をなおいっそう強く押しつけてきた。中心部の肉茎が、ちょうどヴィーナスの丘の上だ。  ふっくらした柔丘が、逞しい屹立で押し潰された。柔らかな肉の構造全体が変形させられて、奥まったところに隠れている敏感な突起が目を覚ましかけている。 「それにさ」  俊彦は美佐子のたわわな胸のふくらみの作りだす谷間に、ざらついた舌先を這わせた。 「義母さんだって………気持ちよくないわけじゃないんだし」  そういいざま、俊彦の指がすでにいきりたっている乳首をぐいっとひねりあげた。 「痛ッ!」  美佐子は小さく悲鳴をあげた。 「痛いよね………うん、これだけシコってれば、敏感になってるだろうな」  小憎らしいくらいおちつきはらった口調だった。それもそのはずで、今日はもう心ゆくまで放出をすませているのだ。  美佐子の頭の芯に、軽い痺れのようなものが走りはじめた。それと同時に、肉体の中心部で欲望が蠢きはじめていた。  刺激されればそれに応じずにはいられない。女はそうできている。  美佐子はいつしか、足を閉じて俊彦の勃起を締めだすことを忘れていた。  それどころか、柔らかな淫肉をぐいぐいと圧迫してくる男の硬さを、味わいはじめてさえいたのだ。  どうしたんだろう? いけない、だめ………早くこの子を押しのけて。今からでも遅くないから………はっきりいうの。あなたなんかとするつもりはないって。  だが俊彦は、そんな美佐子の心の揺れ具合いを鋭敏に察していた。  もう少しだ。我慢しろ。俊彦はともすれば逸りたってしまう自分を諌めた。あと少しオッパイをねぶって、あと少しオマンコをぐいぐい押してれば………あと少し優しく撫でたりさすったりしてやれば………それで義母さんは絶対に………。  二回ほど見た美佐子の秘裂の猥褻そのものといってもいい形状が、俊彦の瞼の裏をかすめた。なんとしても、あそこにたどりついてやる。  俊彦は強引に美佐子の唇を奪った。最初はきつく閉じられていた若い義母の唇も、俊彦の舌が何度もなぞると、やがて力を失ってきた。すかさず俊彦は大量の唾液とともに、女の口腔内に舌をさし入れた。  そのころになると、美佐子はかすかに息をあえがせていた。呼吸も荒くなっている。自分の裸の胸にこすれている美佐子の乳房が、目に見えて上下しはじめていた。  第一、さっきまでしきりに抵抗のそぶりを見せていたのに、今はもうぴくりともしないし、牽制や叱責の言葉も陰を潜めている。  俊彦は腰をくねらせてトランクスを脱ぎ捨てると、美佐子の下着に手を伸ばした。  すぐには脱がさない。まずこんもりした羞恥の肉丘のあたりをそうっと撫でていく。  びくん。  美佐子の体が、激しく震えた。 「やだ………よして………」  哀願するような口調だった。だが、そんな泣き落としで引きさがってはいられない。股間の熱い盛り上がりは、そんなもので止められる段階を通り越している。  パンティの前の部分から、次第に指先を微妙な部位に移動させていくと、ふいにそこが熱を帯びてくるのがはっきりとわかった。熱いだけではない。湿っている。 「榊原さんにも、ここを触らせたんだろう? 触ってもらって、気持ちよかったかい? だろうな………今だってもう濡れてきてるもの。感度いいんだね」  指先に淫水の蒸気がまとわりついてくるようだ。俊彦は指を柔和な生肉の構造の形状にそってゆるゆると震動をかけてやりながら、前後に動かした。 「俊彦さん………いけない………もう………許して………」 「だめだね」  俊彦はにべもなく答えた。 「おれのこれをしっかり握るんだ。握れば、そっちの気も変わるだろうし、おれが引きさがれないってこともわかはずさ」  そういいながら、俊彦は力なくたらされた美佐子の手を引いて、赤黒い鎌首をもたげて、透明な毒液をねっとりにじませている肉棒に押しつけた。 「ヒッ」  小さく息をあえがせて、美佐子は手を振りほどこうとした。だが、俊彦はそれを許さない。美佐子のふんわりした手のひらの感触がすばらしかったせいもあるが、「男のアレが手の中でビクンビクンいってるのを感じたら、たいていの女はメロメロになっちゃう」という裡沙の言葉を実践したかったからだ。  まさにそのとおりだった。美佐子はいったん抵抗したものの、すぐに自分からすべらかな指を節くれだったシャフトにするりと巻きつけてきたのだ。  手のひらから伝わる頼もしい硬度と脈動に、美佐子は理性を失いかけていた。いけない、こんなことしたら、人間の屑よ。  どうせあんたはもう人間の屑じゃないか。  心のどこかで悪魔が囁く。  強姦魔にいいように弄ばれ、それをネタにユスられて、金持ちの中年どもにさんざんおしゃぶりし、オマンコをくじられた女。夫のいる身でありながら、淫売稼業で知りあった助平親父とホテルにシケこんでた女。  そんな女が、義理の息子の勃起を握ってなんで悪いことがある?  俊彦の指先が、秘裂をじっくりと前後左右になぞっている。ときおり、はみだした肉襞をつまんでみたり、紅粒のよじれをはじいたりしている。  媚肉がパンティ越しの愛撫には我慢できずに、火照って熱くとろけかかっていた。子宮全体が充血してふくらみ、男のハンマーで叩かれるのを今や遅しと待ちかねている。 「ああ………ん………」  喉から嬌声が洩れてしまうのを、止めようもなかった。  いけない、もうやめなきゃ。  むなしい抵抗心が、かぼそい悲鳴をあげている。  だめよ、もう手を離しなさい。  いくら逞しくたって………いくら大きくたって………いくら硬くて………いくら熱くて………いくら触っていたくても、もう手を離すの………。 「欲しいんだろう? え、はっきりいったらどう? ぼくが欲しいんだね………そうだろう? だって、ほら、ここがこんなに濡れてるよ」  俊彦はパンティのへりからするりと指をさしこんできて、肉襞の端っこを指先でからかうようにつついた。 「あん………アアッ………」  軽い火花が目の裏で炸裂する。俊彦の指はますます大胆になってきて、さらに股間を、尾秘峡の奥へ奥へと這い進んできた。美佐子はその指の愛撫を今や遅しと待ちかねている自分に気づいて、ぞっとした。  だが冷静な気分は一瞬しかつづかなかった。俊彦の淫指術は、美佐子の弱点を狙っているように巧みだった。  そうだわ………わたしはこの子が欲しい。あの夜、あなたの凛々しいエレクトを見た瞬間から、わたしはあなたに貫かれたかった………。  肉体の昂まりは、もはや榊原との情事の残り火の域を遥かに越えている。美佐子の手はいつの間にか俊彦のズキズキ脈打つこわばりを、力のかぎり握りしめていた。 「欲しい………これが欲しいのよ」  美佐子は恥ずかしげもなく、おのれの獣欲を口に出した。 「ぼくもだよ………ぼくも早く義母さんが欲しくて我慢できないんだ」  俊彦は、美佐子の手の中の物体をわざとヒクつかせた。 「ほら、ピクピクいってるだろう? 先っぽがもうヌルヌルさ………早く………入りたがってるんだ………オマンコにね」  俊彦はそろりそろりと美佐子のパンティを押しさげていった。  中心の部分が媚肉の水分をすってふやけ、それが新たなぬめりを帯びた肉襞に食いこんでいるために、なかなか降りてきてくれない。  だが、それもちょっと力をこめると、ずるっと反転する形で膝までずり下がった。  俊彦は爪先でふやけた布きれを押しさげて、そのまま腰を義母の蠢く太腿のあいだに沈めた。  なんの工夫もしないのに、濡れた粘膜同士がぬるりとかすった。 「ヒッ」  それだけで、美佐子は鋭く息を吸いこみ、肩を震わせた。 「まだだよ………まだあげないからね」  俊彦はそういうと、そのまま体をずらして、いきなり美佐子の秘裂にべったりと唇を貼りつけた。たちまち俊彦の鼻孔を、甘ずっぱくどこか生ぐさい女陰汁の芳香が満たした。 「ああん………だめ………俊彦………」  頭の上のほうで、美佐子がとまどい半分、喜悦半分の嬌声を洩らしている。  だが俊彦は、舌先に感じ取れる刺激的な味や、鼻孔をつく猥褻そのものの淫香、唇とそのまわりに伝わってくる生肉の感触に夢中になっていた。  一度舐めてみたとはいえ、相手が乗り気になっているときとそうでないときとでは、淫裂の味や香りには天地の差がある。  今日の美佐子は、これ以上はないほど盛りがついていた。となれば、この股間の媚肉の味も一段と旨味をましているというものだ。  ぴちゃぴちゃぴちゃ。  俊彦は舌で媚襞をびらびらさせ、膣口をしゃぶりあげ、クリットをつつきまわした。ときには、鼻を淫毛にくすぐられるのをこらえながら、たぐい稀な弾力をもつヴィーナスの丘を口ですっぽり覆ったりした。  ずるずる。ぴちゃ。ズルッ。にちゃにちゃ。  唇淫と舌技で、たてつづけに鋭敏な肉粒を責め立ててやる。  俊彦の顎のあたりに、じんわりと温かな潤いが溢れてきた。 「いやん………だめよ………俊彦くん………そんな………汚い………」 「あいつにも、こんなことをされたのかい? ここを舐めてもらったのかい?」  俊彦はぜいぜい息を喘がせながらも、次々と淫らな質問の矢を放っていく。  だがもう美佐子は、俊彦の言葉などきいていなかった。  義理の息子の淫舐に、桃源境をさまよいはじめていた。  俊彦は肉の果汁でべとべとになった顔をあげ、すっと膝立ちになって、美佐子を見おろした。義母の顔が、摶動に合わせてかすかに揺れている自分の剛棒とダブって見えた。  美佐子は女肉への刺激がすっと失せたことにとまどって、薄目を開けた。  目の前で揺れている物体の正体は、すぐにわかった。  俊彦の忌まわしい欲望の根源だ。そいつは先端部を赤黒くぬらぬらと光らせ、細い肉の切れ込みからは透明な涎を垂らして、美佐子を見すえていた。  十センチと離れていない場所で見る俊彦の肉棒には、圧倒的な迫力があった。見ているだけで、股間が疼き、ぬめってしまうほどだ。 「舐めてよ」  俊彦が命令口調でいった。  その口調の冷たさに、ふっと美佐子の理性が甦ってきた。  いけない、今ならまだ決定的な行為はなかったということになる。若い俊彦のことだ。刺激を与えれば、すぐに暴発するだろう。そうすれば、この甘美な責め苦からは逃れられる。  美佐子はそう踏んだ。手を俊彦のしなやかな腰にかけ、頭を持ち上げて、顔を近づけていく。俊彦が後ろに腰を落として胡座をかく姿勢を取ったので、美佐子は俊彦の膝にのしかかっていった。  根元を指で押さえないと、勃起が腹にくっついてしまって口に含めない。美佐子は思い切って、青くさい匂いをたちのぼらせる肉棒を一気に喉の奥まで咥えこんだ。  口腔粘膜全体を、雄のホルモンがびりびりと刺した。唾を無理に呑み下すと、男の味が喉を駆け下りていき、麻薬のような陶酔をもたらしてくれた。  夫の孝夫や、愛人の榊原のような中年では決して味わえない、若さだけがもつ強靱さが、俊彦のペニスにはみなぎっていた。一刻も早く射精にもちこむつもりが、美佐子はだんだんとフェラチオそのものに酔いはじめていた。 唇をぎゅっとすぼめて、カリの張りだした圧迫をくわえ、舌で亀頭の裏側の部分を探り回す。  人差し指と親指でシャフトを握り、ゆるやかな往復運動をシンクロさせる。  さらに、ときおりペニスを口から出して、後ろの蛇の腹のような部分を舐め上げては、また舌をずるりと移動させる。  興奮でいくぶん縮こまり気味の淫袋をくすぐり、さらには、片方の黄金玉を唇でそっと咥えてやる。  肉茎はひくつき、脈打ちながら、わずかに塩からい随喜の粘液を大量に吐きだしていた。その味が舌先に広がるたびに、美佐子の女の本能はますます昂って、頭の芯はまた一段と痺れてしまった。 「ああ………いいよ………たまんない………」  俊彦はかすれ声で快感を訴えていた。 「すごいや………イキそう………」  その言葉に、美佐子はさっきの自分の計略を思いだした。だが、舌も唇も計略とはまったく関係なく蠢いている。  唇から大量の唾液が溢れているのと同様に、股間の秘唇もあとからあとから溢れてくる愛の露で濡れきっていた。  俊彦は苦しそうな声をあげて、腰をわずかに前後に動かしている。  だが、ふいに美佐子の体は俊彦にはね飛ばされた。 「だめだよ………ちゃんと、ちゃんと中に入れるんだから………」  唇を肉棒の形に開いたままの美佐子に向かって、俊彦はささやくようにいった。俊彦がにじりよってきたので、美佐子はそのまま仰向けにばったりとソファに倒れこんだ。  すかさず、俊彦がさっきのようにのしかかってくる。  美佐子は途方もない罪の意識と、燃え上がるような淫欲の両方に引き裂かれていた。いますぐにもその逞しい肉槍で貫かれたいという気持ちと、夫を裏切る罪悪感が頭の中で交錯する。  だが、濡れきった肉襞を男根でひと撫でされただけで、罪悪感はどこかへ吹き飛ばされてしまった。 「行くよ………いいかい」  俊彦は憎らしいほど落ちつき払った調子でいいながら、限界まではちきれそうになっている男の武器を、とろけた肉の穴に沈めていった。 「ああ………」  切なげなため息が、美佐子の唇からこぼれた。  先端部分がいったんおさまったところで、俊彦は動きを止めた。 「こうやって、一番感じるところだけ入れてるのが………すごくいい」  確かに膣口付近の蠢く肉襞が、男性のもっとも敏感な部分に集中してくる愉悦は、何物にもかえがたい。  それは美佐子も同じだった。  欲しくてたまらなかったものが、ようやく迎えられた悦び………そして、それがもたらしてくれるはずの強烈で奥深い法悦への期待感が、いやおうなく昂まってくる一瞬だ。全身の毛が逆立って、神経が快感に飛び跳ねている。 「もっと深くまで突っこまれたい?」  俊彦は耳もとに熱い息を吹きかけてやった。 「あん………そんなこと………」 「ちゃんと根元まで入れてほしいんだろう? こうやって!」  俊彦の腰のバネがはじけとんだ。  硬直しきった肉茎が、肉襞を容赦なく巻きこみながら突き進んできて、美佐子の女の根源を一気に貫いた。  だしぬけに強烈な突きをくらって、美佐子の息は止まりかけた。 「アアーン………すごい………すごく………感じる………いい………いい………」  俊彦は、ついに念願の義母の肉体を貫いた歓びに胸を熱くしていた。  とうとうやったぞ。  生まれてこのかた、これほどのうれしさは感じたことがない。  理沙とは恋人同士のような関係になって何度も肉の交わりを経験していたし、ついさっきまでは姉の由理恵を制服していたとはいえ、美佐子の内部に自分の分身を突き立てたことの歓びは、また格別だった。  俊彦は何度も引き抜いては、そのたびに一から挿入行為をくりかえした。  ずるり。  ぴちゃ。  猥褻な音の間隔が次第に狭まっていく。 「すごい………ズンズン来てる………アア………あそこが溶けちゃう………」 「最高だよ、義母さんのオマンコ………ずうっと入れっぱなしでいたいな………」 「わ、わたしも………いつまでもつながっていたい」  美佐子はもう何も考えられなかった。夫の孝夫のことも念頭から消えていた。金で買われた男たちの顔など、最初から覚えていない。それに、今日ホテルでつかの間の情事をもった相手の榊原のことも、今だけはまったく頭になかった。  意識にあるのは、股間から押し入り、内臓をぐちょぐちょに掻き回している逞しい肉茎のことだけ。  やがて俊彦は美佐子の尻を思いきり上げさせて、美しい裸身を完全にふたつ折りにする体位をとらせた。  そのまま腰を前に進める。  これまで以上の安定した結合が得られた。 「いいだろう?」  熟れきった先端で、コリコリした子宮口の感触を思う存分味わいながら、俊彦はゆるやかに肉棒を回転させた。  ふと目を落とすと、豪奢な色合いの女陰に、自分の猛々しい一物がすっぽり呑みこまれている羞恥の部分がはっきりと目に入った。  誇らしい気分で、男のシンボルに力をこめる。両側から男の根元を押さえるように張りだしている淫唇がわずかにひくつき、美佐子の腰が妖しくくねった。  少し引き抜くと、内部の襞がそれに引かれてまくれでてきて、外側よりもなお毒々しい紅色をした部分がさらけだされた。 「見ないで………」  俊彦の視線のさきに気づいたのか、美佐子がせがんできた。 「恥ずかしい………見ないで………アッ………あああ、溶けちゃう………とろとろに………」  だが俊彦は、腰と膝で巧くバランスを取ったまま、美佐子のむっちりと肉のついた太腿を左右に押し開いたり、閉じたりさせはじめた。  ぐっと広げると、股間の淫裂も横に引っぱられて、内部が覗けるようになる。そうしながら、抽送をくれると、肉棒と膣洞の隙間から白濁した粘液がじゅぶっと溢れてくる様子が、はっきりと見られた。 「すごいよ………すっぽり入ってる………義母さんのオマンコに………こうやって出し入れすると、中からお露がどんどん出てきて………」 「よして………」 「ちょっと、こうして出そうとしただけでも、お肉がむにゅってへばりついてくる………本当にセックスが好きなんだね………ああ、オマンコがきゅっきゅって締めつけてくるよ」  理沙との情交では、つねに猥褻な言葉をお互いに浴びせあうことで興奮をいやがうえにも高めることを教わっていた。  このテクニックは由理恵にも効力を発揮した。  だから俊彦は、最大限猥雑な卑語を美佐子に浴びせた。  きっと義母さんも、いやらしい言葉やエッチな言葉で興奮するにちがいない。そう思ったのだ。  美佐子の腰は、大きく円を描いたり、ひきつれるようにずり上がったり、力が抜けるようにがくがく揺れたりしている。その震動のどれもが、美佐子にはたまらない愉悦になっているらしい。  俊彦は自分の太腿で美佐子の柔らかな尻を両側からはさみこみ、腰をゆっさゆっさと揺すり立てた。「ああん………もう………だめ………」  美佐子の声は完全に上ずっていた。顔をしきりに左右に振り向けては、猥褻な単語を吐き散らし、突如黙ったかと思うと、眉をしかめて歯を食いしばり、全身をひくひく小刻みに震わせている。  俊彦の角度が微妙に変化するので、張りだしたカリの部分が内面のもっとも柔らかく敏感な襞壁をあちこち刺激している。  その部位が思いもかけず変化するのが、たまらなく気持ちいい。内部がくめども尽きぬ泉に熱く浸されているのが自分でもわかる。  俊彦が苦しそうなうめき声をあげていた。剛毛同士がこすれあうこそばゆい感覚も、恥丘が押し潰される圧迫感も、どれもこれも、快楽へのタラップになってくれている。 「アッ!」  美佐子は小さく悲鳴をあげた。  エクスタシーのさざ波が近づいてきて、その第一陣が昂まりきった神経をかすっていったのだ。 「………もうすぐ………来そうよ………」 「ぼくも………もう………我慢できない」 「あと少し………ああ………もっと突いて」 「ああ」  俊彦は激しいストロークを開始した。あらゆるテクニックや手練手管を捨て去った、欲望むきだしの荒々しい抽送だ。  泥沼から足を引き抜くときのような、湿った淫らな音がふたりの耳朶を打った。俊彦の額から汗が滴り、内側から揺さぶられて震える美佐子の乳房に飛沫を散らす。  折り曲げられた美佐子の腹のあたりにも、汗が小さなプールを作っていた。  とめどなく垂れてくる愛液で、俊彦の下腹部はもちろん、太腿のあたりにまでぬめりが広がっていた。 「オマンコ………気持ちいいわ………もっともっと………オマンコして!」 「最高だよ、義母さんのオマンコは………」 「もっとチ、チンポコ突き立ててエ!」  美佐子の瞼の裏側に、小さな花火がいくつも立てつづけに上がっては、盛大に爆発して白い残像を残していった。  すさまじいスピードで流れる川に浮かべられ、いやも応もなく大瀑布へと流されていくような気分だ。  俊彦の若いがむしゃらなエネルギーに突き上げられて、美佐子は法悦の極致へと駆け上がった。 「イく………イッちゃう………俊彦さん………俊彦さん………あなたも………あなたも………」 「うん………もうすぐ………」 「かけて………たっぷり出して………熱いのかけて………」  その哀願が消えるか消えないかのうちに、美佐子の体が一瞬にして硬直した。 「ヒイイイッ」  悲鳴とも、ただ息を吐きだしているだけともつかぬ長い鳴咽を洩らしながら、美佐子は体をブリッジ状にそりかえらせた。  肉壷が激しく痙攣するのを感じながら、俊彦もまた同時に達していた。今日何度めの射精だろうか。それでも肉棒は数えきれないほど収縮と膨張をくりかえして、美佐子の肉襞のすみずみにまで白い樹液を大量に溢れさせた。   エピローグ 「電話………電話が鳴ってる………」  美佐子は切れ切れの声でいった。 「ほうっておけよ」  俊彦は美佐子の湿地帯で舌をピチャピチャ鳴らしながら、ぞんざいに答えた。 「あ………で、でも………」 「いいっていってるだろう」  俊彦はいらだたしげにいうと、美佐子の陰核をずるりと舐め上げた。 「だって………イヤッ………そこは………」  後妻と義理の息子が肉の交わりを体験してから、もう一週間が経過していた。その一週間というもの、美佐子は毎夜のごとく俊彦の欲望処理を強いられていたた。翌朝になれば、後悔の念に苛まれるに決まっているのに、美佐子は抵抗できなかった。ひとたび乳房を愛撫され、股間に熱い欲望の肉塊を感じると、それだけで肉欲の虜になってしまうのだ。  どうしよう。あしたには夫の孝夫がアメリカから帰ってくる………。  今日もまた夕食の後片付けもすまないうちから、俊彦は邪悪な淫欲をぶつけてきた。最初は抗ったものの、結局はこうして寝室に引きずりこまれて裸にむかれ、何度ねぶられたかわからぬ秘所を俊彦の唾液と舌の猥技に翻弄されてしまっていた。  電話のベルはしばらく鳴りつづけていたが、いつの間にかやんでいた。 「ほら、ほっとけばあきらめるのさ」  節くれだった肉茎を誇らしげに美佐子の顔の前に突きだしながら、俊彦は大人びた口調でいった。  異臭を放つ海綿体を、美佐子はわずかなため息をつきながら、すっぽりと口に含んだ。どこをどう舐め、どこをどうつつき、どうやってしごき立てれば、俊彦が歓ぶかはわかってしまった。  硬度でも回復力でも、夫のものより遥かにまさる若茎の魔力の前には、美佐子の肉体はまったく無力になってしまった。  頬をふくらませたり、すぼめたりしながら、恥辱の奉仕をつづける美佐子の髪の毛を、俊彦は静かに指で梳いている。贅肉のまったくついていないたいらな腹が、こみあげる快感で波打っているのを、美佐子は歓びとともに感じ取っていた。  次に電話のベルが鳴りだしたときには、美佐子と俊彦はどろどろに溶けあっていた。  もう階下でうるさくわめきたてるベルの音など、耳に入る状態ではなかった。 「ああん………俊彦さん………いけない人………お父さんが帰ってくるのよ」 「いいよ………あんな奴のこと考えるな………」  美佐子の媚襞が蠢いて、肉棒のヘッドといわず青筋の立ったシャフトといわずぞわぞわとくすぐりたててくる。その極上の快感に、俊彦は気も遠くならんばかりだった。  恥骨と恥骨を押しつけあって、ともすれば動きだしそうな腰を無理やり静かにさせていると、激しく動くときの快感の大波とはちがった種類の陶酔感が全身を満たす。  全身の神経が高圧の電気に痺れて、歌を歌っているみたいだ。  体の中で俊彦が脈打っているのも、雄々しく張りだした鰓が内襞のどこをこすりあげているかも、ぐっしょり濡れた愛の肉袋が会淫部に貼りつきそうに揺れているのも、どれもこれもはっきりとわかる。  この一週間、榊原とはまったく会っていない。連絡の電話が入ることはあったが、そのたびに美佐子は丁重に断っていた。惹かれる気持ちはあるのだが、自分が榊原と寝れば、今度は俊彦が、これ見よがしに、その娘の理沙や由理恵と愉しむに決まっている。  それが耐えられないくらい、美佐子は俊彦との愛交に魅せられていた。  子宮に火花が散っている。俊彦の動きがぐんぐん速くなってきた。体の奥が潤い、溢れだし、メルトダウンを起こしかけている。 「イく………俊彦さん………あたし………イッちゃう………」 「ぼくも………ぼくも………もうすぐ………」 「オマンコ………もっとオマンコに入れて………」 「うん………美佐子さんのオマンコ………最高だよ………」 「ああ………イ、イく………ヒイイイッ!」  美佐子のしなやかな裸身が、ぎりぎりと音を立てて硬直した。シーツをわしづかみにする指先に力がこもった。俊彦の体が持ち上げられそうになる。俊彦は腰に力をこめて、美佐子を貫き、たっぷりと精を迸らせた。  電話はまた、いつの間にか鳴りやんでいた。  その頃テレビでは、ニューヨーク発の飛行機がアラスカ上空で空中爆発を起こしたという臨時ニュースをくりかえし報じていた。美佐子が、乗客名簿の中に孝夫の名前を見つけるのは、もう少しあとのことだった。 グリーンドア 文 庫  ——————————————————————   ・白昼の凌辱・               著者 日高 剛 —————————————————————— 初 版 発 行   1995年12月26日 発 行 所   株式会社 勁文社         住所 東京都中野区本町3-32-15         電話 (03)3372-5021 制 作 日   1995年12月26日 制 作 所   株式会社フジオンラインシステム          住所 東京都豊島区東池袋2-62-8         電話 (03)3590-3103  本書の無断複写・複製・転載を禁じます。